第1話

文字数 764文字

受験期、だんだん同級生が進路に向けて本腰をいれていく。
部長に同じ高校に行こうとは言われてはいたけど、そもそも受験の資格はあるのか、出席日数は足りないし、勉強をしたこともない、全力でやれば追いつけるのか、そもそも全力で打ち込めるだけの理由はあるのか、考えるだけでずぶずぶ布団に沈んでいく。
考えるだけ考えてやった気になる、どうせなにもできないんだからやらなけれなばいい。

学校に行けば担任の先生から
「高校はどうするの?中学四4年生するつもりなの?留年しちゃうよ?」
(馬鹿にしてるのか、勉強してなくったって小学生でもわかる、義務教育に留年の制度は現状ない。)
「そうですね、もう1年中学生するのもいいかもしれないですね。」
この子はなんなんだよと言いたげな顔だった、というより、もう1年も私に迷惑をかける気なのかと言いたげな顔に見えたのは私が邪推していたからなのか。

家に帰れば相変わらず汚い我が家、プレハブ小屋に入れば氷点下、寒いのでそそくさとヒーターをつけてパソコンを起動させる。
帰ってきて体が温まっている状態のうちに着替えを済ませてしまう、それにしても寒いが。
着替えて布団をかぶってパソコンの前に座る。
部屋が温まってくれば私の居心地のいい空間が出来上がる。
外の音も声もイヤホンをしてしまえば全部聞こえない、聞こえなければ誰が何を言っていようとどうでもいい、見えなければそれは存在しないんだからないことにしてしまえばいい。
気分よく音楽を聴いてのんびりしていた。

プレハブのドアを叩く音がする。
さすがにプレハブのドアを叩かれれば嫌でも認識しなければいけなくなるからその瞬間の現実に引き戻される時間が憎たらしい。
ドアを開けると父がいた、
「あれ(祖母)と縁切る。」
(また、何かあったんだなぁ。)
「着替えてくる。」
「車の中にいるわ。」
「わかった。」
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