反革命容疑者 宮下楓 7

文字数 9,714文字

20時を1分過ぎた時、唐突に楓ちゃんラジオが再開したので全校生徒に緊張が走る。

宮下【どもども~~。学園のアイドル・楓ちゃんで~~す。
リスナーのみんな、今から夜の部のラジオを始めちゃうぞおおお!!】

もはや彼女の声を聴くだけで生徒たちの気分がどん底まで沈んでいく。
ラジオをこれ以上聞きたくない女子は耳を塞いで机に突っ伏している。
男子は彼女の声を聴きながらガタガタ震えている。
有志連合の戦士たちは放送用のスピーカーを親の仇のようににらみつけている。

宮下【わたしねえ、さっき夕飯を食べてたからラジオを中断してたんだぁww
急に放送を止めちゃってごめんねぇw 今夜は素敵なゲストが登場するのでさっそく紹介しちゃおうかな。皆がアイドルと呼んでる3年生のクロエ・デュピィちゃんだよw】

クロエ【どもども~~~♡ みんなぁ。久しぶりのラジオ出演になります☆
中央委員のクロエちゃんでーすw みんな、元気じゃないと思うけどラジオはしっかりと聞いてくださいね!!】

宮下【クロエちゃんも例によってお電話での登場になりますので少し音声が聞き取りにくいかもしれません。でもみんなちゃんと聞いてね♡】

クロエ【ねえねえ楓ちゃん!! 私思ったんだけど、このラジオって音楽を流すシーンが今までなかったよね。私が曲をリクエストしてもいいかな?】

宮下【いいですねえ。どんな曲ですか?】
クロエ【楓ちゃんは「美味しんぼ」ってアニメを知ってるかな?】
宮下【知りません】

クロエ【結構古いアニメでね。バブル時代の日本では超有名なグルメアニメなんだよw
私はフランスにいた頃にユーチューブの一斉配信で一気に60話くらい見たんだww
しかも1日でねww】

宮下【1日でそんなに見るなんて信じられないくらいのアニメ愛だよぉお!!
超頭良い楓ちゃんでもそんなに集中力持たないよぉ!!】

クロエ【今から曲名を言うからユーチューブで流してくれないかな?】
宮下【いいですよ】

美味しんぼ 後期 OP「Dang Dang 気になる」 フル full ver
https://www.youtube.com/watch?v=LmMiaXfdr8s

クロエの狙いは、まず宮下と会話することで副会長の計画した作戦を実行するまでの時間を稼ぐことだ。最悪22時過ぎまでかかってもいい。クロエがリクエストで流したのは昭和の伝説的な名曲。日本の若者には親世代の曲になってしまうが、この曲を嫌う人は少ないだろうと判断した。たった3分ほどの音楽でも恋の歌は生徒たちの心の不安を和らげる効果はあるはずだ。

クロエは現役ユーチューバー。7か国語を操ることができる天才だ。校長まで再起不能になった以上、悪魔の楓とラジオで会話できる人材はもう彼女しかいない。

クロエはあえて諜報部の固定電話を使って楓に電話している。もし奇跡が起きて足利ソビエト当局がこの事件に気づいたら、この会話を盗聴してくれるかもしれないからだ。諜報部は楓のかつてのアジトだ。爆発物は無数に仕掛けられているし毒ガスもあるかもしれない。

クロエは胃が握りつぶされるほどの恐怖と戦いながら明るい声を出していた。彼女の隣には橋本リュウヤがいる。愛しい人同士で手を握る。リュウヤは、クロエの手が緊張で汗ばんでいるのを確かに感じていた。それでも手は決して離さない。

クロエ【私のリクエストした曲、どうだった?】

宮下【昭和のアイドルが歌ってる感じの曲ですけど、雰囲気が暖かくて
楓ちゃんは嫌いじゃないよ☆ 懐メロだね!!】

クロエ【もし気に入ったら毎日聞いてね☆ カラオケで歌うと楽しいんだよ☆】
宮下【カラオケかぁ……私歌えないないのよ。アイドルなのにね】
クロエ【楓ちゃん、カラオケ楽しいんだからやらないともったいないよぉ】
宮下【……】
クロエ【あれ? どしたの?】
宮下【いいえ。何でもないです☆】

クロエ【ところで楓ちゃん、なんかねえ、リスナーの中でお腹すいてラジオに集中できない人が出てるっぽいんだけど、これって結構やばくない?】

宮下【あ……そうですよね!! 夜の部のラジオなのにリスナーがお腹すいてることを全然気にかけてなかったぁw 私ったらドジっ子ね♡ 私だけモスを食べてたら皆に悪いわw】

クロエ【ごめんね楓ちゃん。本当は楓ちゃんに許可を取らないといけないってわかってるんだけど、楓ちゃんがラジオをお休みしている間に家庭科調理部の人たちがお腹ペコペコのリスナーのためにおにぎりを作ってくれたみたいなのw】

宮下【わあwおにぎり。美味しそうですねw】
クロエ【ちょっと今からラジオを聴きながらお食事タイムにしてもいいかな?】
宮下【いいですけど、おにぎりってリスナーの数を考えたら足りるんですか?】

クロエ【それがね、学年の備蓄用の食糧を全部使っても全然足りなくてさw
ラジオ中なのに体調を崩しちゃったダメダメな子たちが結構いて、その子たちの分だけでも食べさせてあげられないかなってww どうかな?】

宮下【どうもなにも。早く食べてください♡
お腹がすいたらラジオに集中できません。 
リスナーのみんながお腹を空かせてはいけませんよ♡】

クロエ【うん。ありがとー♡ ついでに音楽も流しちゃっていいかな?】
宮下【リクエストですか。いいですよ。クロエちゃんのリクエストは?】
クロエ【今度は平成アニメの名曲だよ】

CITY HUNTER (MAD) - GET WILD (TM NETWORK)
https://www.youtube.com/watch?v=0Hd65CD1jr0

宮下【楽しい曲ですねww夜のテンションあげあげ?】
クロエ【フランスのアニメファンなら知らない人はいないほどの名曲なのw】
宮下【フランスとかおしゃれwwマジ憧れちゃうんだけどww】
クロエ【ありがとねw楓ちゃんも今度行ってみなよw】

井上マリカの指示で、家庭科調理部で作ったおにぎりが全校に配布される。
保健室を最優先として各クラスにいる体調不良者に配っていくが、数が全く足りない。
一つのおにぎりを二つに割って食べさせているありさまだった。

調理室では予備も含めた5つある炊飯器をフル稼働してご飯を炊いているが、ご飯が炊けるのに40分はかかる。それに米の備蓄も無限ではないため、全校生徒と教員に食料を配ることはできない。教員は全員まとめて職員室に待機させているが、教員の中にも精神をおかしくする人が現れてしまっている。教員は大人なのでケアは後回しだ。

井上マリカは、各クラスのロッカーに保存されている非常食を食べるよう命じた。ためらうことなく残さず食べるようにと。非常食は乾パンなので高校生の腹を満たすには全く足りないが、ないよりはましだ。自動販売機で販売しているココアとコーンポタージュがカロリーが高いために優先して買うように指示が出る。学校の敷地内にある自販機があっという間に空になった。

ミウと太盛は2年6組で胃痛で苦しむ男子のところにおにぎりとコーンポタージュを持って行った。男子は「俺みたいな役立たずのためにすみません……。胃が死ぬほど痛いので固形物は入りません。せっかく持ってきていただいたのに申し訳ありません。飲み物は飲めるので頂けますか……」と涙ながらに言う。

太盛「なんで謝るんだよ。君は何も悪いことををしてないじゃないか」と力強く言う。ミウは彼に膝枕をして顔を持ち上げ、コーンポタージュを飲ませてあげた。
「栄養を取ればすぐ良くなるから心配しなくても大丈夫だからね」

そんな彼らの様子を見守っている6組の人たちから、すすり泣く声が聞こえる。
6組はミキオのいるクラスだ。彼らの多くは昨年の生徒会選挙でサヤカ新会長に忠誠を誓った者たちだ。サヤカが公約で約束した「生徒一人一人が、人を思いやる気持ちを大切にすること」を太盛とミウは確かに実践している。形だけの約束ではない。耳障りの良い嘘ではない。政治家のほざく綺麗事ではない。2年6組の生徒は、立派な先輩たちの後ろ姿をしっかりと目に焼き付けることにした。

9組からは「俺らはおにぎりなしだなw」「体調不良者がゼロだもーんw」
「バームクーヘンねーのかよw」「んなもん、あるわけねーだろww」
とまた笑い声が漏れている。周りのクラスに対して完全に不謹慎なのだが、彼らに空気を読む能力はゼロだ。太盛が9組の教室をすごい顔でにらみつけるが、ミウにたしなめられる。

食料配布の件で問題を起こしたのは1年E組の教室だった。
彼らは男子女子に分かれて喧嘩ばかりしていたので逆に精神を病むことはなかった。
そのため元気いっぱいな人が多かったが、夜の8時も過ぎるとさすがにお腹が減る。
普段の生活なら家でお風呂を済ませている人もいる時間だ。

広報部の杉本が、お盆に乗せられたおにぎりを運ぶために、よたよたと1年の廊下を走っていると、E組から出てきた男子に腕をつかまれた。

「ひ、ひぃ。いきなりなんですかぁ……?」
「委員さん。そのおにぎり、ずいぶんあるじゃないですか。
 俺らもお腹がすいてるんで少しだけもらってもいいすか?」

「だ、ダメです。今は体調を崩した人に優先して配る決まりになってるんですから」
「全部寄越せとは言いませんよ。少しだけでいいんです」
「は、離してください。痛いです。他の委員さんを呼びますよ」

男子の目は飢えた獣のように恐ろしかったので杉本はすっかり脅えている。
相手は杉本より1学年下の生徒だが、彼女は気が弱いので押され気味だ。
その現場を遠くから確認したユウナが急いで駆けつける。

「こら!! そこのふたり!! 何してるの!!」
「この人が……私の腕をつかんでおにぎりを取ろうとしたんです」
「……君。おにぎりの配布は副会長の命令なんだけど。覚悟はできてる?」
「すんません!! ほんの出来心だったんです!! まじさーせんしたっ!!」

男子は逃げるように教室に戻っていくが、ユウナは
(あ……やばい。久しぶりにスイッチ入った)とニタァと口元が笑う。

背筋が凍り付くような怒りのオーラが漂う。彼女の豹変ぶりを見た杉本はびくっと震え、本能的にこの人のそばから離れるべきだと察してしまう。女性は一般的に危機察知能力が高いが、男性は逆に人の気持ちに鈍感な傾向にある。杉本はさっさと逃げてしまう。

ユウナはE組の教室に入り、さっきの男子を見つけたので名前を聞いた。
彼は震えながら「三浦です……」と答える。

「そう。三浦君というのね。よく覚えておくわ。E組のみんな、よく聞きなさい。
私は組織委員部、代表次席の高倉ユウナ委員です。2年生なのでみんなより年上です。このクラスの男子三浦君は、さっき廊下で広報部の女子が運んでいるおにぎりを強奪しようとしたところを私に発見されました。皆さんは彼の行動をどう思いますか?」

シーンと静まり返る教室。いきなり登場した2年生の女子の委員に対してどう答えたらいいのか。

「おにぎりは、やむを得ない人に限り優先して配られるよう井上副会長が厳命をしています。現在緊急対応で会長に代わり副会長が全権を掌握して全生徒会を指揮しています。そうでなくてもこの学園において井上副会長の命令は絶対です。みなさん。教えてください。私は三浦君を反逆者として認定してもいいでしょうか?」

この質問に対しても答えようがない。とにかくユウナ委員が激怒していることは声から伝わる。女子とは思えないほど声が低いのだ。しかし誰も答えずにいるとユウナの一人語りとなってしまうので余計にユウナが気分を害すことになっていく。

「誰も答えないようなので私が答えてあげるわ!! ふざてんじゃないよ!!
この緊急事態でクソ忙しい時に、備蓄食料を使って調理部のみなさんが作ってくれ
たおにぎりを強奪する? 生徒会をなめてんじゃないわよこの1年のガキどもが!!」

すさまじい剣幕にE組の生徒たちは顔を上げることができない。ユウナの長くてウェーブのかかった髪の毛が逆立つのではないかと思うほどの迫力だった。

「あんたら1年は!! 私たちボリシェビキが生徒を救うためにどんだけ苦労して食料を運んでいるのか、考えたことはあるの!? 私たちの苦労を考えたことがあるの!?
どうやったら杉本が運んでる最中のおにぎりを奪おうなんて低俗な発想が思いつくの!! 三浦ぁぁ!! あんた、私を完全に怒らせたね!! ここまで私を怒らせた下級生は初めてだよ!! 今すぐ強制収容所送りにして銃殺刑にしてあげようか!?」

ユウナが教卓を拳で乱打しながら叫ぶものだから、三浦はたまらなった。想像を絶する恐怖とストレスに歯を食いしばりながら涙を流している。「泣いてないでちゃんと聞けよ1年!! てめえら舐めたマネしやがってよ!!」とユウナが黒板消しを全力で投げつけるが、三浦ではなく隣にいる女子に当たってしまう。女子は髪と顔が真っ白になるが恐怖で震えておりそれどころではない。女子の多くはユウナの迫力に恐れをなしてすすり泣いている。

「今はねえ、ふざけてられる状況じゃないってことを、あんたらの鈍感な頭には
 100回言ってもわからないかもしれないけど、それでも言ってあげるよ!!
 なに? 三浦がやったことだから自分は関係ない? うちの学園ではそんな甘い考え 
 は通用しない! クラスで起きた問題は連帯責任!! あんたら、自分がどんだけ
 馬鹿なことをやってくれたのか分かってんの!! この話を私が副会長に伝えたら
 このクラスごと収容所行きってこともあり得ることを忘れるな!! あんたらは、
 副会長の気分次第で卒業するまで収容所で重労働を命じられるんだよ!!」

ユウナは言いたいことを言えたので少しすっきりした。
E組の生徒たちは多くが泣いているのでよく効いたことだろう。
もちろん収容所の件はただの脅し文句に過ぎないが、これくらいは言っておかないとこの子たちがまた過ちを犯すかもしれない。さあそろそろ仕事に戻ろうかと思っていると、

「お、恐れながら!! 高倉委員様!!」
女子のリーダー上田が手を挙げてしまう。
「なに? 何か言いたことでもあるの?」

「はい。あります。先ほどはうちのクラスの馬鹿で低俗な男子が大変なご迷惑をおかけしたことを、クラスを代表して謝罪いたします。本当に本当に申し訳ありませんでした!! 私は雨宮に代わって代理の女子のクラス委員を務めている上田と申します。委員様、どうかお願いします。私たちをクラスごと収容所送りにする話はどうか考え直していただけないでしょうか」

「……」

「こんなことで委員様の気が済むか分かりませんが、この反逆者三浦を、今ここで
処刑したいと思います」

「は……?」

「これは私の提案にすぎませんが、あくまで我らE組が生徒会のみなさまに対する悪意がないことを証明するための処置でございます。常設委員部の規則により、
まず他のクラスメイトに賛成の意思があるかどうかをこれから確かめたいと思います」

拍手が鳴り響いた。ボリシェビキでは賛意を言葉で示す代わりに拍手をすることが推奨されている。これはどこの共産主義国家でも同様だ。男子も女子も関係なく、上田の出した三浦の処刑案にためいらいなく賛成していた。

三浦は「うああああああああ!!」と叫んで逃げ出そうとしたので男子たちが取り押さえる。みんなで三浦を囲い、殴る蹴るの暴行を加える。女子の一部も参加して彼を足蹴にしている。壮絶なリンチだった。5分もすると三浦は前歯が折れ、目元がパンダのように腫れてしまい、肩から上に腕が上がらなくなり、足を引きずられて教卓の前にどさっと投げ捨てられた。

上田「さあ、委員様。この反逆者をお好きなように処刑してくださいませ」
ユウナ「……」
上田「委員様?」
ユウナ「うるさい!! 気安く私の名を呼ぶな!!」
上田「……っ!! すみません!!」

ユウナ「気が変わった。1年のやってるお遊びに私がいちいち関わっている暇はない。
その男の始末はあんたらが勝手にやっておきなさい。ただし殺さなくていい。
悪さができないようにみんなで監視しておきなさい。いいわね?」

上田「は、はい。かしこまりました……」

ユウナはそれだけ言って去っていった。むしろそれからが大変だった。
危うくクラスごと収容所行が宣言されそうになったE組でもはや三浦の居場所はなく、
逆にリーダーとして機転を利かせた上田は雨宮夢美に代わる指導者にまで昇格する。

宮下【私ねぇ、実はクロエさんみたいな人にすっごく憧れてるんだぁ!!】
クロエ【えー私なんかに憧れる要素なんてあるの!?】

宮下【たくさんあるよぉ。クロエさんって美人でアイドルでしかも学園の有名人じゃないですか? 全校の女子の憧れの的っていうか、実は楓ちゃんも1年生の時から憧れてたんですよね!!】

クロエ【えぇ!!そうだったのぉ!! 全然知らなかったよ!! 私に興味を持ってくれてるんだったらもっと早く話しかけてくれたらよかったのに!!】

宮下【そうなんですけど、私たちって前は仲が悪かったじゃないですか。あ、正確には私たちじゃなくて私たちの所属してる部署がってことですけど】

クロエ【今は中央と諜報が超仲良しになって最高な感じだよね!! もっと早くから
仲直りしておけばよかったってうちの部の人が言ってるよ】
宮下【そうそう!! 諜報部も同じような感じです】
クロエ【そういえば楓ちゃんって英会話に憧れてるんだって?】

宮下【めちゃ憧れてますよ!! 私もクロエさんやミウさんのようにネイティブ英語が
話せるようになりたいです!!】

クロエ【ネイティブって言われると少し恥ずかしいなw私のは結構フランス語のイントネイションで話しちゃってるところがあるからw】
宮下【えーそんなことなりですよぉ。私の耳には完璧な英語に聞こえますよ】
クロエ【ありがと☆ 楓ちゃんは家で英会話の勉強とかしてるの?】

宮下【それが、勉強の仕方が全然わからないんですよぉ。家で英語のニュース動画とか観てるんですけど全然聞き取れなくて】

クロエ【最初は聞き取れなくてもいいんだよ。毎日少しずつ耳が慣れていくと思うから続けることが大事だよ。それと発声練習もしていくといいかも】

宮下【シャドウイングですね!!】
クロエ【そうそう。さすが楓ちゃんはよく知ってるね】
宮下【いえいえ。たまたまネットに書いてあったんですよ】

※シャドウイング → 人が話した英語を耳で聞き取り、自分も発生しオウム返ししていく。リスニングとスピーキングの能力が自動で鍛えられる。日本人の多くが知らないが、ベルギー、スイスなどの多言語圏では誰でも当たり前にやる基礎的練習。ちなみに
小さな声でやっても意味がない。腹から大きな声を出してやらないとダメ。腹から声を出す練習をしないとストレスアクセント(強制アクセント)の音韻がつかめない。

宮下【クロエさんって綺麗ですよね。クロエさんの外見にもすごく憧れます】
クロエ【うんwありがとw 外見はそれなりに自信あるかもw】
宮下【さすがw ミウさんと違って謙遜されないのでかえって好印象ですよw】
クロエ【私は、自分で言うなって言われそうだけど美人の自覚はある方だからw】

宮下【美人な人は自覚してた方が絶対にいいですよ!! いいなぁ。綺麗で美しくて。私もクロエさんみたいに美人に生まれたらもっと生徒たちに注目されたと思うんですよ割とマジで】

クロエ【楓ちゃんだって十分に可愛いよ?】
宮下【いえいえ。私なんてそんな……】
クロエ【楓ちゃん、小柄だしおとなしそうな感じで男子受けよさそうだけどな。
今まで男子に声かけられたりしなかったの?】

宮下【それが……全然なんですよ!!】
クロエ【えーそうなの。意外だなぁ。クラスとはともかく諜報には男子たくさんいるじゃない】

宮下【諜報の男なんて、全然だめです!! 地味でかっこ悪い人ばっかりだし女子の扱い方も全然わかってない。あの人らなんて職場の同僚であってそれ以上でもそれ以下でもない。つーか私的に対象外w? って感じなんでw あ、今思い出した。この前のアキラさんが高野家を訪問したラジオ、覚えてますか?】

クロエ【むしろ覚えてない人w いるのかなw? 最高に笑ったラジオだったよwそれになぜか最後は泣けるんだよねw】

宮下【そうそう!! そうなんです!! 私も最後は感動して泣いてしまいましたw
あの堀太盛先輩のエリカさんに対する気遣いがwwもうイケメンすぎてねwwキングオブイケメンって感じ? エリカ。料理ができないからって俺がエリカのこと嫌いになると思ったか? 料理なら俺たちは1年生なんだからミウ一緒に生活指導してもらおうぜ。いいなぁwww楓ちゃんも好きな人にあんなセリフ言われてみたいww】

クロエ【太盛君みたいなガチのイケメンはそういないと思うけどw確かに女子なら憧れるシチュなのは間違いないよねw 私もあの時エリカのことうらやましいと思ったよw】

宮下【でしょでしょww 私にもいつかあんな人現れないかなww】
クロエ【楓ちゃん可愛んだからすぐに見るかるよぉw】
宮下【ほんとですかねぇw そうだったらいいんですけどw 彼氏と言えばクロエさんも彼氏いるじゃないですか!!】
クロエ【私のことはクロエちゃんでいいからねw うんwwいるよぉ。楓ちゃんと同じ学年の男子ww】

宮下【あの橋本君がまさか学園一の美女のクロエちゃんと付き合うことになるとはw】
クロエ【やっぱ驚くw?】
宮下【それはもうw むしろ橋本君なんかでいいんですかww? 言っちゃ悪いけど
彼って地味だし顔のレベルが釣り合ってなくないですかww】

クロエ【私は顔で彼を選んだわけじゃないんだよww】
宮下【じゃあラジオ中に彼に口説かれたのがうれしかったんですかw?】
クロエ【それもあるけど、一番は私のことを思いやってくれるところかなw私が横谷にブちぎれて我を忘れそうになった時に優しく手を握ってくれたところとかww】

宮下【きゃーww それですよ私が聞きたかったのは!! 恋バナww女子同士で好きな男子の話をするのって女子高生同士のキラキラした感じってしませんwww?】

クロエ【うん!! 私もすごく楽しいよ!! 楓ちゃん、ずばり好きな人いる?】
宮下【えーーーww それをここで私に聞くんですか?】
クロエ【その言い方、なんとなくいそうだよねw】
宮下【はい。いますよww】
クロエ【だれ!? まさかスマイルアップの人ってオチはなしね!!】
宮下【ちゃんと学校の人ですよww】
クロエ【えー気になる!! だれだれ!? 私の知ってる人?】
宮下【ボリシェビキではない……かな? あ、でも今はボリシェビキかも】
クロエ【いったい誰なの!! リスナーのみんなも気になってるよ!!】
宮下【そ、その前に曲を】
クロエ【逃げるのww】
宮下【ごめんなさい先輩ww 曲が終わったら言いますからww】
クロエ【どの曲にするのよ?】
宮下【今回も先輩が決めてください】
クロエ【そうねぇ……テンションを最高に盛り上げるためにこの曲にしようかな】

Nirvana - Smells Like Teen Spirit (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=hTWKbfoikeg

※「10代の香り」ニルヴァーナの天才的なギタリスト、カート・コバーンが残した伝説的な名曲。27歳で自分の頭をショットガンで撃って自殺したカートは、資本主義の商業主義の音楽に絶望し自らのコンサートに集まっている観客が「札束を持ったブタ」に見えたとしている。

カートの優れた才能は、60年代のボブ・ディラン、ジミ・ヘンドリックス、ブライアン・ジョーンズらのビッグネームと比較しても遜色のないほどであり、90年代の米国rockにおいて「グランジ」と呼ばれる新しいジャンルを確立し、世界を席巻。
当時の米国音楽界は「ニルヴァーナとその他」とまで称されたほどだ。

「10代の香り」とは、彼が本心から作曲した曲ではない。「音を売る」ために作った曲だ。彼が資本主義に絶望して死に至るきっかけを作った曲の一つとされている。
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