第11話

文字数 405文字

 正直に言えば、周は出会いからだますような手口には、気乗りがしなかった。しかし見合い写真などないために、美沙子の母が見繕った美沙子のスナップ写真を見たとき、(上手く行ったら、種明かしをすればいいだろう)と思ってしまった。つまり美沙子の事が気に入ってしまったのだ。

 さて二人のクラブハウスサンドイッチが同時に運ばれてきた。具がたくさん挟まって今にも崩れそうだが、ピックが刺さっているので、形が保たれている。
 ナイフとフォークも二人の前に並べられたが、多分切ったらバラバラになってしまうだろう。見栄えも味も落ちてしまう。

 周がナイフとフォークを無視して、紙で包んでそのままサンドイッチにかぶりつくと、美沙子もホッとした様子で、真似してサンドイッチを両手で持って食べた。

「美味しーい!」
「ね」

 一口食べて、美沙子が目を丸くして、声をあげたので、周もにっこり笑って相槌をうった。

「なぜこの席に座ったかというと、ですね」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み