第19話

文字数 646文字

年末のライブは大盛況だった。
数人のネット上の僕のファンは、僕らのアツアツぶりにやれやれと諦めて帰って行った。

closer
mints &apples
2人の距離を狂おしく歌った曲。

まみは体験した事がないであろう、貧しい年越しを一緒に過ごし、春からの同棲を約束して帰って行った。

それから、待つ日々は辛かった。
一歩歩く度、「まみ、まみ、」と唱えた。

そして、やっと迎えた春。
待ち望んだ春。

僕らはアパートを借り、小山での同棲を始めた。
と同時に、もらったシンセサイザーを思い出し、まみに練習させてキーボード・コーラスとしてバンドに参加させた。
弟が自分のバンドが忙しくなると、ベーシストを募集し、僕らはより精力的に活動して行った。

リハーサルでも使ってた小山crossroad、古河spider、宇都宮hellodolly。

僕はキャリアハイを意識していた。
良い曲が次々に書けた。
bad day
something new
in a different place
it's over
I'm done
car crush

しかし、同じ問題に悩まされた。
もう30、メンバーの仕事、集まりの悪さ。
ふたりきりになれないまみのさみしさ。

4年、ちょうどそんなタイミングで、まみの妊娠が発覚した。

栃木に来てくれたお返しに、結婚したら愛知へと約束していた。

僕はバンドを休止、愛知への転居へ向けた準備をし、落ち着くと、身重のまみとのふたりユニットontournowthruforeverとして、さよなら栃木ありがとうライブを計画した。


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