ここで会ったが100年目!
文字数 4,049文字
木々の生い茂るひとけのない山道を歩いていた。
相変わらず、2人は森をさ迷っていた。
ユケイの声は静寂の彼方に響くばかり。
翠は既に行ってしまったようだ……。どこからともなくいい匂いが漂ってきた。
(くんくん…)
妙だぞ、こんな森の奥深くで! お化けがオレを誘惑しようとしてるんだ!;
でも、でもー……。なんだよこの超美味しそうな匂いは……!
オレの本能が往けと囁く! 体が勝手に動いちゃうーーん!!(よだれ)
そこには簡易なキャンプが設置されており、
小さな灯りのもとに2つの人影があった。
翠が転送されてきた!
竜王エミエル! 魔王ジギ! ここで会ったが100年目!!
ユケイ君っ、こいつらは光のクリスタルと闇のクリスタルの所持者ですよ!?
ご飯で油断させてキミを仕留めるつもりに違いない……!(臨戦態勢)
むしろ遭遇したことを残念に思っているのはこっちだ……!
(こちとら久しぶりにエミエルと2人で過ごせると思ったのに……)
……ともかく、今からお子ちゃま達の夕飯だ。
消されたくなかったらそこで大人しくしてなァ……!
お前のはあえて小盛りにしてやるから、こまめにおかわりに来い!
……前にがっつき過ぎて、芋を喉に詰まらせて死にそうになっただろォ……!?
それにデザートもあるんだから、腹八分目にしておけェ……?
ユケイとエミエルは楽しい時間を過ごした。
食後のお菓子もなくなり、月は高い位置にある。
おひらきの時間がやってきた。
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