第1話 21世紀だから

文字数 493文字

21世紀だから、LGBTの権利が認められているから、同性の恋人がいても、別に問題はないのかなと思った。
でも少し調べてみたら、同性の恋人はパートナーとしてまだ認められておらず、たとえば相手が重大な病気になって死にそうでも、面会すらできないこともあると読んで驚いた。
「だからとりあえずだけど」潮見さんは、僕を育ててくれた保護者の藤沢さんと相談して、養子縁組をしてくれた。
「潮見さんが死にそうになったら病室に入れるの?」と聞いてみた。
「もちろんだよ、(さとる)。病室に入れるだけじゃなく、僕が先に死んだら、ささやかだけど遺産相続もできる」と笑って言った。
遺産…いや、遺産ではなくて、この笑顔のほかに欲しいものがあるだろうか?
これを、それぞれ職業を持つ小さな合唱団が住む館の、踊り場のある階段の下で、出来上がった書類をヒラヒラ見せながら潮見さんは言った。
そして、僕を抱きしめて、あのパリの有名な接吻の写真みたいに抱き寄せてキスした。18歳だから、もうなんでも好きにできるのかな? と思っていたけれど、やはりびっくりして棒立ちになった。
少しも嫌ではないので、くちびるをギュッと押される感触を楽しんでいた。
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