第15話

文字数 706文字

僕の郷里は栃木県小山市、現在では栃木県で2番目の都市だ。
しかし、僕が育ったのはその外れで、雑木林ばかりのど田舎だった。

横浜から4時間、開発は進んでるものの、まだ当時の面影を残す、中学生までを過ごしたあたりに差し掛かると、ちょうど尿意もあり車を停めた。
都会とは別種のうだる様な暑さの中、立ち小便をした。

そう言えば立ち小便など何年ぶりだろう。
この立ち小便の描写から始まる暗い日々と悲劇的な結末をファンタジーに仕立てた短編を、僕は後にメンバー募集の為登録したコミュニケーションサイト(SNSのはしり的なもの)の自分のルーム内に、「猫」というタイトルでライブ評や音楽評論と並べた。

懐かしくなり、住んでいたボロ長屋を少し散策した。

取り壊す予定なんだろうか、スラム化が進んでいた。
そんなに変わってない風景も、なんだかミニチュアの様に感じ、大人になったんだなと思った。 

それから通っていた学校、友達の家、車で少し廻ってみた。
しかし、横浜で跡形もなくなった僕が居た証拠は、ここにもどこを探しても見つからなかった。

実家には母親と弟、弟の彼女が居た。
特に弟は僕を歓迎してくれ、バンドもベースで手伝ってくれると言ってくれた。 
少し救われた。
メンバー募集の成果で、来て早々いくつかオーディションに出掛ける事になった。

in the worst way
new light
are you my foe again
tragic ride
monday
書き下ろしの曲がいくらでも出来た。
ドラマーが決まり、弟をベースに僕らは小山での活動を開始した。

僕はこのバンドにshorterhaircutと名前を付けた。
心機一転、である。
過去の曲はやらなかった。
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