第5話

文字数 7,895文字


 ナツは今朝、文友がゲームをやっていた部屋に戻ってくる。
 テレビがあって戸棚があって、中央に机がある畳の部屋だ。
 ナツは毎日ここで居候の妖怪たちと食卓を囲む。
 家についてはナツよりも妖怪の方が詳しい。
「見てよ、一緒に戻ってきた奴がいる」
 文友が指さした天井付近に白い蝶が飛んでいる。
 妖怪の気配を感じ取れないので、妖怪の類ではないようだ。
「どこへ行ってもここに戻ってくるんだよね、当たり前のことだけど」
 蝶は強風で飛ばされそうなぐらい弱々しく飛んでいる。
 文友がゆっくりと逃がさないように蝶を追いかける。
 ふすまの近くを狸と蝶が静かに追いかけっこをしていて、勢い余った狸がふすまに飛び込んで破らないか心配になってくる。
 ふすまの戸は見た目が古いけれど、乱暴に閉めても新品のように音がでないし、つっかえることなく閉めることができる。
「この家にナツが来たことを思い出すねえ」
 逃げ回る蝶を目で追いながら文友が言う。
 ナツも何かをするのを忘れて白い蝶を目で追いかける。
「大変だったということしか覚えてない」
 ナツはこの家にやってきてすぐ妖怪のトラブルに巻き込まれた。
 そうして姿を現した妖怪たちに対抗するために本を手に入れたのだ。
 この家になじむ暇も無かった。
「オレの家に比べればマシだよ、ここは」
 文友は家業を姉が切り盛りしているので、それに巻き込まれないように逃げてくることがある。
 もっとも、ナツにとって彼は化け狸でなくゲーム狸と言っても良い存在だ。
この家のテレビで 文友がやってきてゲームをするのは日常の一部になっている。
 雑談をしながらも文友はさすがに動物だけあって、近づいてきた蝶を素早くつまんで捕まえてしまった。
「その蝶々はどうするんだ?」
ナツは目で追い過ぎて固まってしまった首の筋肉を手で揉んでほぐそうとする。
「外に逃がすよ。無益な殺生はせぬ」
文友はお寺の子供らしく仏教的な物言いは堂に入っている。
「よう、車を移動させたぜ。イタズラができねえようにな」
 文友と入れ替わりで黄月が部屋に入ってきた。

「いやあ、普段ゲームばかりする僕が情報を集めてきたんだから、褒めて欲しいね」
「お前を褒めることなんて一生かけても無いだろうよ」
「黄月、どんな奴だって一生の間に褒められる仕事を一つぐらいするもんだよ」
 文友が良いことを言っているように思われるが、結局のところ、遠回しに自分の働きを自慢しようとしている。
「今がその褒められる時さ」
「さっさと調べてきたことを言え!」
 怒った黄月が爪を振り回し始める。
 黄月本人に相手を切り裂くつもりはないだろうが危ない行動だった。
 主にテレビが被害者となって無残なことになるにちがいない。
 文友は黄月のことなど意に介さず、隅に片づけてあったゲーム機をさっさと近くの戸棚の中に避難させた。
「暴れたら、何を調べたかわからんだろう」
 ナツはいきり立つ黄月に声かけてやめさせる。
 止めようとしても止まらない場合が多いけれど、今回は珍しくおとなしくなった。
 彼も文友が苦労したという情報に興味があるのかもしれない。
「俺のほうが大人だ、ここは我慢してやるか」
 黄月はイラつきながら話を聞く態度を示す。

「さて、何を見つけてきたんだ?」
 黄月が自分の怒りを抑えながら聞く。
 口から火でも吐きそうだ。
「親父の知り合いとかをたどって調べてみたら、問題の会社は不自然なまでの急成長を遂げているね」
 彼の父親はこの地方における妖怪の実力者だ。
 人間にもコネというか情報源を持っている。
「その急成長の影には、競争相手が死んだり、事業に失敗したりってのがあって」
 文友が貰ってきた資料をあおぐようにひらひらと振って見せる。
 その得意げな様子を見て黄月が眉をしかめる。
 ナツと黄月は近寄って文友の手にある資料を眺める。
「これを見るとライバル企業はあの会社に乗っ取られているな」
 ナツが資料に付属していた新聞記事の切り抜きをつまむ。
 黄月がナツの指摘した記事を指でひとつひとつ確認していく。
「記事には敵対的買収で、企業の中心人物が急死して乗っ取りを防げなかったと書かれている」
「妖怪の手を使えばどうとでもなるだろうよ」
 口から牙を見せながら黄月は不機嫌そうに話す。
 やっぱり彼に我慢は無理だったのか? とナツは思う。
「そして、さらわれた女性についての情報は、手に入らなかったよ」
「おい」
「けど、連れ去った奴のことならわかるよ」
 怒鳴りそうになった黄月よりも先に文友が言う。
「最近、いなくなった峠神ではないかって?」
「俺はすべての妖怪を知っているわけじゃあねえんだ」
「正体はムカデで、昔の山道にある洞窟に住んでいたみたいだよ」
「刑事が言うには神官みたいな服を着ていたって」
 納得しないナツはさらに疑問点を話す。
「その服装もそのままだよ。人間のときはそういう格好をしていたそうだよ」
 文友の話によれば、峠神は神の名前をしているが実質的には妖怪である、という。
 この地方では山道や峠で事故を起こす厄神の類であるらしい。
 その正体はムカデ。
 彼の住む山道の他に車道が作られたから人間はそこを通るようになり、峠神もおとなしくしていたそうだ。
「結局、たいしたことがわかってねえじゃねえか」
 結局、黄月の忍耐が限界になって怒ってしまった。
「まあまあ、落ち着いて」
 場にそぐわない落ち着いた声が割り込んできた。
 茂谷を尾行していた白雲が戻ってきた。
「戻ってきたよ」
 妹の朱音も一緒だった。
 周囲にナツ以外の人間がいないためか、白雲は白い化け猫の姿で部屋に入ってきた。
 朱音のほうは猫の耳が出ている以外は人間の姿のままだ。
 二人は部屋の中央に置いてある座布団に座る。
 黄月は怒る気が失せたのか黙ってしまった。
「家まで尾行してみたけれど、どこかの妖怪に連絡するということはなかったよ」
「俺たちの追っている犯人の関係者ではないのかもな」
「ついでだから人間に化けて調べてきたけど、彼の経歴は本当みたい。言った言葉通りのライバル企業で働いているみたいだねえ」
「嘘は言っていないのか」
 とりあえず、茂谷は今のところ疑う材料が無くて信用できる。
「で、朱音のほうから」
 朱音も、文友と同じように聞き込みに行っていた。
 すくなくとも、短気で粗暴な黄月より情報収集能力はマシだった。
 黄月の情報収集のやり方は殴ると蹴るがメインだ。
「はいよ。それで、妖怪が棲家からいなくなってる、ってみんな話しているよ」
「文友の話と合わせるとかなり多くなるな。ここにいる仲間だけじゃ対処できないかもしれないな」
 普段、事件解決に奔走してくれる妖怪はここにいる面子の倍の数がいるけれど、いなくなっている妖怪の数はそれを上回る。
「それと妖怪たちがいなくなった時期って、あにきたちの言っていた会社が大儲けを始めたのと同じだったよ」
「妖怪を支配する方法を見つけて、それを利用して拡大を始めたわけだ」
 結局のところ、茂谷からの連絡を待つだけになった。
 さらわれた静川女史は妖怪と人間の両勢力が探しているにもかかわらず見つからない。 
 怪しいと思われる社長を監視する方法も仲間から提案された。
 それを実行するには監視するメンバーを選ばないといけない。
「それはそうと、本当に妖怪を支配しているの?」
 朱音が何気なく疑問を口にする。
「しているだろうね。ここまで妖怪たちがいなくなって、その妖怪たちが事件に絡んでいるのだからね」
「妖怪にそんなに簡単に命令することなんてできるの?」
「できるよ」
「なんでできるのかっていうと、ナツのように術法を知っているか、あるいは、それなりの品物を持っていれば可能性はある」
 白雲の言葉を受けて、ナツが妖怪を支配できると言われた本を取り出して眺める。
文友は、クロアリが自分の足を登ろうとしているのを追っ払っていて会話に参加していない。
 黄月も兄妹のやり取りに我関せず、というところ。
「あの社長が妖怪を支配する術を使うなんて聞いたこと無い」
 ナツが兄妹のやり取りに口を挟む。
 他の手段として妖怪と同盟するために代償を支払う、ということも聞いたことがある。
「何にせよ他の原因を探そう」
 白雲の携帯電話が場の空気を壊すように鳴り出す。
「茂谷から計画をつかんだから会いたいって」
 どうやら逃がした甲斐はあったらしい。



 太陽が傾いてきたが夕日というわけではなく、車と周辺を明るく照らしている。
 黄月の運転していた車はナツの家のそばに停車してあった。
 普段、その車は黄月が勝手に家につながるように作成したガレージに停めている。
 今はキャッチボールできるぐらいの広さがある玄関前の隅のほうに停車している。
「不安があるな」
 ナツが横を歩いている黄月に向けて言う。
 黄月が使っている車に仲間たちは移動しようとしていた。
「どんなだ?」
「容疑者をほったらかしにしたから」
 もしも、茂谷がこの事件の真犯人なら逃げしてしまう可能性もあったのだ。
「違法すれすれのことをやる人間なんて気にかけてもしょうがねえ」
「妖怪の護衛や監視を付けてもいいけどね」
 文友がいつの間にか会話しているナツの足元に来ていた。
「その辺の妖怪に対して俺らにはそんな権限は持っていない。そんなことができるのはナツだけだ」
 そんなことと言うのは本の力を使って妖怪を支配して彼らに命令することだ。
 ナツは妖怪が妖怪を支配するという話を聞いたことがない。
 妖怪は主に力関係で命令するからだ。
「うちの親父や他の大妖怪も、手下妖怪のレンタルはできないことはないけど?」
「お前んとこの親父が人間の争いに手を貸したりするもんか」
 黄月が自信満々に文友の話を否定する。
 文友の親父の狸妖怪については長年生きている黄月のほうが詳しい。
「それはそうと、車に何もしてねえだろうな?」
 黄月は文友が自分の車にイタズラをしたのではないか? と疑っているようだ。
まだナツの足元にいる文友を威嚇する。
「はて? そんなことしてないよ」
 文友はその痩せ狸の体をナツの背後に隠しながらとぼける。
「怪しいな、待て、まず俺が調べる」
 黄月が仲間たちを制止して一人で車に向かう。
 その様子を見て、文友以外の面々は呆れてしまう。
 黄月はまだ人間の姿に戻っていないので二本足で歩く狐のままだ。
 白と黄色の塊の動物が車を懸命になって調べている姿はユニークな光景である。
 ナツの家の周囲は半端に手入れの入っている森が広がっている。
 その森を過去に戦いで荒らしたのも手入れをしたのも妖怪たちだ。
「ずいぶんと悩みが長引いているようだね」
 黄月が車を調べ終わるのを待っている間に、白雲が話しかけてきた。
 ナツの悩みは長引きそうだが、黄月の調査はすぐに終わるに違いない。
「長引いているように見える?」
「君は隠すのが下手だからね」
「誰もが妖怪についての強引な支配を嫌っている」
「そりゃそうさ」
「今回のように事件が起きたときには、支配することも必要になってくる」
「縛り付けて、おとなしくさせないといけないからね」
「秩序を維持するための支配と、妖怪たちの支配される気持ちが衝突することになる」
「まあね。でも、しょうがないよ」
 白雲は支配される立場のくせにこともなげに言う。
 彼は今までナツの所持する妖怪支配の本について何の不満も持っていない。
 むしろ、彼のこだわりは妹のほうに集中している。
 黄月が人間に不満の声をあげるのと同じ回数、自分の妹について話している。
「しょうがないで済ますわけには」
「どっちかを選ばなければいけないわけだし、そうしないと前へは進めないし」
 白雲はナツから車を調べている黄月へ視線を移す。
「わかってくれるとは思うよ」
 ナツのわだかまりが消えたわけではないが、彼の信頼には感じ入るところがある。
 車を調べ終わった黄月が納得しない態度で戻ってくる。
「何も見つからなかったぜ」
「そりゃそうだよ、これから仕掛けるところだったんだから」
 文友がぬけぬけと真実を話した。



「公園で待ち合わせとはねえ、もっと怪しげな場所のほうがいいのに」
 茂谷との待ち合わせ場所に到着した文友が第一声を放つ。
「例えばどんな場所だ?」
「夜中に倉庫の裏で会うとか」
「ドラマでよくあるパターンだ」
「妖怪だけに怪しげな場所のほうがいいんだ」
 妖怪というのは人間が日常的に使っているような普通の場所を嫌う性質がある。
 人間の目から見てどこか普通でない奇妙な場所を好んでいる。
 残念なことに待ち合わせ場所の公園はナツの目から見て普通の公園に見える。
「怪しいというよりも、犯罪の臭いがするぜ」
「黄月には慣れ親しんだ臭いでしょ」
「そんなわけねえだろ」
 情報提供者となった茂谷はナツたちを誰もいない公園に呼び出した。
 ナツの知る限り、この公園におけるこの時間帯は散歩者でさえもいない。
「おいおい、どっちに行くんだよ?」
 文友が仲間たちから離れようとする黄月に文句を言う。
「別行動して警戒するつもりか?」
 ナツも黄月の行動を問いただす。
 彼の身勝手な単独行動は今に始まったわけではない。
 だが、重要な時は仲間と行動することを選ぶとナツは思っている。
「血の匂いがしているぜ?」
 黄月は文友たちの批判に平然と言い返す。
 そう言って黄月は何もない虚空を顎で示す。
 文友も白雲も動物のように臭いを嗅ぐ動作をして確かめる。
「確かに血の臭いだね」
「これは何かあるね。慎重に行こうよ」
 白雲が仲間たちに警戒の言葉をかける。
 慎重に周囲に警戒しながら公園の指定された場所にナツたちはやってくる。
「誰もいないね」
 指定された待ち合わせ場所に茂谷はいなかった。
 公園は広くて、テニスコートや池があり、ひと回りすれば良い運動になるにちがいない。
 木々も多く誰かに見られずに人と会うにはちょうど良い場所に思える。
 広さと裏腹に人が見られない。
 白雲がこの公園が住宅から離れているからだ、と説明をしてくれる。
「声を出して探してみる?」
 白雲の言った提案を採用してナツは公園に向けて怒鳴ってみる。
 すこしの間、反応を待ってみるが返事が無い。
 公園は静まり返っていて誰もいないと推測される。
 遠くから聞こえてくる飛行機の音が唯一の音声だった。
「まさに嵐の前の静けさ。これは始まりにすぎないのであった~」
 静けさに耐えられないのか文友がナレーターのような口調で話す。
 入り口でずっと待っているわけにもいかずナツたちは公園の中へ歩いていく。
 途中で、木々が所々折れているのに白雲が気付いた。
「それは誰かが折ったものか?」
 折れている枝に近づいた白雲にナツが聞く。
「まだこれは新しいね、折れてから時間が経っていないよ」
「黄月は?」
 ナツたちが木々の折れた枝を調べているうちに、黄月が姿を消している。
 黄月は単独行動するクセがある。
「どこにいったんだろ?」
「今度は、黄月を探さないといけなくなってくるぞ」
 しばらく残った者たちで周辺を探してみる。
 けれども、黄月の姿が見当たらない。
 公園は中を歩くための道路の周辺はきれいに刈り込まれていて隠れる場所などないが、道から離れると木々と藪が多くなって隠れやすくなっている。
 そのように隠れやすい場所を通って移動したのかもしれない。

「まったく、あの爺さんと来たら。見た目だけ若くてもダメだね」
「口の減らねえやろうだぜ」
 すこし離れたところから黄月が声をかけてきた。
「黄月、心配したんだよ?!」
 慌てる文友がとってつけたようなことを言い出す。
「どこに行っていたんだ?」
「茂谷を探してた、奴ならこっちにいるぜ?」
「茂谷は公園にいたのか?」
「まあな」
 黄月の案内で茂谷のいる場所に向かった。
 その場所に到着すると誰かが路上に倒れていた。
 その人物はうつぶせに倒れていて何の動きも見せない。
 大丈夫かどうかは体を動かしてみないとわからない。
 黄月がわざわざ倒れている茂谷を放置してナツたちを呼びに来たのだから、たぶん大丈夫じゃないと思う。
 ナツは近寄って茂谷の体をあおむけにしてみる。
 目をつぶっていて、手足に何の反応もなく、その体には力が入っていない。
「殺害した奴がその辺にいるかもしれない」
「俺はこっちを探すぜ」
「では、僕はこっち」
 黄月と白雲が周りを調べに行く。
 あとにはナツと文友と朱音が残された。
 二人の妖怪が人よりすぐれたその耳で、心音を確かめようとする。
「こりゃダメだ」
「呼吸の音も、心臓の音もしていないよ」
 朱音たちが自分たちの調べた茂谷の体の状態を話す。
 血が流れていなくて変化があるように見えない。
 唯一異常なのは、手足に何らかの噛み跡があって、その部分だけが変色している。
「完全に死んでるな」
「人間の仕業かな?」
「こんな虫に刺されたような傷で、通り魔みたいに殺害するのは妖怪だけだな」
「うんうん、そうだね」
 こういった事件に未熟な朱音の疑問にナツが答える。
「警察を呼ばないと」
「任せろ」
 文友が携帯電話を取り出して番号にかけ始める。
 おそらく警察で妖怪関係を押し付けられている森野刑事に連絡することになる。
 救急車も呼ぼうとするが、この犠牲者が助かるとも思えなかった。
 事件への関係性や相手の冷酷さを考えると確実に殺害していったはず。

「僕の方は誰も見かけなかったよ。それとこんなのを見つけたよ」
 戻ってきた白雲がどこかに落ちていたらしい分厚い封筒を持ってきた。
 ナツが中のものを取り出してみると何らかの計画表に見えた。
「量があるから手分けするぞ」
 ナツが他の者に見せるために配る。
「社長の行動予定表とか、社内の地図とか、まあ社長の行動についてすべてかな」
「こっちはわけのわからない文字で書かれているよ?」
 朱音が言う通り、彼女が手にして見ている書類は見たことのない文字で書かれていた。
「どっかで見たような気がするけど」
 人間とは違う世界に生きている妖怪たちは見たことがあるらしい。
「そいつは、妖怪文字だぜ。昔、故郷の狐たちが使っていたのを見たことがある」
 黄月が周囲を調べ終えて戻ってきた。
どこにも怪しい連中はいなかった、とのこと。
「ふ~ん、で、何て書いてあるの?」
 電話で連絡を終えた文友が口を挟んできた。
「俺にはわからん、不勉強でな」
「何のために年取ってるの?」
「うるせえ」
「本の力を使えば、読めるよ。試してみよう」
「そういえば、本にはそういう力もあった」
 白雲がナツに本を使うことを促した。
 ナツの持っている本は本来、妖怪退治に使用するものでそういう力も備わっていた。
「声に出して読むぞ。指示に従って予定されたとおりに襲撃すること。報酬は別途に用意する」
「どうやら社長の襲撃計画のようだね」
 ナツは白雲の指摘で体がこわばった。



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