第36話 春を探して日帰り京都旅 前編

文字数 2,086文字

 会社がお休みの平日金曜日。名古屋駅の新幹線改札口を通った。
 日帰りで京都へ行くのだ。目的は京都府立植物園で桜を観て、撮ること。

 キオスクでみそカツ弁当とコスタコーヒー・ブラックのペットボトルを購入してホームへ。しかしそこで、きしめん屋を見てしまう。あー、朝はきしめんでも良かったかなぁ。

 のぞみに乗り込み、窓際席でさっそく、みそカツ弁当を広げる。名古屋から京都駅までは35分で着くから、さっさと食べなければ。
 蓋を開けて、みそソースとゴマを袋から出し、カラシも……ブシャッ。



 袋から勢いよく飛び出したカラシが、手とジーンズをちょっと黄色く染めた。
 売店で弁当を買った時にウェットティッシュを入れてもらえたから、そいつで拭いて事なきを得たでごわす。危ない危ない、今日はティッシュも折り畳み傘もタオルも替えのマスクも、なーんにも持ってきていない。朝、寝ぼけまなこで準備していたから、色んな物をバッグに入れ忘れていた。着替えなんていう余計な重い物は入ってるくせに。

 みそカツはさすが名古屋のソウルフード。みその甘さとカラシ、ごまの風味が絡まりあって、カツの旨味を引き出している。副菜もうんまいぜぇ。これで午前中に使用するためのエネルギーを充填できました。感謝。

 窓の外の風景をぼうっと眺めていると、京都駅に着くとのアナウンス。
 弁当は車内のゴミ箱に捨て、コスタコーヒーは飲み切れなかったので手持ちで降車した。

 案内板を頼りに駅構内を歩き、地下鉄烏丸線に乗り、北山駅まで。
 地下鉄は平日の通勤客でごった返していたが、五条駅までであらかた降りていったので、あとはのんびり天井を見つめて過ごした。考えることはたくさんあるけど、今日は何にも考えずに過ごそうと思う。せっかくの旅を楽しもうじゃないか。

 北山駅を出て、植物園に至ったのは8時45分頃。まだ開園しておらず、突っ立ったまま白く濁った空を眺めていた。本日、雨は降らない予報だったはず。折り畳み傘を持っていないので、降ったら一巻の終わりである。というか晴れてくれないと写真映りがねぇ……。



 開園後は、お客さん皆が桜に殺到するのを尻目に、チューリップや他の花を撮って廻った。別に桜は逃げないし、時間を稼いでいるうちに空が晴れてくれないかな、なんて思って。

 そうそう、今日はカメラを持ってきたのだ。かなり前に兄のアニィから貰い受け、ほっぽらかしていたらレンズにカビが生えてしまったカメラ。カビが生えても写真を撮ることはできる。

 たくさん写真を撮った。この日記には厳選したものを載せ、noteの方にいっぱいアップしよう……と思ったけど、厳選しきれなかったのでこっちにもいっぱい載せます。







































 とまぁ、こんな感じでパシャパシャして周り、だいたいの場所を観たら10時半。そろそろ動物園に向かいますかね。えーと、歩きで……およそ5キロか。1時間ちょっとで着きそうだ。

 京都市動物園に至るまでの道中。





 鴨川を越えて、バリバリ歩き、下鴨神社を参詣する。東西両方の本殿が国宝に指定されている、神話レベルの古代から存在するらしき凄い神社、らしい。京都には何度も来ているけれど、この神社は初めて。









 本殿は撮影禁止だった。それほど写真を撮らなかったけど、敷地面積は東京ドーム3個分あるそうで、廻っている時間がなかったためそそくさと通り抜けてしまった。

 さらにテクテク足早に歩く。すると、八ツ橋発祥の家という文字が目に飛び込んできた。



「あの、ここが八ツ橋発祥の場所なんですか?」
「そうです。300年くらい前、江戸時代からですね、隣の熊野神社の茶店として始まりまして」

 と、にこやかに答えていただいた。まだお土産を買うタイミングではなかったけど、発祥の地を訪れた記念に「あん生八ツ橋さくら抹茶」という1箱を購入した。そのあと隣の熊野神社に詣る。



 さあ動物園、そう思い歩みを進めていたら、平安神宮があるじゃありませんか。以前、堂本剛さんのライブを観るため訪れたことのある場所だ。



 庭園があるのか。そこには、しだれ桜がたくさんあるそうな。それは是非パシャパシャしなければ。まずは詣りまして。







 そしていざ、名勝の神苑へ。



















 イカンイカン、時間がどんどん溶けてくワと平安神宮を後に、というところで見てしまった。『平安神宮スパークリング日本酒』? そりゃ買うでしょ。ということで購入。明日飲んでみようかな。……という文章を今書きながらその日本酒を手に取って見ている。「右近の橘の実使用」とラベルに記載されており、気になって調べると、対極殿横の桜が「左近の桜」で、反対側にあるのが「右近の橘」という木。橘はミカンのような果実であるという。

 瓶をバッグに入れたことで、そこそこの重量が生まれた。ま、まぁこのくらい以前の旅に比べればなんてことないし。日帰りできない場合を考慮して着替えを持ってきたことを後悔し始めるも、とにかく歩いて進むしかないじゃん、と自分に言い聞かせ、一歩一歩足を前に出す。

 文章は少ないのに、写真が多いせいで長くなってしまった。
 というわけで後編へ続きやす。
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