第4話

文字数 1,117文字

久しぶりに自分の意志で学校に登校した、自転車でだが。
先生にお金を稼ぎながら高校の資格を取れる方法はないか聞きたかった。
「お金を稼ぎながら学校に行けるなら行きたいです、私は勉強もできないし、出席日数も足りないのでなかったら諦めます、お仕事探します。」
「りりこ~!学校に行く気になったのね!」
「なんとなくですけど。」
「わかった!あ~よかった。」
安心したんだろう、進学率やら、なんやらかんやらあるんだろう、私の知らない事情が。
やんちゃをしている女の子も男の子もなんだかんだ通信制高校に進むらしい、登校しなくていいのが魅力らしい、だからなんだと言うんだろうか、通信制高校なんて、学費が高くて私が行けるわけがないだろう。少しは調べてきている、給食費を滞納してしまう父、事務員さんが手続きをすると言っていたのにしないのが悪いと言い、口約束でも約束は約束だと言う父に事務員さんも何かを思っているだろう、怒りでも焦りでもなにかしらの感情があるはずだ。
そんな父も私と幼少期にした口約束を守ってくれたことがないので、父に対する信頼はほぼゼロだ、都合がいいのが大人なんだと感じた。そもそも私が高校に進学するとは父は思っていないだろう。
「りりこ、家を出たいって言ってたよね?じゃあ寮のある高校はどう?ここなんだけど。」
パンフレットを読むと山奥の、本当にコンビニもないであろう田舎の高校だった。
寮付き、食事つき、魅力的に見えた。
「片道2時間だけど、寮があるから問題ないと思う、まあ土日は寮を休みにしなきゃいけないから帰ってこないといけないんだけどね。」
(寮、とは?)
「そうですか、帰ってこなきゃいけない寮に入るのは嫌ですね。」
「そっかぁ、じゃあ定時制高校とかかなぁ。」
「なんですか定時制って。」
「夜間の高校だよ、昼間はアルバイトして~夜は学校に行くみたいな学校。」
「じゃあそこにします、そこでいいです、行けるなら。」
「おぉ~わかった、見学は?見学しに行く?」
「行けるなら。」
「わかった、じゃあ予定立てておくね、いやぁ~一期間に合うよ~よかったよ。」
「わかりました、じゃあそれだけなので帰ります。」
「うん、じゃあ連絡するから、snsの方に連絡送っても最近返事ないけど~?」
「最近いじってないので、後で見ますね。」
「じゃあ気を付けて帰ってね!」

帰り、自転車に乗って帰ろうとしたところで生徒指導の先生に呼び止められた。
「お前、自転車登校許可されてないよなぁ?あんまり調子にのるなよ?」
「はぁ、どうでもいいです。」
一瞬嫌な気持ちにはなったが、生徒指導の先生にも事情はあるだろうし、校則に従わない私が圧倒的に悪いではあるので聞かなかったことにしてそそくさと帰路についた。
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