第16話 閑話

文字数 741文字

そんな生活をして4カ月くらいたったころに、茶々が具合悪そうにプレハブで横たわっていた。
季節は冬だった。
ぐったりした様子の茶々をみて何かできることはないかと調べ、考えたが水を近くに用意して、部屋を暖めて撫でることしかできなかった。
そのうちに茶々が嘔吐きだしたので、背をさすっていると、出てきたのは緑色の液体だった。
ずっと苦げに、ぐったりして、ことあるがとに緑の液体を吐くことを繰り返した。

思い返してみれば、隣の家の人が私の家を良く思っていないことは明白で、歩いていれば猫の被害について私に説明してくることがあった、私の部屋に猫が出入りしているところも見られていたことだろう、どうして気づかなかったのかと自分が嫌になり、うんざりした。
茶々はずっと嘔吐いている、祖母は何もしてくれないだろう、父はいない、私に何ができたのかわからない、泣きながら茶々の背をなでることしかできなかったのだ。
半日もそうしていると茶々の息が短くなっていることに気づく、正直助からないことはなにも知らない私でもわかった。
苦しんで死んでいくのだ、私が茶々を家に招き入れなければ、もしかしたら別の家で幸せに引き取られて元気に暮らせていたかもしれない可能性を私は潰してしまったんだと思った。
ただ泣くことしかできず、息を引き取るまで頭をなでることしかできなかった。

茶々が息を引き取り、べべは相変わらずそばに居て私の近くに居てくれる、何もできずに、せずに私は茶々を見捨ててしまったんだと感じた。
茶々を固まらないうちに背を丸め撫でていると、だんだんと硬くなっていくのを感じた。

夜のうちに倉庫からスコップを取り出して、家の周りに穴を掘り、新聞紙でくるんだ茶々の遺体を埋めた。私は何かを背負える人間じゃないと気づいた出来事だった。
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