第14話
文字数 605文字
嘘の話を続けるのは心苦しいので、話を変えようと周が言うと、「うわあ!私、木苺にしようかと思っていたんですよ! もしかしてそれも、わかったんですか?」と美沙子が目をキラキラさせて聞いた。
「あっ、うん。好みが同じだね。それに美沙子ちゃんにあげたかったから」
周はそう言いながら、シャーベットを美沙子のピスタチオのタルトの横に取り分けた。反対に美沙子はピスタチオのタルトを半分に切って、周の皿に乗せた。ピンクと緑のかわいらしい一皿になった。
周からもらった木苺のシャーベットをスプーンですくって、口に入れると美沙子はふいにキュッと目をつむった。
「私、すぐに緊張してしまうんです」
美沙子のスプーンを持った手が震えている。美沙子は哀しそうな顔になり、小さな声で言った。スプーンを皿に置いて自分の手で震えを押さえつけるように握りしめた。
その小さな両手を、周はやはり両手でそっと包み込んだ。
「ねえ、僕、実は魔法使いなんだ」
震える美沙子は儚げで、周はおもわず嘘を重ねてしまった。美沙子は目を見開いて周をじっと見つめた。
「美沙子ちゃんが困った時には、魔法をかけていつも守ってあげる。えーっと。レマトレマト……! ほら、もう震えていないよ」
周が手を重ねていると、だんだんと美沙子の手も暖かくなってきた。やがて手の震えがおさまると美沙子はそっと周を見上げて、にっこりとほほ笑んで言った。
「ほんとうね。もう震えていないわね」
「あっ、うん。好みが同じだね。それに美沙子ちゃんにあげたかったから」
周はそう言いながら、シャーベットを美沙子のピスタチオのタルトの横に取り分けた。反対に美沙子はピスタチオのタルトを半分に切って、周の皿に乗せた。ピンクと緑のかわいらしい一皿になった。
周からもらった木苺のシャーベットをスプーンですくって、口に入れると美沙子はふいにキュッと目をつむった。
「私、すぐに緊張してしまうんです」
美沙子のスプーンを持った手が震えている。美沙子は哀しそうな顔になり、小さな声で言った。スプーンを皿に置いて自分の手で震えを押さえつけるように握りしめた。
その小さな両手を、周はやはり両手でそっと包み込んだ。
「ねえ、僕、実は魔法使いなんだ」
震える美沙子は儚げで、周はおもわず嘘を重ねてしまった。美沙子は目を見開いて周をじっと見つめた。
「美沙子ちゃんが困った時には、魔法をかけていつも守ってあげる。えーっと。レマトレマト……! ほら、もう震えていないよ」
周が手を重ねていると、だんだんと美沙子の手も暖かくなってきた。やがて手の震えがおさまると美沙子はそっと周を見上げて、にっこりとほほ笑んで言った。
「ほんとうね。もう震えていないわね」