第８話

高校の見学に行くために担任の先生の車に乗車した。
雪国の豪雪地帯で、見学に行くために先生は時間を作って車の雪を下ろし、車を温めてくれている。
乗り込むと行くよ～、という声がかかり車が出発する。
何を喋ったかは覚えていないが、車に備え付けられたカーナビから
[運命の出会い、きっとある。]
と、ウエディングのコマーシャルが流れていた、その瞬間。
「ねーよ。」
運転席からいつになく低い声が聞こえた、彼女は未婚だ。

高校に着けば、制服姿の生徒たちは下校している、寒そうにマフラーを巻いてそこに顔を埋めていたり、友達と帰宅を楽しんでいたり、私が中学校で見かけたことがある人が、高校の制服に身を包んで歩いていたり様々だった。

正面玄関に行けば、夜間高校の見学ですねと首から下げる入校証を渡されて、授業が始まっている時間ではあるけど、見学の前に教頭先生からのお話を聞くことになり、応接室のような場所に案内された。
高校では学校に来る前にアルバイトに行く生徒、起きる時間が遅いから起きる時間に高校があるからちょうどいいと言う生徒、人が多いところが苦手だと言う生徒、年齢が上の方もいます等色々な人物像の説明を受けた、資格を取れるものはたくさんとって、高卒認定試験なんかも在学中にとってもいいんじゃないかともいわれた。
教頭先生にも担任の先生にも失礼だったが、私が来た理由は家に帰りたくない気分でもあったからだったので、説明は話半分で聞き流していた。