第15話 葬送
文字数 283文字
喪服を着た美沙子は、いつもよりもいっそう小さくなっていた。遺影をしっかりと抱きしめて、弔問客に繰り返し頭を下げていた。
こんな緊張する場面には、と美沙子は思った。
(周さんはいつもおまじないをかけてくれた。おばさんになっても、おばあさんになっても)
「いつもの、いいかな?」と美沙子が遠慮がちに頼むと、周は笑って美沙子の頭に手を乗せて、呪文を唱えてくれた。初めてパートに出かけた朝も、婦人会で挨拶しなければならなくなった時も。思い出すと涙があふれてくる。
(でもまだ泣いちゃいけない……。お葬式が終わるまでは)
美沙子は着物の胸にしまってある周からの手紙をそっと触った。
こんな緊張する場面には、と美沙子は思った。
(周さんはいつもおまじないをかけてくれた。おばさんになっても、おばあさんになっても)
「いつもの、いいかな?」と美沙子が遠慮がちに頼むと、周は笑って美沙子の頭に手を乗せて、呪文を唱えてくれた。初めてパートに出かけた朝も、婦人会で挨拶しなければならなくなった時も。思い出すと涙があふれてくる。
(でもまだ泣いちゃいけない……。お葬式が終わるまでは)
美沙子は着物の胸にしまってある周からの手紙をそっと触った。