第19話

文字数 1,227文字

 ふん、武器を供給するのをやめたそうだ… そうすれば戦争はなくなる、と。
 ところがその国の指導者、武器供給をストップさせた為政者どもは消されたよ。
 そんなことはニュースにもならない、愚民どもには「お昼のワイドショー」「オリンピック」「ゲーム」「スキャンダル」「プロ野球速報」痴話話… チワワみたいなマスコットを交配させて、あてがってやりゃあ喜ぶよ。みんな閑なんだ! もっと美味しい酒をつくってやれ、彼らの望む馬鹿さに拍車を、箔を。もっとスタイリッシュに…

 美しい話をつくってやれ、ほんのり、淡く… 後味はスッキリと! 哀しい話もいいね、泣かせてやるのも大切だ、彼らは気分屋だ… 良いおっぱい、悪いおっぱい、双性具有の彼らだが、悪いほうへばかり導くんだ… 悪いほうを育て、大きくさせるんだ… 良いおっぱいは切除!
 これはぜんぶ想像の話だ。本当のことだって? そう、それも想像だからね… 〈十把ひとから揚げ〉の油田にようこそ! いい湯加減かな? 中華鍋は世界を制するよ。

 いや、こいつの書いてることは信じちゃいけない。なにせ想像なんだから!
 お前が本当だと思ったことを信じればいいんだよ。それを基軸に、お前の時間を回すんだ… 何が本当か分からない? 想像力が足りないね! それとも感性失調症になったかな?
 脳は飾りに一生懸命だ、飾り物に… 脳も飾り物になった! 髄のほうには無頓着。よろしい! それはお医者さんに任せればいいからね。分業、分業! 自分の身体だって他人任せ、分身の術!

 あいつの話だった… あいつは断食を続けている… 断つ、なんて大袈裟なものでもないらしい… これがやつの〈自然〉なのだとやつは言う… 不自然、自然も、ないのだと… もうわれわれを必要としない、と!
 何の力も要らないのだ、と。死ぬ時も、生れた時と同じように… いや死も生も同じ、そこに力なんか要らないのだと。
 自然も不自然もない、生も死もない… ナイナイナイ。
 ということは、あるということ… なんでもありということも、あいつはわきまえているらしい。
 そしてわれわれを必要としない! お前たちは差別を生む相対を生む… 「わたしは言葉を必要としない」公言した!
 まいったねこりゃ! 話の進みようがない、われわれを拒んでATフィールド全開だ! あいつは固定観念の化物だ…
 仕方なし! 別の部屋を、住人を!
 ん? ここより他の場所はない? この地上に住まう住人を描いてるんだって?
 ならばネタに溢れているじゃないか、事欠かない、あり余る… 天ぷらにすればいい、衣をつけて! 寿司じゃダメだ、夏は、生ものは!
 うまく纏うんだ、見映え良く… わかり易く、われわれを使うんだ… 時代に合わせろ! 迎合しろ、しなやかに!
 ダメだって? いやお前に訊いちゃいない… どうせお前のは読まれない、安心し給え。
 お前は一瞬のトビウオだ。熱いから飛び出たんじゃない、これが私の自然なんだと、まだ言って…
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