第6話 おじさんは異世界恋愛の続き(承の1)を書く

文字数 2,550文字

(6)おじさんは異世界恋愛の続き(承の1)を書く

おじさんが小説を書いていることを知っているのは、奥さんとラノベ好きの知人の2人だけだ。

ラノベ好きの知人もおじさんだから、ここでは『ラノベおじさん』と呼ぶことにしよう。

どちらのおじさんのことを言っているか分からなくなるから、この文章を書いているおじさんのことは『異世界恋愛おじさん』と呼ぶ。

ラノベおじさんは、異世界恋愛おじさんが異世界恋愛ファンタジー的なミステリー小説を書いていることをネットで見つけて、異世界恋愛おじさんにメッセージを送ってきた。

自分で書いていて何だが、文章が分かりにくい・・・

分かりにくいから、やっぱりアルファベットにしよう。

・A=ラノベおじさん
・B=異世界恋愛おじさん
・C=異世界恋愛ファンタジー的なミステリー小説

さっきの文章は、こういうことだ。

AはBがCを書いているのをネットで見つけて、Bにメッセージを送ってきた。

Aは恋愛小説が好きらしい。『Cを書く前に言ってよ~』とBに言ってきた。

ラノベおじさん(A)が言うには『恋愛小説の鉄板は百合かハーレム』とのことだ。

おじさん(B)はハーレムのことは知っている。
男1人に対して複数女性とイチャイチャするやつだ。逆バージョンも知っている。

― 百合(ゆり)?

おじさんは『百合』を知らない。

まず、おじさんの頭に浮かんだのは吉永小百合だ。
『鹿のフン』という関西では有名な曲を歌っていた国民的女優。

もし吉永小百合だったら、ラノベおじさん(A)は『小百合』と送ってくるだろう。

― 吉永小百合が恋愛小説の鉄板?

意味が分からん・・・。やはり、吉永小百合ではなさそうだ。


異世界恋愛おじさん(B)はラノベおじさん(A)に勇気を出して聞いた。

― 百合って何?

ラノベおじさん(A)は異世界恋愛おじさん(B)の質問に親切に答えた。

― 女性同士が きゃはは ウフフ です

異世界恋愛おじさん(B)はラノベおじさん(A)に確認する。

― ひょっとしてBLの逆?

ラノベおじさん(A)が返信した。

― そうです。BLの逆。

どうやら『百合=ガールズラブ』ということらしい。

おじさん(B)は『ガールズラブ』に健康的なイメージを持っている。
どちらかと言うと、エッチなイメージはない。

それに引き換え、

― 百合・・・・

気のせいかも知れないけど、すごくいやらしい想像をしてしまう。

かなりお酒を飲んだ後でないと、おじさんは『百合』というのが恥ずかしい。

話が逸れてしまったが、とにかく、異世界恋愛おじさん(B)は既に異世界恋愛ファンタジー的なミステリー小説(C)を書くと公言してしまっている。

― ここ数日の投稿を修正すればいいのではないか?

いや、ダメだ!
初めからおじさんの日記を読んでいる人が混乱してしまう。
エピローグを既に投稿しているから百合やハーレムに軌道修正するのは難しい。

それに、ラノベおじさん(A)の情報では、百合に男性キャラが登場して炎上したモバイルゲームがあったらしい。
男性が登場しているから炎上覚悟で話を戻すわけにもいかないだろう。

おじさんは女性主人公の承(その1)を書き進めることにした。


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【2】オラオラ系にメンタルをやられる肉食系女子


私の名前はマリア。私はある筋からサイコ惑星の王子が今フリーであるという情報を入手し、サイコ惑星に入国した。

私が入手した情報によれば、サイコ惑星のパス王子はナルシストだ。筋トレを毎日欠かさない。
そして昭和風に言えば『ガテン系』、今風(?)に言えばオラオラ系男子とのことだった。

韓流ドラマの財閥系プリンスのような奴だ。

私はその手の男子を落とすために恋愛バイブル本を読みあさり、万全の備えをした。
そして何とかツテを使って王子様が出席する舞踏会に参加した。

「初めまして、パス王子。私はマリアと申します。パス王子のお噂はかねがね伺っております。なんて素敵な筋肉でしょう。ちょっと触ってみてもいいですか?」

この手の男子は褒めるに限る。そして私はイエスマンに徹する。

「いいよー。特に何もしてないんだけどね」

テスト前の優等生のような発言だ。勉強してないのにいい点とれないよね?
トレーニングしてないのに、マッチョになるわけがない。

このタイプはスケベだ。だから、私はワンレン・ボディコンを着てきた。
バブルの時に流行ったセクシーなドレスを選んだからガツガツ来るはずだ。

「そのドレス素敵だね?」

釣り上げた!
ワンレン・ボディコンはパス王子の好みだったようだ。
私はパス王子好みの女性を演じてデートの約束を取り付けた。

順調に交際がスタートした。
デートの誘いは3回に1回は断るようにしている。
ワイルド系男子はハンティングが好きだ。
少し思い通りにならない方が燃えるらしい。

パス王子とは暫く順調にいっていた。
でもマンネリ気味になってくると、パス王子は本性を出すようになった。

「お前、下流貴族出身だろ?だから下品なんだよ。しぐさとか」
「申し訳ございません。直すように心がけます」

何が下品なのかは分からなかったが機嫌を取るために、私はイエスマンに徹する。


「お前、よく見たらそんなに可愛くないよな」
「申し訳ございません。化粧で可愛くなるように努力します」

化粧で何とかなるかは分からなかったが機嫌を取るために、私はイエスマンに徹する。


「その態度はなんだ?なんか文句でもあるの?」
「申し訳ございません。特に文句はありません」

どんな態度をとったのか分からなかったが機嫌を取るために、私はイエスマンに徹する。


私はパス王子に腹が立ってきた。
このまま結婚しても幸せになれない。
一生罵倒されて生きていくのは嫌だ。

最初はオラオラ系でかっこいいと思っていた。
でも、暴言が多いから好きという感情も薄れてきた。
そして、心も病んできた。

だから、私は別の王子を探すことにした。

私は夜逃げのようにカインド惑星行きのロケットに乗った。

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<続く>

【おじさんの感想】

肉食系男子、猛獣系男子の全員が悪い訳ではありません。考慮すべき事項は、あなたがその男子に合わせるのにメンタルをどれだけ病むかです。
メンタル的に難しいのであれば、さっさと止めましょう!
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