怪談
文字数 1,596文字
「ねえ皆さん、せっかく三人で合宿をしているんですから、合宿らしいことをしましょうよ!」
夕霧が寝る支度を済ませたハヤテと小春に呼びかけた。
「合宿らしいことって何なんですか? 明日のこともあるから早く休みましょうよ、頼光さんもそうですよね?」
「やることによるかな… 時間がかかるの、夕霧さん?」
信じられないっていう表情の小春をよそに夕霧はノリノリだった。
「新入生のオリエンテーション宿泊の時、同級生に聞いたコワい話があるんですよ!
その子が部活の先輩から聞いて来た話なんですけど…
その部活が田舎へ合宿に行った時の宿は小ぎれいだけど、戦争の頃から残っている木造の建物だったんですって…
全員夕食を食べてお風呂にも入り終わったらしいんですけど、雑魚寝する広めの部屋にはテレビがなくって話にも飽きちゃったんですって。
同じ部屋のうちの一人が広い部屋の中で追いかけっこをしようと言いだそうです。他にやることもない仲間もすぐに賛成したんですって。
四人で部屋の四隅に一人ずつ立って一人目が次の角へ走っていき、ヘンなことを言ってから二人目にタッチする。次に二人目は三人目に… と順番にタッチしていく遊びなんですって。暗い方が面白いだろうと電灯を消して遊び始めたら盛り上がって、気がついたら1時間以上遊んじゃったんですって」
何の変哲もない話に拍子抜けした小春がたずねた。
「えっ、どこが怖い話なの? ゼンゼン分からないわ」
小春のことを見て夕霧は残念そうな顔した。
「よく考えてくださいよ、次の人にヘンなこと言ってタッチするんですよ。そうすると四人目がタッチしたのはいったい誰なんですか?」
「一人目が二人目にタッチした。二人目は三人目にでしょ… すると四人目は…」
頭の中でゆっくり順序を追って考えた小春は目を見開いて口に手をあてた。
「じゃあ、次行きますよ! 別の子のおじさんが小学校に勤めている友達から「お前ならどうする」って聞かれたんですって…
その友達の勤める山の奥にある小学校の校庭にあるブランコが風もない時にひとりでに動いていることがあるというウワサが先生たちの間でされているんですって。
そんな話をバカらしいと思っていた友達だったんですが、校庭に誰もいない時に設備点検のために用務員さんと二人で校庭へ行ったそうなんです。
すると、風がないのにブランコが人でも乗っているように動くのを見たんですって! でも、友達の方を向いて話をしていた用務員さんはそのことには全然気付かなかったらしいんです。
ブランコの取り付け具合を見るため二人が近づいて行くと警戒するようにブランコの揺れは少なくなったそうで。ただ、友達も幽霊が祟るっていう話を大の大人に対してマジメに持ち出すのはチョットできなかったんですって。
なんとか決意して何かがブランコにあることを友達が用務員さんへ声をかけようとしたその時、かすかに揺れるブランコの鎖に手をかけて用務員さんはブランコに座ってしまったの…
すぐに用務員さんに異常が無いかを友達が聞いたけど、鎖を引っ張たり座り板を踏んだりして大丈夫だと言ってたんですって。そうじゃないんだけど… と友達は思ったけど、やっぱり用務員さんがブランコに座る前に声をかければよかったと少しだけ反省したそうなんです」
「みなさん、もうそろ寝ませんか? 明日も朝は早いですし」
「朝が早いのは兼定さんだけですよ! まだまだ
「いや、もう寝ようよ。あんまり怖くなかったから途中で眠たくなってきちゃったし。先に寝ます。お休みなさい」
ハヤテはリビングにあるソファに向かって行った。
「私たちも寝ますよ、秋月さん。それと同じベッドで寝るからといって話しかけないでくださいね。私は朝が早いので」
「つまんないな」
小春が寝室に向かうのを見て夕霧はまたゲーム機のコントローラーを手に取った。
夕霧が寝る支度を済ませたハヤテと小春に呼びかけた。
「合宿らしいことって何なんですか? 明日のこともあるから早く休みましょうよ、頼光さんもそうですよね?」
「やることによるかな… 時間がかかるの、夕霧さん?」
信じられないっていう表情の小春をよそに夕霧はノリノリだった。
「新入生のオリエンテーション宿泊の時、同級生に聞いたコワい話があるんですよ!
その子が部活の先輩から聞いて来た話なんですけど…
その部活が田舎へ合宿に行った時の宿は小ぎれいだけど、戦争の頃から残っている木造の建物だったんですって…
全員夕食を食べてお風呂にも入り終わったらしいんですけど、雑魚寝する広めの部屋にはテレビがなくって話にも飽きちゃったんですって。
同じ部屋のうちの一人が広い部屋の中で追いかけっこをしようと言いだそうです。他にやることもない仲間もすぐに賛成したんですって。
四人で部屋の四隅に一人ずつ立って一人目が次の角へ走っていき、ヘンなことを言ってから二人目にタッチする。次に二人目は三人目に… と順番にタッチしていく遊びなんですって。暗い方が面白いだろうと電灯を消して遊び始めたら盛り上がって、気がついたら1時間以上遊んじゃったんですって」
何の変哲もない話に拍子抜けした小春がたずねた。
「えっ、どこが怖い話なの? ゼンゼン分からないわ」
小春のことを見て夕霧は残念そうな顔した。
「よく考えてくださいよ、次の人にヘンなこと言ってタッチするんですよ。そうすると四人目がタッチしたのはいったい誰なんですか?」
「一人目が二人目にタッチした。二人目は三人目にでしょ… すると四人目は…」
頭の中でゆっくり順序を追って考えた小春は目を見開いて口に手をあてた。
「じゃあ、次行きますよ! 別の子のおじさんが小学校に勤めている友達から「お前ならどうする」って聞かれたんですって…
その友達の勤める山の奥にある小学校の校庭にあるブランコが風もない時にひとりでに動いていることがあるというウワサが先生たちの間でされているんですって。
そんな話をバカらしいと思っていた友達だったんですが、校庭に誰もいない時に設備点検のために用務員さんと二人で校庭へ行ったそうなんです。
すると、風がないのにブランコが人でも乗っているように動くのを見たんですって! でも、友達の方を向いて話をしていた用務員さんはそのことには全然気付かなかったらしいんです。
ブランコの取り付け具合を見るため二人が近づいて行くと警戒するようにブランコの揺れは少なくなったそうで。ただ、友達も幽霊が祟るっていう話を大の大人に対してマジメに持ち出すのはチョットできなかったんですって。
なんとか決意して何かがブランコにあることを友達が用務員さんへ声をかけようとしたその時、かすかに揺れるブランコの鎖に手をかけて用務員さんはブランコに座ってしまったの…
すぐに用務員さんに異常が無いかを友達が聞いたけど、鎖を引っ張たり座り板を踏んだりして大丈夫だと言ってたんですって。そうじゃないんだけど… と友達は思ったけど、やっぱり用務員さんがブランコに座る前に声をかければよかったと少しだけ反省したそうなんです」
「みなさん、もうそろ寝ませんか? 明日も朝は早いですし」
「朝が早いのは兼定さんだけですよ! まだまだ
「いや、もう寝ようよ。あんまり怖くなかったから途中で眠たくなってきちゃったし。先に寝ます。お休みなさい」
ハヤテはリビングにあるソファに向かって行った。
「私たちも寝ますよ、秋月さん。それと同じベッドで寝るからといって話しかけないでくださいね。私は朝が早いので」
「つまんないな」
小春が寝室に向かうのを見て夕霧はまたゲーム機のコントローラーを手に取った。