第6話

文字数 442文字

「おかえり。」
「あぁ、ただいま。」
「私、高校に行くことにした。」
「ほぉ~、急だな。」
急だと思う、私が急に行きたいと思ったんだから、父からしたらもっと急なことだと感じただろう。
「バイトがしたい、あと高校くらい出ておいてもいいかなって思って。」
「まぁいいんじゃないの、あ、高校は市内にしろよ、わざわざ市内にいるのに市外の高校に行く意味がわかんねえし、電車賃なんて出さないから。」
「わかった、少し出かけてくる。」
「おぉ、気をつけて。」
夜の19時、普通の中学生なら部活帰りだったり、宿題をしていたり、お風呂に入ったりしているんだろうな、私にとっての普通と周りの普通の違いはなんだろう。
自転車に乗る、住み慣れた地元の風景、私が小さいころから特に変わった様子のない地元、私にとってここはどういう場所なんだろう、どの道を通ればどこに出る、スーパーやショッピングセンターの場所もわかる、外で不自由することはない、かといって得をすることもない、そんなことを考えながら自転車を漕ぐ、夜の散歩は楽しかった。
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