合宿開始
文字数 2,009文字
「おじゃましま~す… 夕霧さんの友達で頼光と言いま~す… 誰もいないみたいだな…」
「頼光さん、私、ここに一人で住んでいますから気を使わなくていいですよ」
「こんな素敵なマンションの10階に一人暮らしをしているなんて、秋月さんはすごいですね… お料理やお洗濯やお掃除はどうしているの?」
「いえいえ、すごくなんてありません。家事については私が学校に行っている間に全部してもらっているんですよ。さあ、お二人ともお入りください」
入口の扉を開けると冷房がつけられていて適度に冷やされていた。室内は広く清潔な感じだが、家具類はあまりなく必要最小限の物がそろっているだけで生活感は感じられなかった。
「家具がないと部屋が大きくて広いけど、寂しい感じがするな… ところで、テレビはどこ? ゲーム機をつなげたいんだ」
「テレビなら奥のリビングにあるのでどうぞ行ってください」
「玄関にアーチェリーの道具を置かせて頂いてもいいですか?」
「はい、置きやすいところに置いてください」
「ちょっと一休みしてからゲームの特訓をしましょう。お二人とも麦茶でいいですか?」
冷蔵庫をのぞきながら夕霧は500mlのペットボトル入りの麦茶を取り出した」
「本当にこのところ兼定さんは腕をあげましたね、そう思いませんかハヤテさん?」
「もう中の上レベルなのは確実だな。忙しい中でも昼休みにゲーム部に休まずに来ていたもんな…」
「でも私としてはまだまだなので、一緒に練習に付き合ってください」
「じゃあ、まず夕霧さんの後についてコースを回ってみよう。そのとき夕霧さんのブレーキのタイミングやライン取り、ギアが何速か、クリッピングポイントと加速のしかたに注意してね」
「はい。秋月さんお願いします」
小春はそれぞれの注意点について、解剖するように正確に分析しながらプレーを始めた。
「ハヤテさん、コーナーに入るときってブレーキを終わらせてからとブレーキをかけながらとどっちがいいんでしょうか?」
「ブレーキをかけ続けると前には進まないし、ブレーキをかけないと旋回に必要なグリップがタイヤに得られない… タイヤのライフもあるし使った燃料の量による車重の軽量化もある… 単純に割り切らないで状況に合わせて試すしかないかな…」
「腹が減ってきたなあ…」
ハヤテが気がつくともう8時をとうに過ぎていた。
「いけね! もう家に帰らないと!」
「こんな時間ですからここで夕食を食べましょうよ、ハヤテさん。よかったら兼定さんもご一緒に」
「私は特訓をする時点でこのようなことになることを想定していましたから、家人にはすでに外泊すること伝えてあります。夕食などの費用も用意済みです」
「なんでも準備がいいな、兼定さんは」
「常なる備えは武門の者の勤め… いいえ備えあれば憂いなしですよ」
「俺はやっぱり帰ろうかな… 金も持って来ていないし」
「これからも特訓を続けないといけないから残ってくださいよ! 食べ物やお金は用意しますから!」
「私も同じです! 私から頼光さんのご家族にお話ししますから」
夕霧と小春の強引な引き留めにハヤテは困惑したが、嬉しくもあった。
「女の子に家に連絡されちゃ困るし… お金も後で絶対返すからな」
ハヤテは自分で親に連絡して、小春も家に合宿先を伝えた。
「夕食を用意したのでどうぞ」
夕霧が声をかけたのでハヤテと小春がテーブルにやって来たが…
「本当にコレですか、夕霧さん?」
テーブルの上にはバランス栄養食が袋に入ったまま一つずつ置かれていた。
「飲み物はさっき渡した麦茶を飲んでください」
「コレが秋月さんの食事なの?」
「私は三食ともこの食事です。ビタミンも豊富だし食物繊維も入っていますよ。それにとても清潔ですし」
ハヤテと小春は黙ったまま顔を見合わせた。
「夕霧さん、せっかく今日は合宿しているんだから… 俺や兼定さんが食べている食事を食べて見ようよ」
「そうね、たまには私たちの食べているものを食べてみるのもいいかも」
「私が食べているものを二人が食べてみるのもいいと思いますが?」
再びハヤテと小春は黙ったまま顔を見合わせた。
「俺は最近これを食べたばっかりなんだ」
「この前、私は学校のお弁当に持ってきて頂きました」
「そうなんですか… 私はこれ以外のものを食べてはいけないと言われているんです… が、せっかくだからそうしてみましょう」
「兼定さん、何を食べようか?」
「そうですね… ピザやパスタはどうですか?」
「それはいいな! 夕霧さんはどう?」
「私は何もわからないので」
「じゃあ、外に食べに行こうか?」
「外に出る時間がもったいないから宅配を頼みませんか?」
「うん、兼定さんそうしよう」
スマホで小春が検索を始めた。
「では、配達が来るまで特訓しましょうよ!」
夕霧はゲーム機の方へ向かって行った。
「頼光さん、私、ここに一人で住んでいますから気を使わなくていいですよ」
「こんな素敵なマンションの10階に一人暮らしをしているなんて、秋月さんはすごいですね… お料理やお洗濯やお掃除はどうしているの?」
「いえいえ、すごくなんてありません。家事については私が学校に行っている間に全部してもらっているんですよ。さあ、お二人ともお入りください」
入口の扉を開けると冷房がつけられていて適度に冷やされていた。室内は広く清潔な感じだが、家具類はあまりなく必要最小限の物がそろっているだけで生活感は感じられなかった。
「家具がないと部屋が大きくて広いけど、寂しい感じがするな… ところで、テレビはどこ? ゲーム機をつなげたいんだ」
「テレビなら奥のリビングにあるのでどうぞ行ってください」
「玄関にアーチェリーの道具を置かせて頂いてもいいですか?」
「はい、置きやすいところに置いてください」
「ちょっと一休みしてからゲームの特訓をしましょう。お二人とも麦茶でいいですか?」
冷蔵庫をのぞきながら夕霧は500mlのペットボトル入りの麦茶を取り出した」
「本当にこのところ兼定さんは腕をあげましたね、そう思いませんかハヤテさん?」
「もう中の上レベルなのは確実だな。忙しい中でも昼休みにゲーム部に休まずに来ていたもんな…」
「でも私としてはまだまだなので、一緒に練習に付き合ってください」
「じゃあ、まず夕霧さんの後についてコースを回ってみよう。そのとき夕霧さんのブレーキのタイミングやライン取り、ギアが何速か、クリッピングポイントと加速のしかたに注意してね」
「はい。秋月さんお願いします」
小春はそれぞれの注意点について、解剖するように正確に分析しながらプレーを始めた。
「ハヤテさん、コーナーに入るときってブレーキを終わらせてからとブレーキをかけながらとどっちがいいんでしょうか?」
「ブレーキをかけ続けると前には進まないし、ブレーキをかけないと旋回に必要なグリップがタイヤに得られない… タイヤのライフもあるし使った燃料の量による車重の軽量化もある… 単純に割り切らないで状況に合わせて試すしかないかな…」
「腹が減ってきたなあ…」
ハヤテが気がつくともう8時をとうに過ぎていた。
「いけね! もう家に帰らないと!」
「こんな時間ですからここで夕食を食べましょうよ、ハヤテさん。よかったら兼定さんもご一緒に」
「私は特訓をする時点でこのようなことになることを想定していましたから、家人にはすでに外泊すること伝えてあります。夕食などの費用も用意済みです」
「なんでも準備がいいな、兼定さんは」
「常なる備えは武門の者の勤め… いいえ備えあれば憂いなしですよ」
「俺はやっぱり帰ろうかな… 金も持って来ていないし」
「これからも特訓を続けないといけないから残ってくださいよ! 食べ物やお金は用意しますから!」
「私も同じです! 私から頼光さんのご家族にお話ししますから」
夕霧と小春の強引な引き留めにハヤテは困惑したが、嬉しくもあった。
「女の子に家に連絡されちゃ困るし… お金も後で絶対返すからな」
ハヤテは自分で親に連絡して、小春も家に合宿先を伝えた。
「夕食を用意したのでどうぞ」
夕霧が声をかけたのでハヤテと小春がテーブルにやって来たが…
「本当にコレですか、夕霧さん?」
テーブルの上にはバランス栄養食が袋に入ったまま一つずつ置かれていた。
「飲み物はさっき渡した麦茶を飲んでください」
「コレが秋月さんの食事なの?」
「私は三食ともこの食事です。ビタミンも豊富だし食物繊維も入っていますよ。それにとても清潔ですし」
ハヤテと小春は黙ったまま顔を見合わせた。
「夕霧さん、せっかく今日は合宿しているんだから… 俺や兼定さんが食べている食事を食べて見ようよ」
「そうね、たまには私たちの食べているものを食べてみるのもいいかも」
「私が食べているものを二人が食べてみるのもいいと思いますが?」
再びハヤテと小春は黙ったまま顔を見合わせた。
「俺は最近これを食べたばっかりなんだ」
「この前、私は学校のお弁当に持ってきて頂きました」
「そうなんですか… 私はこれ以外のものを食べてはいけないと言われているんです… が、せっかくだからそうしてみましょう」
「兼定さん、何を食べようか?」
「そうですね… ピザやパスタはどうですか?」
「それはいいな! 夕霧さんはどう?」
「私は何もわからないので」
「じゃあ、外に食べに行こうか?」
「外に出る時間がもったいないから宅配を頼みませんか?」
「うん、兼定さんそうしよう」
スマホで小春が検索を始めた。
「では、配達が来るまで特訓しましょうよ!」
夕霧はゲーム機の方へ向かって行った。