第4話 おじさんは今日も異世界恋愛を書く準備をする

文字数 2,690文字

(4)おじさんは今日も異世界恋愛を書く準備をする

おじさんは異世界恋愛を書くために準備をしている。
昨日決めた設定はこれだ。

・物語の舞台はどこかの惑星。
・主人公は2人。女性主人公と男性主人公。

おじさんは茫然とした。

内容がほぼ未定・・・

だから、今日も異世界恋愛の準備をすることにした。


***
・主人公の職業を決める

シンデレラ・ストーリーの異世界恋愛を書くことに決めたから、主人公AとBはこんな感じだ。

女性主人公A=どこかの惑星(X)の一般女性
男性主人公B=どこかの惑星(Y)の王子

どこかの惑星の一般女性が家で王子様を待っていて、はたして出会うだろうか?

どこかの惑星と言っている時点で、宇宙空間には無数の惑星が存在し、膨大な数の地球外生命体が暮らしているはずだ。

― Y惑星の王子がわざわざX惑星まで来るのか?
― 王子がX惑星まで来たとして、一般女性Aをどうやって見つけるのか?

いろいろと謎が多いストーリーが出来上がりそうだ。
『こいつ、絶対よく考えずに書いてるよー』と言われそうな気がする・・・。

Y惑星の王子Bと会うためには、一般女性Aは積極的に王子を探しに行ないといけない。

― 一般女性Aは王子を探す旅に出る

この設定しかないだろう。つまり、肉食系女性が必要だ。

きっと、惑星Xから惑星Yに移動するのに、ロケットに乗らないといけないだろう。
王子が惑星Yにいるかどうか分からないから、幾つも惑星を旅しないといけない。

おじさんには一つの懸念事項が浮かんだ。

旅費、高そうだよね・・・

一般女性Aは王子Bを探すための宇宙旅行の旅費は持っているのだろうか?

逆だ!

おじさんは気付いた。

― 一般女性Aは宇宙旅行の旅費を稼いでから、王子を探しに行く!

そうすると、物語は宇宙旅行の旅費を稼ぐところからスタートするだろう。

一般女性が宇宙の惑星をロケットで旅する・・・。
宇宙旅行の旅費は1億円くらいだろうか?

とりあえず旅費を1億円としよう。

一般女性が会社で数年働いて貯められる金額ではなさそうだ。
横領とか悪いことしないと1億円は稼げない。
おじさんはレピュテーションを気にするから、風俗やキャバクラはダメだ。

― 異世界のダンジョンに入って一攫千金?

話としてはありえるけど、冒険者色が強くなる。
異世界恋愛には向かない。

― 魔法の美容薬を開発してその特許で稼いだ。

異世界ファンタジーだと魔法が使える。
異世界恋愛にはそっちの方が良さそうだ。

そうすると、おじさんが書くのは『ファンタジー=魔法っぽい』も入るから『異世界恋愛ファンタジー』だ。

おじさんはエピローグが書けそうな気がした。

***

・王子探しの動機

おじさんは女性主人公Aが王子を探す理由が必要だと考えた。
特に理由もないのに王子探しに出たら『こいつ、何で王子探してるの?』と思われてしまう。

シンデレラ=貧乏人

貧乏だから王子と結婚する。
シンデレラは『王子=金』だと思っている。金のために王子を探しているのだ。
これはロジック的に破綻しない。

でも、女性主人公Aは王子探しのための旅費1億円を貯め込んでいる。
金銭的に困っていない・・・。

じゃあ、なぜ王子を探すのか?

― 案1:金持ちの道楽で王子探している
― 案2:貧乏な家だけど王子を探すためにお金を貯めた

案1は大体の状況が説明できるだろう。
金持ちの女性が運命の人を探しにいく、お告げがあって探しに行く、これらは金持ちの道楽だ。でも、動機としては弱い。


案2は貧乏から脱出するために王子を探す理由がある。
金と名誉を手に入れるために王子を釣り上げにいくのだ。
実にシンデレラっぽい・・・。

でも、女性主人公Aは1億円持っているから金持ちだ。
そして、貧乏な家に1円も入れずに王子探しに行こうとしている。

クズだ・・・

おじさんは考えた。
宇宙旅行の費用が高額過ぎるので、こういう問題が発生してしまったのだ。

旅費を安くするか?
電車移動していると『異世界=地球外』のイメージが崩れかねない。

迷うところだが、旅費の1億円は変えない。
初期投資は必要だ。
リスクゼロで利益は生じない。

では、どちらを採用するか?

― 動機の弱い金持ち?
― 貧乏な家族を助けないクズ?

どちらも変わらないから、案2(クズ)を採用することにしよう。
お金は初期投資と考えればいいし、王子と結婚した後に実家にお金をあげれば、最低のクズにはならないだろう。

***

・おじさんはミステリーが好き

おじさんが小説を書く時、絶対に外せないものがある!

伏線・・・

おじさんはミステリーが好きだ。
話を読んでいて『あー、あそこがそうだったんだ!』とオチを見つけて楽しむことができるからだ。

なので、おじさんが書く異世界恋愛には伏線を入れるつもりだ。

おじさんは既に伏線を考えた。
考えてあるけど、ネタバレになるので今は書かない。

あと、オチは分かりやすいように、有名な小説と似たものにする予定だ。
その小説を知っている人は、『あー、あの話かー』となるはず。


そうすると、おじさんが書くのは『異世界恋愛ファンタジー的なミステリー』だ。
配分としてはこんな感じだろう。

― 異世界要素:5% => 地球外の設定なだけ
― ファンタジー:5% => お金を稼ぐのが魔法だっただけ
― 恋愛要素:30%  => 全体を通して恋愛小説を書く
― ミステリー:60% => おじさんの趣味


***

・昨日の宿題

昨日の宿題であった物語の構成は、主人公2人の独立型に決定する。
これは、考えたミステリーがそういう作りだからだ。

同時並行型でも書けなくはないかもしれないが、おじさんの執筆スキルでは無理だろう。

おじさんは女性主人公Aの『起』から『結』まで書いて、その後、男性主人公Bの『起』から『結』まで書く。
このうち、おじさんが伏線を仕込むのは『女性主人公Aの起』、『女性主人公Aの結』と『男性主人公Bの起』だ。
『男性主人公Bの結』で伏線を回収する。

図にすると、こんな感じ。

【図3:おじさんの異世界恋愛ファンタジー的なミステリーの構成】



おじさんはこの4話に全精力をささげて異世界恋愛ファンタジー的なミステリーを書くことを決めた。

他の話はサラッと流そう・・・

***

・主人公の名前

いつまでも主人公AとBだと可哀そうだから、おじさんはそろそろ名前を決めることにした。
名前をランダムに作ってくれるサイト(※2)で生成したらたくさんでてきた。
最近の流行りの名前がピンとこなかったので、名前は次の2つにした。

・女性主人公:マリア
・男性主人公:マーク


<続く>


※2:すごい名前生成器
https://namegen.jp/

【後書き】
次回から、女性主人公の話がスタートします。
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