第44話沢田看護師のマッサージ そして朝

文字数 1,371文字

沢田看護師は、目的を告げた。
「直人様のマッサージです」
直人は、首を傾げた。
「それなら、杉本さんか、南さんでも?」
そうでなければ、何のためにメイドが二人もいるのか、わからなくなる。

杉本瞳が(少し悔しそうな笑みを浮かべて)沢田看護師を補足した。
「沢田さんは、私たちでは知らない、特別のマッサージができます」
南陽子は、沢田看護師に少し頭を下げた。
「体内の様々なツボに詳しくて、私たちの師匠です」

直人は、そう言われても、眠くて仕方ないのが事実。
「沢田さん、あの・・・寝ていてもいいですか?」
沢田看護師は、うれしそうな顔。
「はい、お好きな時に、お眠りになられてかまいません」
「では、下着も全て外して、うつぶせに」
「オイルも使いますので」
(直人が聞いている途中から、杉本瞳と南陽子は、オイルマッサージの準備を始めている)

それでも、直人は下着を外すことに、ためらった。
オイルマッサージそのものが、初めての体験で、何が何やら、さっぱりわからない。
それと、何度も裸を見られたり触られたりもしているけれど、直人はまだ18歳の男子である。
こんな明るい照明で、美少女や美女の前で全裸になるのは、やはり恥ずかしい。

ただ、そんな抵抗も空しかった。
直人は三人の若い女性の「手際の良さ」に抗せなかった。
あっという間に、服を全て脱がされ、ベッドにうつぶせにされた。

実際、オイルマッサージは、不思議な感覚。
確かに、身体全体が、よくほぐれるような感じ。
ツボと言っても、よくわからない。
身体の内部、奥が温かくなるような感じがあるから、効いているのだ、と思った。
ただ、途中から、強い違和感。
背中に、お尻に、脚に、やわらかくて、しっとり(重みもある)としたものが、触れて来る。(肌そのもの、と思った)
「もしかして・・・沢田さんも・・・脱いでいるの?」
しかし、振り返るには、マッサージの快感が強過ぎた。
それと、直人には、沢田看護師の裸を見る勇気はなかった。
結局、いつの間にか、(心の中では、見たいとか、残念の気持ちはあったけれど)、直人は眠りの世界に入ってしまった。

直人が目覚めたのは、午前6時少し前。
うつぶせから、いつの間にか、あおむけになっていることは、わかった。
しかし、それ以上に、下腹部に違和感(締め付けられるような)が強い、どっしりと逃げられないような重みを感じた。

目をしっかり開けて、直人は、すぐに目を閉じた。
(確認したのは、沢田看護師の女神様のような全裸姿)
(もう、どうにもならない状況だった)

「ごちそうさまでした、直人君」
約1時間後、直人はようやく解放された。

「はぁ・・・」
(直人は、まだ息が荒い)

沢田看護師は、整った上半身(それほど大きくはないが、美しい)。
うれしそうな顔だ。
「ようやく食べることができました」
「元気ハツラツの直人君でした」

「おかげさまで」
(言っていて、自分でも恥ずかしい)

注文がついた。
「もう少し、我慢しましょうね」

「はい、頑張ります」
(これも情けないと思う)

そんな会話をしていると、杉本瞳と南陽子が入って来た。
(二人とも真っ赤な顔、おそらく、見られていた、と直人は察した)

杉本瞳
「まずは、露天風呂で汗を流して、朝食になります」
南陽子
「その後は、2階の教室」
「午前の授業は、哲学になります」

直人は、現在の状況と「哲学」のギャップに、違和感を覚えている。
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