第8話:プラベートバンクの口座管理

文字数 2,379文字

 マリアは長い間、心の中につかえていた物が取れた様な例え様もない程の安堵感に包まれ、レフも父イワンとの約束を果たした様な爽快な気持ちになった。その晩も同じホテルに帰り、ワインで乾杯し、イワンとの思い出や、その後の辛い時代を回想し涙を流した。マリアは、ここ迄、来る事ができ本当に良かったと思った。

 しかし、レフは数ヶ月後、研磨されたダイヤモンドをどうするか、まだまだ難問が残されていて完全に霧が晴れたとは決して言えない状態にあった。その後ヤルタに戻り、この話を妻のアリサと話すと約束し、翌朝、朝食をとりチェックアウトしてキエフ行きの飛行機で午後2時にキエフ到着。その後、列車でヤルタへ夜8時過ぎに家に着いた。

 その晩、ゆっくりと休み翌朝ベルギーで買ってきたチョコレートの土産をアリサの両親と自分の家族に渡した。数ヶ月後、レフがアリサにダイヤの話とヤルタを出てヨーロッパの暖かい国へ移住したいと言う話をした。アリサもソ連の重苦しく監視されている様な感じは嫌いだった。そのため、すぐ賛成してくれた。翌週アリサが父エゴールにマリアとベロニカの体調が良くない事とソ連の雰囲気が嫌いだという意見が大勢を占めた。

そこで、もっと暖かい南ヨーロッパに移住したいという話を打ち明けた。最初は驚いていたが、そう言う気持ちもわかると言いレフとアリサが決めた事なら反対しないと同意。気持ち良く送り出すと言ってくれた。1986年10月ゴータム社からレフ電話が入り宝石の研磨が終了したと言う知らせだった。やがてヤルタを出る日となり、出発の日、長い間世話になった、アリサの両親、エゴールとダリアにお礼を述べた。

 エゴールが、こちらこそレフのお陰でレストラン事業で大儲けさせてもらい感謝してる言ってくれた。マリアにお体を大切にとハグしてキスし別れた。その際にエゴールがマリアに厚い封筒に入った多額の現金とエゴールの大きな車を餞別として渡した。アリサには自分の思う通り自由に生きて欲しいと告げた。1986年10月にレフとマキシムが運転する車に荷物を積みレフ達はヤルタの地を後にした。

 ヤルタを出てウクライナ、ポーランドのヴロツワフでホテルに一泊して体調を整えた。その後、ポーランドの18号線をひたすら走り、最後の難関、オルシナ郊外のドイツ国境を通り抜ける事ができた。その後、ハノーファーでホテルに1泊してデュッセルドルフを経由した。アーヘン郊外のドイツとベルギーの国境を越えてブリュッセルに入りホテルにチェックインしてし祝杯をあげた。

 翌日、ゴーダム社に電話を入れて面会の約束を取り出かけゴーダム社の応接室で研磨の終了したダイヤモンドも見せてもらった。すると神々しい光をはなち素晴らしいものに仕上がっていた。その中の3つの大きなダイヤを見せてくれた。見終わった後、担当者が、あなたたちが、これを持っていては危険だと言った。こんな大きな高額のダイヤモンドは必ず出所を調査されら。

そこで、もしアフリカ、ロシア産とわかったら大変な事になる。だからで個人で保管するのは危険すぎると真面目な顔で言った。その後、レフが大きなダイヤモンドの買い取り価格を聞くと全部で7百万ドルと言った。しかし市中の個人の銀行口座に振り込むと税務所から金の出所を聞かれるから絶対、やめた方が良いと言った。そこでレフは、どうしたら良いか彼に相談すると、彼はレフに安全な管理方法を提案してくれた。

 それはゴータム社の社長の紹介でジュネーブのプライベートバンク口座を開設してダイヤモンドをゴーダム社に売却。売った金を君のプライベート口座に送金すれば良いと教えてくれた。プライベートには口座開設のための推薦も含め私から連絡しておくと説明。30分後、戻ってきてピーター所長の名刺に裏書きして渡してくれた。プライベートバンクではアーロンがゴーダム社を担当者だと話せば良いと静かに語った。

 ゴーダム社のピーター所長が初回の支払いとして2人に合計2万ドルをお支払いしますと言い、少しして100米ドル札100枚で1万ドルの入った封筒をレフが受け取った。その晩、ブリュッセルのホテルに泊まり、翌日、スイスのチューリッヒへ飛んだ。チューリッヒ空港からプライベートバンクまで、そこの車が迎えの車で来ていた。

 その車でプラーベートバンクの入口でピーター所長の名刺を見せ、担当のアーロンに会わせて欲しいと告げた。すると案内してもらいアーロンはゴータムからの連絡で、お話は伺っておりますと言い個人情報と口座開設の書類など数枚の書類を下に写しを置いて時間をかけて彼の助けで作成した。これでプライベートバンクに米ドル口座ができた。

 その口座番号を電話でゴータム社のピーターさんに伝えてレフの口座に498万ドル送ってもらう様にお願いし1時間後、ゴータム社からの送金が終了した。1986年11月、これでレフ達の口座が正式にできレフの持ち金の10万ルーブルも米ドルに交換し、現在のレートで10万ドルになり両替した金を口座に入金。アーロンから口座証明書と預金の預かり証をもらった。

 合計で508万ドルになると言われ、アーロンが現在、現金をどの位持ってますかと言われた。そこで2万ドルというと1人1万ドル迄もてるからと言い7万ドルを渡してくれ、残金合計501万ドルとなった。レフが当面使う金として200万ドルを毎月1万ドルずつ、マリア、ベロニカ、レフ、エミリア、マキシム、ソフィアの口座に入金するように指示した。

 残金の308万ドルを目標運用益、年5%以上のXファンドで運用して500万ドル以上になったら100万ドルを今回と同じ様に、マリア、ベロニカ、レフ、エミリア、マキシム、ソフィアの口座に入金するように指示した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み