第4話:マリアがレストラン開業

文字数 1,946文字

 1960年代以降、食料品は依然として配給制で品不足のため魚市場に朝早く出かけた。そしてエビ、カレイ、ウニ、オヒョウを仕入れ、傷がついて売り物にならない魚を安く買った。魚の煮付け、フライ、ピロシキの具にして使用。野菜市場にも行き、松茸、行者ニンニクなど手に入る野菜を買いあさり料理に使っていた。

 それでも足らない時は車で直接農家を回り料理に使えそうな物を買いに回った。1965年マリアは洋服造りはベロニカとアリサに任せてた。そして得意の料理で、いろんな具の入ったピロシキ、牛肉、豚肉、鶏肉やタラ魚の煮込み料理、ビーツ、赤カブと肉、ベーコンの入ったボルシチ、ロシア風の小ぶりな水餃子、ペリメ、ビーフストロガノフを看板にしたレストランを開業。

 もの珍しさもあって狭い店なので行列ができる程になり料理ができ次第、皿や大きな入れ物にいれて待ってるお客に提供。店に入れない客は外で簡単なテーブルと椅子で食べて早く帰る人もいた。それを見かねて忙しい時はベロニカも手伝うようになった。2年が過ぎた1966年、休みの日には、ユーリー、フョードル、レフなど男達が、大きなテーブルと椅子を造った。

 小さな店の屋根を大きくしてレストランの席を急ごしらした。そして店を大きくしてくれレストランは面白いほど儲かった。1966年マキシム妹のソフィアはと近くの小学校入った。マキシムはレフの料理が好きで自分でもつくりたい様でレフが少しずつ手伝わせながら教えた。ソフィアはマリアの刺繍が好きで作ってもらったブラウスを大事に着ていた。

 1967年には儲かった金でもっと立派なレストランを借りれた。そこで、男性3人、女子4人の従業員を雇い、更に繁盛してきた。またレストランで食べずに食器や鍋を持ってきて料理を持ち帰る人も増えた。日曜日に休んでいるレフを見てレストランを手伝ってくれと言った。1967年、船会社の安月給の数倍は稼げるから退職して店を手伝うと言いだした。

 マリアの大忙しで大変な姿を見ていたので翌週、船会社に辞表をだして店を手伝った。食材の買い出し、搬入、下ごしらえを手伝う様になり、マリアも少しずつ楽になった。するとレフが町の町の反対側から来てる客が向こうのレストランがマリアの店に客を取られて、お客が減り仕方がないので、来月、閉店すると話してるのを聞きつけきた。

 そこで向こうの店で顔を知られていないレフにマリアが、その情報が本当かどうか調べに行ってこいと言った。レフが町の反対側のその店に出かけていった。その店の前に店を売ると書いてあり片付けをしている男に話を聞いた。すると不景気で客足が減って売り上げが下がり、やっていけないから大きな損を出す前に店を売って他の町へ行くと話した。

 レフが料理道具は重いから持っていくのは大変だろうと彼らの労をねぎらう様にして話を聞き出した。すると料理道具をもっていくか置いていくか思案している所だと打ち明けた。それを聞いてレフが新しい場所で仕事を始めるのに閉めた店の道具を使うんですか、それで繁盛するんですかねーと言った。私だったら心機一転、新品を買って、頑張りますがねと耳打ちした。

 その話を聞いた店主が確かに、それもそうだと頷いた。この店の中古品、売れるかなと言うとつぶれた店の使い古しなんて買う人はいないでしょと言い。最近は道ばたに勝手に捨てると警察がうるさいですから、そっと置いていったら良いんじゃないですかと入れ知恵をつけた。そうしようかなと言って、また片付け始めた。そっと店の外に出たレフは、この話をマリアに伝えた。

 今度はユーリとマリアと二人で言って店の購入交渉をしてみたら良いんじゃないかと伝えた。この店はレフが見ているから早速、行ってみて下さいと伝えた。その後、一時間位してユーリとマリアとがニコニコして帰ってきた。店の中古の道具を置いていくから処分しておいてくれと言われ現金で店を買うからと言い安い値段で店を買ったと大喜びだった。

 1967年、秋からレフが今のこの店をやってマリアが向こうの通りの店を買い取り、店を始める事になった。レフは小さい頃からマリアに料理を教わって彼女が仕事で忙しい時、替わって食事を作っていたので料理は得意だ。レフは女房のアリサにも手伝ってくれる様に言うと明日、ベロニカに聞いてくると答えた。

 翌日ベロニカに事情を話すと儲けもレストランの方が多いので仕方ない。刺繍、裁縫の仕事量を減らして1人でやって行くと言ってくれた。その後も料理店は繁盛して大忙しの日々が続いた。そこで年に4回、7日間の休みを設ける事にした。つまり客の少ないシーズンにマリア家族を半分ずつ休ませると言う計画を立てた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み