研究施設の人気者!

文字数 2,159文字

ここは火の国ブレノスの国家機関の一つ『竜族の研究所』。

竜族における様々な生態と特異な能力を研究・解明し、

安全な活用法の確立によって社会的貢献を目指す組織である。

おはよう、リオ。

本日は能力テストを行います。

貴方の脚の速さを測定するために、高速回転するランニングベルトの上を走ってもらいます。

研究室内では担当者の指示に従い、速やかに行動するように。

※"リオ"とは、研究所内でのイナフの呼び名。
はい、わかりました。
その後だけれど、午後は特に予定はありません。

だから……もしよかったら私と、少しお話でも……/////

イブキさん、オレはいつになったらこの研究所から出られるんだ? 

……もう博士との約束は果たしたはず。

博士は今どこに? ずっと話がしたいのに、誰もとりあってくれなくて。

そ、それは………。

おーいリオ。

食事を持ってきてやったぞー。

えっ、今頃どうして!?

朝食の時間はとっくに過ぎているんですよ?

いやぁそれが、朝食の配給を任せた後輩が配膳するのを忘れてたみたいなんだ。

だから、先輩のボクが責任をとって持ってきたってわけ!

やれやれだよ。

後輩がって……確か、彼女は入って間もない新人でしょう!?

管理棟は部屋が多くて複雑なんです。

ミスした新人も悪いですが、直属の先輩としてちゃんと仕事が完了しているかチェックしなかった貴方にも責任があると思いますよ!

ひゃ~っ、相変わらずAクラス職員のイブキさんは手厳しいねぃ!

そうなんだよ。まったく手のかかる新人で参っちゃうんだ。
私の言っていること、理解できてます?


ともかく、リオはこれから実験でいくらか走り続けなければならないの。お腹が空いていたら十分な結果が出せないかもしれないじゃないですか。

ここは動物園ではないのですから、しっかりしてもらわないと困ります。

そんな硬い喋り方しなくても~。

ボク達同期でタメなんだから、もっと肩の力を抜いていいんだよ?

私は上司なんですけど……!
あっ、あの!

お話中にすみません。ミスをしたのは私なんです。


配給漏れが起こらないよう食札を確認しながら行っていた……つもりだったのですが、リオの食札だけいつの間にかなくなっていて……見落としてしまったんです。

リオには実験の予定があったのに、申し訳ありませんでした……!

あ、あのー……。
実験を午後にできないか上部に相談してみます。

貴女も、これからは気をつけて下さいね。


……って、どうしたのリオ?

オレにとっては走る事なんて朝飯前です。

大丈夫、予定通りで構わないですよ。

そんなに責めないであげて下さい。

わっ私は別に、責めているわけじゃ……。
あ、ありがとうリオ……v

(キュン)

はぁぁ~~なんだかなぁ。

うちの研究所の女性陣は男を見る目がないよ……。こんな舌の青い緑トカゲのどこが良いんだか。

くっそぉお~~リオめぇぇ……。

大体、竜族はどいつもこいつも色がどギツくて気持ち悪いんだ。

なんですかその物言いは。

我々竜族の研究者にとって、リオは重要な存在です。

彼のDNAは草食種において原始的で、竜族の進化の歴史を辿るヒントになるかもしれない貴重なもの。これに近しい被検体は、今のところ発見されていないんですよ。

それに、ヒロさんは何故リオがモテるかより、

何故自分が嫌われているのかを考えた方がよいのでは……!?

リオこそ、なんで男性職員から評判悪いのか考えた方がいいんでないかい?(笑)
(……畜生。この首輪さえなければ、こんな奴ら今すぐにでも蹴散らしてしまうのに……)
よーしリオ、命令だ。

今ここで、思いっきり変顔しろ!

えぇ~……。
ちょっと!

私の管轄の竜族に、わけの分からない指示を出さないで下さい!

そうだなぁー『ウンコふんばってる時の顔』しろ!

それを見れば、イブキさんも目が覚めるに違いない。

はい。

わかりました。

……リオ!?;

これは正式な指示ではないわ。

従わなくていいのよ??

よーし言ったな!?

おーーーい、女性職員の諸君! 今からリオが面白いことするらしいよ!

集まれ集まれ~!

「えっなになに?」

「なにが始まるの?」

「リオがなにかするって?」

「それは是非とも見なくっちゃー!」

今から変顔とやらをします。
(わくわく……!)

……エッッッ/////////////!?


こらーーー!! それがお前の変顔かぁーーー!?!?

『みんなで変顔しようね』って言った時、一人だけ裏切ってくるタイプだなお前ー!!

精一杯やってみました。

「きゃあー!/////」

「リオ可愛いー!!/////」

「かっこいいー!!////」

「もう一回やってー!////」


女性職員達は盛り上がっている★

な、何故だぁぁぁぁ……orz
皆さん、これは見世物ではありませんよ。

各自持ち場に戻ってください。

(野次馬を追い返す)

ん~……大丈夫ですか?(ヒロのもとへ)
なんか、すみませんでしたぁ。

どぅあああ!? 何だその顔わーーッ!!

こんにゃろ~人間様をナメてるなぁ!?

イブキさん見てくれぇー! これがコイツの本性ダァーー!!

はい……?(けろり)


ヒロさんいい加減にしてくださいっ!!

走行実験をする竜族はリオだけではないわ。

時間がもったいないから、早く行きましょう。

くそう、リオめ……。

いつか目にもの見せてやるぞぉ……!

イブキさんは、イブキさんはボクのものなんだからなぁ……!(ギリギリギリィィ…)

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登場人物紹介

【 ユケイ 】

CRYSTAK CROSSの主人公。

ひょんな事から7つのクリスタルに封じられた記憶を取り戻すべく、翠と一緒に頑張る10歳児。

口癖は「ほーん」「~なんだよ」「~だよん」。

お化けが怖くて夜一人でトイレにいけない。

同年代や年下の前では頼もしいが、年上相手には甘えん坊になってしまう。

必殺技に変な名前をつけがち。

現実世界:エディ・ウィローシュ(10歳)

【 翠《すい》】

水のクリスタル所持者

ユケイ君が可愛すぎて毎日がハッピー☆

他のクリスタル所持者達を裏切りユケイの味方をしているが、色々とヒミツだらけ。

その姿はクリスタルの能力によってできた水の分身体であり、本体の所在は不明。

本の世界のルールについて、なにかと詳しいようだが……?

【 シバ 】

ユケイを利用して成り上がった、海賊船の船長。

銃の腕は超一流。

現実世界:シルヴァ・アディントン(16歳)

【 リズ】

無口で謎の多い竜族の女の子。

ユケイに執着しており、どこまでも追いかけてくる。

現実世界:リズリット・ローリー(10歳)

【イナフ】

竜族の研究所に囚われていた竜族の青年。

ユケイと共に研究所からの脱出を試みる。

身のこなしが素早く、足技が得意。

現実世界:イアン・ハイアット(16歳)

【エミエル】

光のクリスタル所持者

竜界の覇者であり、竜族達を束ねる王。

少女の姿をしているが2000年以上生きており、その正体は巨大な竜である。

魔王ジギとは仲良しこよし同盟を結んでいる。

好きな食べ物は苺。水が苦手で風呂嫌い。

【 ジギ 】

闇のクリスタル所持者

魔界の支配者であり、魔族達を従えている王。

闇の魔法を操る魔法使い。気付いたらエミエルのお世話を焼いている。

見た目の雰囲気に反して、可愛い小物やお菓子作りや裁縫が好き。

キュンは1日3度まで。4度目は死(?)に至る。

万姫《ワンヂェン》

三大海賊団『ネヴァサ』の船長がひとり。

千人斬りの異名を持つ。

元は風の国の第一皇女。全ては敬愛するボスの為に。

現実世界:王・深緑(ワン・シェンリュ)(17歳)

ヤグール

三大海賊団『ネヴァサ』の船長がひとり。

魔獣使いの異名を持つ。

万姫を気にかけている。

現実世界:ヤーコフ・スミス(44歳)

バル・ムワ

三大海賊団『ネヴァサ』の船長がひとり。

強欲の王の異名を持つ。

スー

竜族三姉妹の長女。

万姫のお世をしている竜族。

透視や近い未来を予言する能力をもっている。

現実世界:王・思颖(ワン・スーイン)(42歳)

【イルヴァ】

竜族の王国を守護する白薔薇騎士団の団長。

エミエルに絶対の忠誠を誓っている。

三度の飯よりイナフのことが好き。

超泣き虫。

現実世界:オリヴァー・イェリデン(15歳)

【 ラダリェオ 】

類まれな戦闘の才を持っているが、

残酷なことが嫌いな変わり者のロゴドランデス族。

セスとイナフにはめっぽう弱い。

わりとツンデレ。

現実世界:ランドルフ・ハイアット(38歳)

【 エバ 

人間界に生まれ竜界で育った、

砂漠に住まう力自慢の竜族。

マイブームはラダリェオと戦うこと。

現実世界:エマ・アシュバートン(36歳)

【 レヴァン 

砂漠出身の、力自慢の竜族。

白薔薇騎士団の副隊長。

元反王国派だったが、今はエミエルに忠誠を誓っている。

好戦的で猪突猛進。

なにかとイルヴァにつっかかる。

現実世界:レオン・タイラー(15歳)

【 エルク 

竜族の歌姫・アルテミシアの弟。

歌声に特殊能力を持ち、聞いた者の状態を操る。

豪華客船にて、窮地のところをユケイに救われ、固い友情が結ばれた。

リズとも仲良し。

現実世界:エリック・アンダーソン(10歳)

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