第17話 閑話

文字数 756文字

べべはその後も何事もなく私の部屋を訪れて、一緒に寝たり、本を読んでいる膝の上で寝ていたりと気ままだった。
残ったべべには精一杯愛情を注げたらと思い、中学生のできる範囲の愛情を示したつもりだった。
祖母と揉めた時も、悲しくて、悔しくて泣いていた時も、茶々もべべも何を感じていたかはわからないが近くに居てくれたことは事実で、学校に行こうとしたときに途中までついてくることがあって、そんな2匹を見て、今日は学校に行くのを辞めようと思ってしまうような私だったのだ。私はそれが励みになったりしていたのだ。

ある日べべが窓から入ってくると、口に何かを加えていた。
何を加えているのかと思いよく見てみれば生きた雀だ、緩く加えていたのか、口から離させると雀は部屋から出ようと部屋中に体をぶつけながら飛び回っていた。
とりあえずと、雀を逃がし、べべに向き直った。
悪いことをしたと言う顔はしていなかったので、頭をなでて、よくとってきたねと声をかけながら撫でることにした。
満更でもなさそうに見えて私も嬉しくなったのだ。

次の日からべべが私の部屋に姿を見せなくなった。
どこにいったのか、猫は気まぐれと言うが、姿を見ない日は今までなかったはずだったのに。
散歩のついでに探してみたのだが、見つけられなかった。

3日後、近所の人が家に来て言った。
「私の家の庭で猫が死んでるのよ~。りりこちゃんの家の猫じゃなあい?」
確認しに行くと、思ってはいたがべべだった。
べべは私に見つからないところで1人でひっそりと死んでいたのだ。
べべを回収して新聞紙でくるみ、夜中に穴を掘った、茶々を埋めたところから少し離れたところに埋めた。
べべは最後に私にお土産をもってきてくれたつもりだったんだろうかとたまに考える。

茶々とべべが私と一緒に居てくれて助けられてたなとたまに思い出す。
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