第7話

文字数 451文字

 いつもなら迷わず木苺のシャーベットを頼むところだ。でも好きな食べ物は多少まずくても美味しく食べられる。だから点数が甘くなりがちかもしれない。それに何回も食べたことがあるから、なかなか感激できない。となると、点数はよい方にもなかなか振り切れない。つまり無難な感想になりがちだ。レビューを書くには面白くないかもしれない。

「それじゃあ、ピスタチオのタルトをお願います」

(わお、我ながら、なかなかの冒険じゃない?)

 美沙子はいつもと違うことをしてみるのも楽しいという気分になってきた。

 カランカラン。その時、木で出来た小さなドアベルがなって、男の人が入ってきた。店内はほどほどの混み具合で、まだ空いている席はいくつかあった。だから一人で四人掛けのテーブルに座っている美沙子も、落ち着かない気持ちになることもなかったのだった。

 見るともなしに見ていると、その男の人が美沙子に視線をピタッと合わせた。そしてスタスタとテーブルまで来ると、美沙子の前の席に「よろしいですか?」と言いながら、もう座っていた。

「あの…」
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