真帆の呟き·第5話 年齢詐称と塞翁が馬 

文字数 862文字

彼とはその後何度もデートしたし、セックスもいっぱいした。
私。この人の奥さんになりたいって思った。
結婚してずっと一緒に居たいって思った。
学校も、辞めてもいいって思った。
でも、半年で別れることになったの。

ばれちゃったんだ。

私、監視員のバイトの時、年齢、誤魔化してたんだよね。
バイトが未成年不可だったから、本当は16歳なのに20歳って。
これって、年齢詐称って言うんだ。
でも、やっぱり4歳もサバ読むなんて無理があったんだよね。
今考えたら当たり前なんだけどさ…。
その頃の私…あれで本当に20歳だったら、いくらなんでも「お馬鹿」すぎでしょ(笑)
それで、彼がおかしいって気づいてね、問い詰められたの。
本当は16歳って知って、彼すごく困ってた。大人が18歳未満のコとそういうことするのは犯罪なんだって…。
私もそれは知ってたんだけどね。
結局、彼からは謝られて、別れてくれって言われた。
別れたくないって泣いたけど、どうしようもなかった。
それっきり彼からの連絡は来なくなったし、電話にも出てもらえなくなった。

人生初めての失恋。

大失恋。

すごく落ち込んじゃって、学校も部活も行けなかった。
そしたらさ、部屋にこもってる私のこと心配して、日曜日にうちまで訪ねて来てくれたのが恭子と七菜だった。
悲しい想い、一人で抱えているのが辛くて、
二人には全部打ち明けた。
そしたらさ、特に何も言わないけど、その日はずっと一緒にいてくれた。
ホント、お人好しだよね。
わたし、このコらのことバカにして、優越感に浸ってたのにさ。
自分が恥ずかしくなった。
大人の人と付き合ったからって、別に私が大人になった訳じゃないのにね。
もっとちゃんと大人になろう。
大人の男の人と釣り合う、大人の女になろう。
そう思ったら、なんだか失恋の痛みも幾分柔らいだ気もした。
この時の失恋は確かにイタかったよね。
でもね、その代わり大好きな友だちが二人できたからね。
結果オーライかな?
何て言ったかな?
そうそう、「人生万事が塞翁が馬」!
国語の教科書に載ってたやつ。
ホントだよ。
昔の人って偉いよね~(笑)
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