第2話 最後に恋愛したのはいつだろう?
文字数 1,917文字
(2)最後に恋愛したのはいつだろう?
おじさんは異世界恋愛を書こうとしている。
おじさんは第1話を『恋愛』カテゴリーで投稿してしまった。
おじさんが異世界恋愛を書かずにダラダラとしていたら「恋愛じゃないから、他のカテゴリーに移動しろ!」と言われてしまう。
だから、何としても異世界恋愛を書かないといけないのだ。
おじさんは異世界の定義は習得した。だから、おじさんは既に『異世界おじさん』だ。
おじさんは異世界恋愛を書く資格が50%ある。
でも、おじさんはまだ『恋愛』を習得していない。
つまり、おじさんは恋愛を習得して『異世界恋愛おじさん』に進化しなければいけない。
***
おじさんには恋愛小説を書くのを躊躇っている理由が2つある。
『羞恥心』と『レピュテーション』だ。
・羞恥心
まず、「おじさんが恋愛?」と言われる羞恥心を捨てないといけない。
書いた恋愛小説を投稿する時、おじさんは「本当に掲載していいのか?」、「これは面白いのか?」と思って『投稿ボタン』をクリックする手が震えるだろう。
これは将来的に乗り越えないといけない壁だが、異世界恋愛小説が出来てから考えればいい。
おじさんは書いてから考えることにした。
問題の先送りだ。
・レピュテーション
次はレピュテーション(評判、風評)だ。
おじさんが恋愛小説を書いたとして、その小説が会社の誰かに見られたとする。
そうすると「〇〇さんって、こんなこと考えてたんだー」とか「これって、セクハラですよ!」とか言われかねない。
おじさんは変な奴と思われるのは構わないが、〇〇ハラスメントは避けたいと考えている。
ペンネームはどこまでプライバシーを保護してくれるのだろうか?
もし、おじさんが青春恋愛小説を書いたとしよう。
中学・高校生はおじさんの子供くらいの年齢だ。
もし社内で知られたら酷い言われ方をするだろう。
犯罪者的な言われ方をするかもしれない。
そして、おじさんは深く傷付く・・・。
次に、おじさんがオフィスラブを書いたとしよう。
舞台が職場なだけに、設定が生々しい。
少しでもエロいことを書いたら、確実にセクハラと言われるだろう。
そして、おじさんは深く傷付く・・・。
世間の人たちは『おじさんは何を言っても傷付かないだろう』と思っているかもしれないが、それは間違いだ。
おじさんも傷つく。
おじさんが恐れているのはレピュテーションの悪化だ。
つまり、おじさんはレピュテーションを悪化させない異世界恋愛を書かなければいけない。
異世界恋愛のハードルがグングン上がっていく・・・。
・恋とか愛を探しに行く
おじさんはレピュテーションを悪化させない異世界恋愛を探したものの見つからないから、外に探しに行くことにした。
今日は土曜日。人もいっぱい出ているから、何かヒントがあるはずだ!
おじさんは日課のジョギングをしながら、近所の商業施設に行った。
おじさんが商業施設内を歩いていると、前から小型犬を連れた女性が歩いてくる。
おじさんの視線は可愛い小型犬(チワックス?)に釘付け。『犬+人』にしか見えない。
おじさんは今日の目標を思い出した。
今日は人を見にきたはずなのに、犬を見ているではないか。
― 犬を見るな、人を見ろ!
― 犬を見るな、人を見ろ!
― 犬を見るな、人を見ろ!
おじさんは気を取り直してベンチに腰を下ろし、歩いてきた人たちを見た。
― 楽しそうに歩いている家族。
― 険悪な雰囲気のカップル。
― ゆっくりと散歩する老夫婦。
人間観察は楽しかったが、おじさんは悟った。
恋愛は道端に落ちていない・・・
多分だが恋愛を理解するためには実体験が重要なのだ。
実体験を積み重ねるのは時間が掛かりそうだ。
このままでは、いつまで経っても異世界恋愛を書けないかもしれない。
人間観察を諦めたおじさんが歩いていると、目の前に建物があった。
モダンフレンチで有名なレストランだ。
― レストランの前でコスプレをした若者が写真を撮っている。
― フリフリの服を着た女の子も写真を撮っている。
そのレストランは遠目にはお城のように見える。
コスプレの若者は知らないが、少なくとも女の子の方は、お姫様+お城をイメージしているようだ。
おじさんは気付いた。
女の子の恋愛はお姫様じゃないのか?
おじさんは『シンデレラ・ストーリー』という言葉を思い出した。
一般人女性が成長と幸福を手にする物語だ。
おじさんは異世界恋愛に置き換えて考えた。
シンデレラ・ストーリーの異世界恋愛とは、一般の地球外生命体(女性)が王子と結婚する話だ。
これならおじさんにも書けそうな気がしてきた。
恋愛を習得する必要はないし、レピュテーションは悪化しない。
こうして、おじさんはシンデレラ・ストーリーの異世界恋愛を書くことに決めた。
<続く>
おじさんは異世界恋愛を書こうとしている。
おじさんは第1話を『恋愛』カテゴリーで投稿してしまった。
おじさんが異世界恋愛を書かずにダラダラとしていたら「恋愛じゃないから、他のカテゴリーに移動しろ!」と言われてしまう。
だから、何としても異世界恋愛を書かないといけないのだ。
おじさんは異世界の定義は習得した。だから、おじさんは既に『異世界おじさん』だ。
おじさんは異世界恋愛を書く資格が50%ある。
でも、おじさんはまだ『恋愛』を習得していない。
つまり、おじさんは恋愛を習得して『異世界恋愛おじさん』に進化しなければいけない。
***
おじさんには恋愛小説を書くのを躊躇っている理由が2つある。
『羞恥心』と『レピュテーション』だ。
・羞恥心
まず、「おじさんが恋愛?」と言われる羞恥心を捨てないといけない。
書いた恋愛小説を投稿する時、おじさんは「本当に掲載していいのか?」、「これは面白いのか?」と思って『投稿ボタン』をクリックする手が震えるだろう。
これは将来的に乗り越えないといけない壁だが、異世界恋愛小説が出来てから考えればいい。
おじさんは書いてから考えることにした。
問題の先送りだ。
・レピュテーション
次はレピュテーション(評判、風評)だ。
おじさんが恋愛小説を書いたとして、その小説が会社の誰かに見られたとする。
そうすると「〇〇さんって、こんなこと考えてたんだー」とか「これって、セクハラですよ!」とか言われかねない。
おじさんは変な奴と思われるのは構わないが、〇〇ハラスメントは避けたいと考えている。
ペンネームはどこまでプライバシーを保護してくれるのだろうか?
もし、おじさんが青春恋愛小説を書いたとしよう。
中学・高校生はおじさんの子供くらいの年齢だ。
もし社内で知られたら酷い言われ方をするだろう。
犯罪者的な言われ方をするかもしれない。
そして、おじさんは深く傷付く・・・。
次に、おじさんがオフィスラブを書いたとしよう。
舞台が職場なだけに、設定が生々しい。
少しでもエロいことを書いたら、確実にセクハラと言われるだろう。
そして、おじさんは深く傷付く・・・。
世間の人たちは『おじさんは何を言っても傷付かないだろう』と思っているかもしれないが、それは間違いだ。
おじさんも傷つく。
おじさんが恐れているのはレピュテーションの悪化だ。
つまり、おじさんはレピュテーションを悪化させない異世界恋愛を書かなければいけない。
異世界恋愛のハードルがグングン上がっていく・・・。
・恋とか愛を探しに行く
おじさんはレピュテーションを悪化させない異世界恋愛を探したものの見つからないから、外に探しに行くことにした。
今日は土曜日。人もいっぱい出ているから、何かヒントがあるはずだ!
おじさんは日課のジョギングをしながら、近所の商業施設に行った。
おじさんが商業施設内を歩いていると、前から小型犬を連れた女性が歩いてくる。
おじさんの視線は可愛い小型犬(チワックス?)に釘付け。『犬+人』にしか見えない。
おじさんは今日の目標を思い出した。
今日は人を見にきたはずなのに、犬を見ているではないか。
― 犬を見るな、人を見ろ!
― 犬を見るな、人を見ろ!
― 犬を見るな、人を見ろ!
おじさんは気を取り直してベンチに腰を下ろし、歩いてきた人たちを見た。
― 楽しそうに歩いている家族。
― 険悪な雰囲気のカップル。
― ゆっくりと散歩する老夫婦。
人間観察は楽しかったが、おじさんは悟った。
恋愛は道端に落ちていない・・・
多分だが恋愛を理解するためには実体験が重要なのだ。
実体験を積み重ねるのは時間が掛かりそうだ。
このままでは、いつまで経っても異世界恋愛を書けないかもしれない。
人間観察を諦めたおじさんが歩いていると、目の前に建物があった。
モダンフレンチで有名なレストランだ。
― レストランの前でコスプレをした若者が写真を撮っている。
― フリフリの服を着た女の子も写真を撮っている。
そのレストランは遠目にはお城のように見える。
コスプレの若者は知らないが、少なくとも女の子の方は、お姫様+お城をイメージしているようだ。
おじさんは気付いた。
女の子の恋愛はお姫様じゃないのか?
おじさんは『シンデレラ・ストーリー』という言葉を思い出した。
一般人女性が成長と幸福を手にする物語だ。
おじさんは異世界恋愛に置き換えて考えた。
シンデレラ・ストーリーの異世界恋愛とは、一般の地球外生命体(女性)が王子と結婚する話だ。
これならおじさんにも書けそうな気がしてきた。
恋愛を習得する必要はないし、レピュテーションは悪化しない。
こうして、おじさんはシンデレラ・ストーリーの異世界恋愛を書くことに決めた。
<続く>