七菜の呟き·第3話 赤マルカレンダーと2人乗りの自転車

文字数 1,123文字

中学上がってからも空手とレスリングは続けててさ、あたしは男子にも負けないぐらい強かった。
学校では相変わらず女子とは見られてなかったかな。
道場ではいつも男子相手に練習してた。

でもさあ、その頃になって初めてできたんだよね。

好きな人。

レスリングの道場で一緒だった山内君。
あたしと同い年で、爽やかなスポーツ少年って感じの子。
顔も男前。
うちのお兄ちゃん達みたいなムキムキマッチョじゃなくて、もっとスマート。
体つきは小柄で、背も私よりだいぶ低かった。
でもまだ中学生だしね。
中1の春、大人のクラスにまざって練習するようになってからなんだけど。
同い年、他にいなかったのもあって、すぐに仲良くなってた。
いつも一緒に練習するのが楽くて、わざわざ彼の来る日に合わせて道場に通ってた。
カレンダーに赤マルつけて、毎日それ眺めてワクワクしてた。
自分でも気がつかないうちに、だんだん好きになっていってさ…。

気がついたときには大好きになっていたな。

3年になって進路決めるときは、彼と同じ公立高校を受けるつもりだったんだ。
彼にも言ってたんだよ。

「一緒の高校行こうね。」って。

同じ高校行ったら毎日一緒にいれると思ってさ。
憧れるじゃん。
好きな男子とさ、毎日一緒に帰ったりするの。
そん時は、彼の自転車に2人乗りして帰るんだ。
別に付き合ってるとかそんなのなくて、ただのトモダチなんだけどね。
勝手に1人で妄想?

道場ではお互いに連絡取り合って、出来るだけ同じ日に練習行けるようにしてた。
でもさあ…。
3年ぐらいになると、寝技の練習とか彼とやるのは避けるようになってきた。

恥ずかしいんだよね。

他の男となら全然平気なんだけどさ。
彼と身体が密着したら、心臓バクバクになって、練習どころじゃないんだ。
その頃から、自分が女だってこと強く意識しだした。
それまではあんまり自分が女だって自覚少なかったかのな。

あたしさあ、それまでずっとお父さんや兄ちゃん達と一緒にお風呂入ってたんだよね。
オッパイ大きくなってきて、アソコに毛も生えてたけど、全然気にしてなかった。

今でもこの話しはみんなに言うとドン引きされるけどね(笑)。

でもそれもこの頃からやめたんだ。

好きな人できちゃったらさ、異性を意識し出して、もう例え親兄妹でも裸を見られるのが恥ずかしく感じちゃってね。
もう15歳だしさ。
性にめざめちゃったんだよ。
遅いよね~(笑)。

彼のコトは中3の半ばぐらいまでずっと好きだったよね。
あたしってば、一途だったよねぇ~。
受験受かったら告白しようと思ってた。
合格したら、春からは晴れて彼氏彼女になって、新しい学校には二人で通う。
そうなったらいいなぁって…。

でもさ、そんなにうまくはいかないよね。
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