はじめましてのノベルデイズ!
文字数 2,130文字
あのね、えっとね、オレはユケイっていうんだ!
それで……好きな食べ物は、イカ焼き! シバが焼いてくれたイカ焼き!
あとはえっとぉ、うんとぉ……なんか、こーゆーの苦手!/////
……いえ、イギリス在住のエディ・ウィローシュ君といった方が正しいですね。
ひょんな事から、彼はこちらの……本の世界に閉じ込められてしまい、
さらには自分自身に関する記憶を奪われてしまったんです。
もとの世界へ帰るには『記憶が封じられた7つのクリスタル』が必要……
そこで私はユケイ君のクリスタル集めの旅を手伝っている、というわけです。
取り戻してゆく記憶はなにやら不穏なものばかりで……いつか「翠ちゃんとのラブラブ生活が楽しすぎるから現実世界に帰りたくなーい(涙)」なんて言い出さないかシンパ~イ。
そう、つまり。これは愛と感動の、夢と現実が交錯する壮大なおねショタ物語なんですッッ!!!!
ユケイ君は私のことが大好きでしてね~? どこへ行くにもくっついてくるし、私がちょーっと異性と仲良くすると嫉妬しちゃうし。甘えん坊で寂しがり屋で、夜一人でトイレに行けないときたらぁああもうっ、たまらん…ゲフンゲフン困っちゃいます★
この前なんて寝言でー……
途中から全くのウソぽよなんだよ! オレそんなんじゃないからねー!?;
こんな感じで翠はすーーーぐ嘘つくんだ! 秘密でいっぱいだし、夜な夜などっかいっちゃうし、肝心な時に限ってオレのこと置いてどっか行っちゃうしさ。めっちゃ怪しいんだよ!
……翠はオレの記憶の一つである『水のクリスタル』を持ってる。
クリスタルの所持者は、どこかの物語からさらわれてきた主人公のキャラクター……らしいんだ。
主人公を失った世界はめちゃくちゃな物語になっちゃうんだって……。だから7人の所持者はそれぞれの世界に帰りたいはずなんだ。でもクリスタルは、所持者の命に宿ってる……。
こんな残酷なゲーム、あんまりだよ……!!
だから翠とはお互い敵のはず、なんだけど……なんかなんでか、めっちゃ親切にしてくれるんだ!
ってゆーか、なんで現実世界のオレのこと知ってんの?? 翠って架空の人物のはずでしょ!? こっわー!!
オレは自分の安否がかかってるんだ!
同行してるのが敵なのか、味方なのか。気になって夜しか眠れないんだよ!
翠の正体教えてよ! ねぇねぇねぇねぇ、ねぇったら~~~!
こっちの世界でも勉強はしっかりとね!
現実世界に帰った時、お友達より勉強が遅れてたら嫌でしょう?!
まだならオヤツは抜き! おテレビもなし! ウィングマンごっこも禁止!
戦闘的なことは全てこの翠ちゃんにお任せあれ!
おバカっちのキミはいっぱい勉強して、賢くなって、いろんなことを自分で判断できる頭……の基礎を作らねばなりません。その辺の雑魚は蹴散らしておきますので、キミが戦うべきは自分自身。
この世界から脱出するためには、そういう力が必要なんです。
ユケイと翠のノベルデイズ生活が始まったのだった……!
(ドコドンッ!!)
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