第14話 閑話

文字数 665文字

可愛がっていたつもりはないが、今思うと愛情のようなものを持っていたものがいた。
家には猫があふれていたし、家の中で、存在すら知らずに食べられて、育つことなく死んでいく猫も多くいたことだろう、私が最後に確認した猫の数は12匹だった。
プレハブ小屋は私の居場所だったし、換気をするためにドアは開けずとも窓を開けることはあった、窓を開けたまま外出し、帰ってくると猫が部屋に居たことがあった。
オレンジ色のような毛の長い、少しふっくらした猫だった。
見たことはなかったし、ここは私の部屋だ、その時はその猫に対して何の感情も持つことはなく、あぁ、窓開けてたから入ってきちゃったのか。くらいの感想で、そのまま知らんぷりを部屋に本格的に入り、パソコンに向き合うことにした、その間に逃げていくだろうと思っていたのだが、猫は逃げていかなかった。
しばらくパソコンをいじっていると、オレンジ色の毛並みの猫が足元に体を摺り寄せてくる感覚がした、足元でずっと鳴きながら体を私の足に何度もこすりつけている。
パソコンで音楽を聴いて、本を読んでいただけだったので、本を閉じて膝を叩いてみると、猫が膝の上にふわりと身軽な動作で乗ってきた。
慣れてるのか、どこかの飼い猫なのかと色々考えはしたが、考えてもこの猫が膝の上にいることに変わりはないので膝の上で落ち着かせることにした。
猫を良く見ると首輪はしていなかったが、毛並みは良かった。
人懐っこさがあるようだから、多くの人間になでられてここまで来て、これからもいろんなところに行って、人に撫でられ、可愛がられるんだろうと思った。
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