第21話

文字数 418文字

この人は死ぬだろう… 残される私はその用意をしなければならない…
今この人はいる、しかしいないように… いなくなっても何でもないように。
私の中からその人を薄くする… いるもいないも同然のように。
それでもその人はいる! こちらがその存在を薄くしようが濃くしようがお構いなし!
今までもそうだったのだ…。こちらがその人をどう捉えようと、その人は。
大きな存在、小さな存在、こちらがどう定義しようが、その人はその人で。
私はその人でなく、その人は私でなく。
全然違っていた! あまりにも、全然!
だから最初のうちは新鮮だった、その違いが!
時を経るにつけ… その溝が、かけ離れすぎている距離、対岸、はるか向こう。
こちらの思いはあちらには伝わらぬ
あっちの思いも、こっちには。
通じ合うことはない、合うとしたら違うということだけ。
のぞみが合うことはない、かさなることはない、一致することはない
… 私の中で。
どこまでも私の問題いだ、相手はそこにいるだけなんだから!
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