恭子の呟き·第5話 黒焦げクッキーとY字バランス

文字数 1,442文字



出会いと言えば、春から進入部員たくさん入部してくるね。
即戦力の新人入ってくれたらいいな。
私たち3年は今年が最後だよ。
もうみんな進路とか考えはじめているしね。
私は卒業したらどうするのかな?
大学進学?
私、けっこうお馬鹿なんだよね。
成績順位は学内では中の上。
学年順位っていっても上から30位まではほぼ進学科のガリ勉達。
全学年250人中進学科は28人で、全員30人以内。
というか、実力テストで30位以下になったら落第なんだって。あのコらも大変なんだね。

私は普通科クラスでは落ちこぼれてはいないけど、まあうちの普通科、平均偏差値45だからね。
平均偏差値55の進学科とは、もはや違う学校。
ちなみに調理科とか看護科は更に低くい。
それも含めて「中の上」なんだから、トホホ…だよね(笑)
今のままじゃ大した大学には行けないかな。
今から進学塾とかも嫌なんで、大学進学はしないかな?
うちの家、そんなにお金持ちじゃないしね。
専門学校?
でも何かやりたい仕事とかあるわけじゃないし。
一体何の専門学校行ったらいいんだか…。
だって、今まで体操ぐらいしかしてこなかったしね。
大学進学しても体操は続けられる。
でも、高い学費、親に出してもらってまでは続けれないな。
スポーツ推薦ってのもあるらしいけど…。
高校とは違って、県大会レベルなんてお呼びじゃあ無いよねきっと。

特別科の調理や看護のコらは、成績悪くても将来の目標はちゃんとしてるもんね。
みんなそれぞれの専門学校いくんだよね。

それに比べたら私は中途半端。

特技の体操じゃあプロなんてもちろん、進学
すらできない。
いい大学行けるほど勉強も出来ない。
特別科のコ達みたいなしっかりした将来の計画も無い。
もしかして私って、けっこうダメな子?


でもホント、将来何してるんだろね、私。
別に将来の夢とか無いしね。
できたらもう少し高校生のままでいたいかな。
進学や就職には夢描けない。
体操選手に憧れていた頃、子供の頃は夢描いてたよ。
大きくなったら体操部入って、大会とかで活躍して、みんなから羨望の眼差しを浴びて、後輩達からも慕われて、キラキラした青春を過ごす私(笑)。
まあ、全国大会はムリだったけど、県大会ではそれなりに納得の結果だし、ある意味夢は叶ったよね。

でももうすぐ終わっちゃうんだよね、この夢。
体操選手以外で子供の頃の夢って言ったらパティシエだったな。
手造りのお菓子屋さんとかケーキ屋さんとか憧れてたね。
でも、小学3年生の時のバレンタインで作った真っ黒焦げの炭みたいなクッキー、自分で味見した時にこの夢は断念した(笑)
未だに料理とか超苦手。

後は特に憧れた職業とかもないし、今でもあんまり興味ある仕事も勉強も無いよね。

もういっそのこと、もう何でもいいから高卒で就職しちゃおうかな?
さすがにニートはまずいしね。

でも、社会に出たらさ、私たちって「ゆとり世代」とか言われてバカにされるらしい。
「最近の若い奴らは…」とか言われるのかな。
まあさ、確かに私が今社会人になっても何にも出来ないしね。
計算は苦手だし、字とかもド下手だしね。
実は私、パソコンとかも超苦手なんだよね。
で、英語も英検3級で止まってるし。
もうマジ、無能!
お茶汲みぐらいしかできないんじゃない?
後は新入社員歓迎会とかでY字バランスでも披露してウケ狙うぐらい(笑)

あぁ…ダメだ!やっぱり夢…、描けないよね。

あ~ぁ、いいな、新入生たちは。
今から3年間、夢いっぱいの学園生活を満喫だよね~。
私も1年生に戻りたいよ~(笑)





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