第20話 四十の算賀

文字数 361文字

 長宝3年9月18日、わたくしの四十の算賀が、道長の土御門第にて行われた。道長も、病勝ちで心配ごとは多い。わたくし自身の病気や、昨年暮れの彰子様のお産みになった皇女様が翌日お亡くなりになってしまったことなど、苦しいことの多かった昨今であるが、この日は、安らかでいられた。孫の代わりに道長の正妻倫子様のお産みになった太郎君と、かの源高明様の娘明子様のお産みになった次郎君がかわいらしい舞を披露してくださった。
 しかし、わたくしも、もう長くはないであろう。わたくしのただ一人のお子である一条帝が、立派に務めを果たしていらっしゃることが喜ばしい。定子様のお産みになった孫の一宮は、まだ四つ。男皇子がまだ一人しかいらっしゃらないのが心配である。が、どうにも仕方がない。
 栓子は、この年閏12月、院別当の藤原行成の屋敷にて崩御した。
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登場人物紹介

藤原詮子…藤原兼家の正妻時姫の娘。同母の兄弟は、長兄道隆盛・次兄道兼・弟道長、姉超子。異母兄弟多数。我が子は、一条天皇だけ。

円融帝…冷泉天皇の弟。母は、兼家の姉藤原安子。村上天皇から見ると冷泉天皇は第2皇子。円融天皇は第5皇子。安子から見ると、第1皇子が冷泉、第3皇子が円融。ややこしい…。我が子は、一条天皇だけ。

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