第13話

文字数 426文字

 けれど外から君を見ていたら聞こえた、というのは初対面では言いにくいし、お見合いだということがばれてしまう危険もある。

 周が黙っていると、「もしかして! あの、何かこう…不思議な力か何か、お持ちなんですか?」と、美沙子がテーブルにほんの少し身を乗り出して言った。言ってしまってから、おかしなことを言ってしまったと思ったのか、おずおずと自分の椅子に座り直してちぢこまり、真っ赤になってうつむいた。 

 そういえば、と周は思い出した。

(親友の朋美さんが書いたという美沙子情報には、「美沙子は不思議な事が好き」というのがあった。読んだ時には、不思議好き? なんだそれ? と思ったが、このことか!)

「あー、ああっ。そう! そうそう!」美沙子の言葉に飛びついて、周が言うと、「そうなんだ。よかったあ」美沙子はにこっとした。

 周がついた嘘をコロリと信じ込んでしまったようだった。その素直さと笑顔に、周の方はコロリと恋に落ちた。

「木苺のシャーベットも、食べてみない?」
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