第3話

文字数 699文字

壁を作るのは手伝うことにした。
壁を作るために家に入れば相変わらず汚い、異臭がする。
とりあえずの建築。
猫を祖母の部屋に追いやる、にゃーにゃーと大人の猫、子供の猫、様々な鳴き声がする、猫に罪はないのに一緒にされてしまう、しょうがないことなんだろうか。
私が生きていることと猫が生きていることの価値の違いはあるんだろうか、命に重さはあるんだろうか、人間の方が長く生きられる、種族的な問題で、それに関して人間が制御、抑制できるはずで、産まれて苦しい思いをしているであろう猫は幸せなのか。
この家に居る人間たちが避妊や去勢をしなかったことで猫も、人間も苦しんでいるんじゃないか。
頭の中で考えて、父もそんなことわかりきっているだろう、わかりきっているであろうことを口にして祖母に人生を汚された父を傷つけるのはいけないことだと思った、父のためにも私のためにも。
誰も憎めないのだ、憎めるはずないのだ、環境も憎めない、誰も憎めないのだ。
私が何もできないのが悪いのだ、何もできない中学生。
勉強もできない、毎日猫が苦しい思いをしている中で、涼しい部屋でパソコンを叩いている。
パソコンを叩くのも生産性があるのかわからない内容で叩く、音楽に逃げる、動画に逃げる、本ににげる、学校も逃げの手段でしかない、私は虐待されているという立場を使って全てから逃げて何もしていない、何もしない、できない理由しか探さない私が憎くなった瞬間だった。
祖母よりも、父よりも、汚い家よりも、家を井戸端会議のネタにする近所の住人よりも、落ちぶれた家をみて笑う親戚たちよりも、何よりもなにもできない、環境のせいにして逃げ続ける私が悪いのではないかと思った。
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