第10話:レストランとアメリカンスクール入学

文字数 2,209文字

最初、カルルーチ・アメリカン・インターナショナルスクールの近くの物件ですと言い広い道路の店舗付き三階建てのビル。次が狭い道の古めの四階建ての店舗付きビル。その他、急な坂の上の古い四階建ての店舗付きビル等、ほとんど同じ造りの建物ばかりだった。不動産屋に帰り見たビルを全部ポラロイドで撮り写真を並べてみた。

 エレベータなしと急坂の所は駄目、すると不動産屋が一番おすすめの物件は道の広い道路の店舗つき3階建てのクリーム色のきれいなビルを指さし、これが良いと言った。この物件ですと75万ドルでは買えないと言い、最低90万ドルと言った。それは高い75万ドルになりませんかと言うと難しいと言い、支払い回数を多少、伸ばすくらいしかできないと言った。そこで即金で75万ドルで、お願いしたいというと80万ドルが限界と言った。

 そこで仕方ない他の不動産に頼むかと言い席を立った。すると、ちょっと待ってと言い社長に聞いてくると言った。社長が出てきて痛いところ突いてきますねと言いわかりました。75万ドルで売りましょうと言った。その不動産屋で契約書を書き振込先の口座情報をもらい、翌週中に入金して下さいと言われた。1986年12月、ホテルに戻ってスイスのPCTの担当者アーロンに電話をかけて不動産屋の口座に75万ドル振り込んでくれと指示した。

 翌日、その不動産屋から入金あったと電話が入り不動産屋の担当者が家の権利書と家の鍵と領収書を渡してくれた。これで住居が決まりレフは晴れ晴れした気持ちになった。ここ迄の道のりを振り返りソファーで、ゆっくりとポルトガルワインを飲んだ。思えば本当に長い年月と長い道のりだった。これで、めざす新天地に、たどり着いて何も恐れずに暮らしていけると安心した。

そして目をつぶると亡き父イワンを思いだした。毎日、働きづめで、ろくな食事も取れず懸命に
暮らし続た。やがて国が勝手に戦争を始め、その命令で戦争に行き戦場で無念の最後を遂げた。
あまりに不幸な私達を見てイエス様がダイヤモンドを授けてくれたんだ。それによって地獄の様な生活から逃げてこんな安全で素敵で、なに不自由ない生活を得る事ができたんだと思うと目頭が熱くなった。

 ワインを飲んで強烈な睡魔に襲われてソファーで寝てしまった。翌朝、マリアがレフに、「あなた昨晩、寝言で助けてとか神様ありがとう」とか寝言を言ってましたよと笑った。それを聞くと、おもわずマリアを抱きしめて本当に長かったけれど、やっと幸せにたどり着いたねと言った。いろいろなことがあった1986年も12月24日を迎えて盛大なクリスマス・パーティーを開いた。

 翌日からマリアとアリサ、エミリアをのせて、レフが車を運転して海の近くのシントラ通りの4階建てのビルへ出かけた。一階は、以前レストランだった様で水道が完備してあり、レフの頭の中に、レストランのイメージがわいた。そこで椅子とテーブル、ガス、厨房設備を揃える事にした。近くのホームセンターへ行き必要な物を揃え、足らない冷蔵庫や電子レンジ、ミキサーなど電器屋に配達をお願いした。

 3日後に営業開始を目標にして行動した。その日の午後に電化製品が運ばれてきて、手の空いた人達が、電化製品の動作確認などをしてまわった。マキシムとアンドレにトラックを借りて椅子、テーブルなどの備品の搬入をお願いした。トラックが着くと、ブルーナ、セルジオも椅子、テーブルをレストランに並べていった。これでレストランらしい雰囲気になってきた。

 冷蔵庫の設置が終わったので、レフトとアリサとソフィアがスーパーマケットに行き、ワインや肉、バケット、パン、パスタ卵、ハム、チーズ、ミルク、野菜、果物、調味料、オリーブオイル、魚など食材を買い込んだ。夕方には戻ってきて冷蔵庫に入れた。明日にレストランで調理のテストする事にした。試しにガスコンロ、電子レンジを使って夕食を作ったが、問題なく作動したので一安心した。

 その頃までにアリサとソフィアは自分たちの部屋決めをしていた。高齢のマリアの部屋とベロニカの部屋を2階のエレベータに近い部屋にした。少し離れてレフとアリサの部屋。3階はマキシムとイザベル、ソフィアとアンドレの部屋を階にして、離れて小さな部屋をアマンダの部屋、ブルーナとセルジオの部屋にした。4階は小さいので倉庫部屋として備品置き場にした。各部屋の掃除とぞうきんがけをしてきれいにした。

 また、翌日、レストランの方が一段落した時、家族に子供達の学校のことで出かけてくると告げ出かけた。レフとマキシムがブルーナ、セルジオ、アマンダを連れて移民局で教えてもらった私立の米国系の学校、カルルーチ・アメリカン・インターナショナルスクール・リスボンへ向かった。そこへ行って入学の手続きと必要書類をもらって来た。翌日に書類を書いて、学校に郵送した。

 すると翌週の水曜日に両親とお子さんを連れての面接をすると電話が入った。そこでマキシムがイザベル、ソフィアとアンドレ、ブルーナ、セルジオ、アマンダを連れて水曜の9時に職員室に出かけた。すると2家族、別々の部屋で面接試験をした。その後、収入、入学の目的、宗教、出身国、移住の理由などを聞かれた。その1時間後、合格と言われ、喜んで家に戻ってきた。そして来月から子供達3人で徒歩で通学する事となった。
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