第30話 エピローグ
文字数 299文字
森へ。
誰も居ない、森へ。
遺書はない。
さよならは、しない。
深く、ただ深く。
死ぬまで歩く。
腹は減り、意識は遠のく。
だけど、不思議と楽だ。
身体が軽い。
頭が、軽い。
責任。
たくさんの責任を放棄して、僕は居なくなる。
サイナラだ。
苦しみから逃げ回っただけの人生。
逃げるためだけに生まれた。
逃げて、死んでいく。
みんなから奪った楽しみだけを味わった。
みんなに苦しみだけを与えた。
僕は誰?
死ぬ間際に分かるのかな?
死んでごめんなさい。
生きて、ごめんなさい。
春が呼んでる。
まみ、愛してるよ。
暑い夏の日。
樹海の木々に一行ずつナイフで刻まれたその珍妙な詩を辿った先に、一人の男が息絶えた。
その死に顔は、やはりぽかんとしていた。
誰も居ない、森へ。
遺書はない。
さよならは、しない。
深く、ただ深く。
死ぬまで歩く。
腹は減り、意識は遠のく。
だけど、不思議と楽だ。
身体が軽い。
頭が、軽い。
責任。
たくさんの責任を放棄して、僕は居なくなる。
サイナラだ。
苦しみから逃げ回っただけの人生。
逃げるためだけに生まれた。
逃げて、死んでいく。
みんなから奪った楽しみだけを味わった。
みんなに苦しみだけを与えた。
僕は誰?
死ぬ間際に分かるのかな?
死んでごめんなさい。
生きて、ごめんなさい。
春が呼んでる。
まみ、愛してるよ。
暑い夏の日。
樹海の木々に一行ずつナイフで刻まれたその珍妙な詩を辿った先に、一人の男が息絶えた。
その死に顔は、やはりぽかんとしていた。