第24話 日曜日、銭湯で

文字数 1,953文字

 日曜日にスーパー銭湯のサウナでボッタボタ汗を垂らしながら考えていた。日記の文字数が五万字を超えている。いつまで日々の雑記を続けようか。

 現状、毎日食べたものの記録になっている。最初のコンセプトだった「日常を旅とする」から離れてきているような気がする。徳川美術館へ行ったことやバンテリンドームでの野球観戦についても書いたけれど、食べた物の記録がメインだ。この日記を最後まで書き終えた時に僕は何を思うのだろう。

 サウナに入ってから12分が経過していた。100度を超えるドライサウナの中でこってり絞られて身体の余計な水分を放出し、超冷たい水風呂に1分ほど浸かって、雨がしとしと降る露天風呂の脇でプラスチックチェアに座り、また考える。

 旅の定義って何? 9月から11月まで3か月かけて日本全国を周遊した。あれは間違いなく旅だった。今、僕が毎日違う店に行ってランチを食べるというチャレンジをしているのは、旅ではないのかもしれない。飲み友のポニーくんと初めてのお店に行って飲んだり食べたりするのはどうか。娘のモッさんと徳川美術館へ行ったのは、観光というか旅行ではないかな。

 寒っ。もう一度ドライサウナに入り、蒸されながら続き続き。

 例えば「旅」の解釈をこうしてみる。

『新しいことを発見する』
『初めての場所へ行く』

 これなら、僕の毎日は旅になる。毎日新しい発見があるからだ。そしてこの場合、小説を書くことだって旅になる。たいていは知らなかったことを調べて、知って、書くから。まぁ調べるのに時間をかけてるせいで2つの小説が休止中なんですケド。

 サウナを出て、水風呂をスルーして外気浴へ向かう。今日の気温は10度程度だから寒くて、水風呂なんて必要なかった。露天風呂では大学生くらいの男子3名が楽しそうにお喋りをしている。

 ……何を考えてたっけ。ああ、そうだ。
 考え方次第で、日常は旅になる。別に日記やnoteを書かなくったって、自分の海馬、そして大脳皮質には日々の暮らしが情報として整理されて刻まれていく。人生は旅で、人は皆、旅人なんだ。自分が旅をしていることに気付くか、気付かないかの違いだけだ。旅として記録するか、日記として書くか、どこにも書かずに暮らすかの違い。それだけだ。どうしてたって、やがて旅は終わる。

 薬草風呂に入る。体に良い理由がつらつらと掲示されていて、それを読んでいるだけで何か回復しているような気になる。

 この日常旅日記は十万字に達するか、それでなくてもあと1か月ほどで終了とする。そのあとはぼちぼち小説を書くんだ。どっかへ遊びに行ったり、珍しいものを食べたら都度noteに書いていくつもり。日記はnoteの方が書きやすい。iPadでは操作しにくいけど、パソコン画面での書きやすさは異常。それにリンクを挿入できるのが便利すぎる。いまいち機能を使いこなせてないけど、徐々に慣れていこう。

 薬草風呂を出て、最後のサウナタイム。考え事をしていると10分なんてあっという間で、でも15分くらい入っているとのぼせてしまうから、あいだを取って12分くらい蒸されることとする。

 初めて書いた拙作「クレイジーサンセット」から始まって、毎日のように夜中、文章を書いてきた。当時は19時終わりの仕事だったから、帰って晩御飯を食べて風呂に入ってなんだかんだして、ベッドの上で寝転ぶのが23時頃。そっから3時間程度、小説を書いて、ほとんどの日は寝落ちしていた。足りない分は朝早く起きて書いていた。ただ書くことが楽しいだけで、よくそんな生活ができたもんだ。勿論、体調不良に陥ることが数回あって、それで会社を休んだ日ですら寝床でiPadに向かって文章を打ち込んでいたりもした。作文ハイの状態だったと思われる。

 汗だくにてシャワーを経て、外気浴へ移る。……大学生たちはまだ露天風呂にいて、半身浴で駄弁っている。よくのぼせないなぁ。
 雨がそぼ降る中でリクライニングチェアに寝そべり、白い冬空を見つめる。

 日記じゃなくてもいい。ファンタジー小説だってアレな小説だって、書いてる時の自分の生活や考えていること、周りの環境やその時興味のある事柄が色濃く反映されているはず。だからとにかく書いていれば、いつか読み返した時に、その頃の自分を思い出すことができるんだ。

 炭酸風呂や天然温泉に浸かり、1時間半の「風呂旅」は終わった。

 瓶売りコーヒー牛乳を買って、飲んで、退店する。

 銭湯へ行くという予定しかない日、どれだけ余計な事を書けるか試してみた。2,000文字にも満たなかったわけで、僕は思考の薄っすい人間なんだなと再認識。
 そんでも、まだまだ書くでぇ〜。

【本日の出費】

 スーパー銭湯
 850円
 瓶売りコーヒー牛乳
 150円

 計1,000円
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