夏の日の思ひ出【悪党のバカンス編】
文字数 4,448文字
リゾート地であるこの島では、時期ともあって多くの観光客で賑わっていた。
そこにお忍びでやってきたのは『ネヴァサ』に属する2人の悪党。
武器も護衛も置いてきて、水着姿で浜辺に立つ。
軽快な足取りでゆく
ヤグールからもらったペンダントが自慢げに輝いていた……。
※夏の魔法(?)で何故か身バレはしません※
グランデバニラノンファットアドリストレットショットノンソースアドチョコレートチップエクストラパウダーエクストラホイップ抹茶クリームフラペチーノ……だヨ?
一口欲しいって言ってもあげないヨ!(隠)
せっかくのビーチなのに、若い女がおじさんにべったりなのは如何なもんかね。案外一人でもその辺うろついてりゃイケメンにナンパされっかも知れねぇぞ~?
そうだ、おじさんの必勝アイテムをやろう!
(ガサゴソ)
…………。
今年の夏こそ
あぁでも変なのに絡まれたりしねぇかな。ちょいちょい世間知らずなとこあるからなぁ。だ~~~~~気になって仕方ねぇや。
一応遠目から見守っておくか……。
別行動となったものの、ヤグールは唸りふり返る。
人混みの間からヤシの陰から、つかず離れず尾行して、
万姫の様子を見守るのだった。
万姫は砂浜で日焼けを楽しむ人達に混じり、
やけくそ気分でスタンバイ(?)していた。
(えっ、ウソ!? さっそく来たヨ!?
しかも3人!! やだどーしよ嬉しイ!!//// もしやアタシって美女!?/////
とりあえず塗ってもらえばいいノ!?)
……え、えと……あの、じゃあ、
お願いしまぁス……♡
万姫は満面のニッコリ顔。
その死角で、
1人の男が不審な動きをみせる。
ヤグールが掴んだその腕には、
青い輝きが揺れていた。
それは万姫のペンダントである。
あーらら、行っちまったや。
んじゃ、兄ちゃんはオレと楽しくやろうや。なんやかんやで昼メシ喰いそびれてたんでねぇ、丁度よかったぜ。
……オレぁ柔らかい美女が好みなんだが、引き締まった肉もたまにゃあいいもんだ。
なあ……?(にんまり)
~夕暮れ~
― 海浜ホテルの一室にて ―
TVニュースアナウンサー
『……―― 次のニュースです。
本日の昼過ぎ頃、警察署に2名の男性が駆け込みました。
2人は暴行を受けており重傷で、もう1人の知人を助けて欲しいと訴えたようです。
その知人男性については現在も行方不明となっており、
調べによりますと、男達はビーチで金品を盗んでいた常習犯だったようで、
今回は狙った相手から報復を受けたとみられます。
警察は男達を逮捕するとともに、行方不明の男性の捜索、
ならびに暴行犯の情報提供を呼びかけており――……』
テレビのニュースを聞き流しながら、
ヤグールはテーブルを叩いて爆笑していた。
今日はちっとも楽しくなかったヨ!
それもこれも、全部アンタのせいなんだからネ!! 一緒に来たのに別行動だシ。アンタの言った通りにしたのにロクな男が来ないシ! 欲しい物も買えないで、ほんっっっと最悪。
こんな事ならスーと来るんだっタ……!
……(`・へ・´)キッ
だーから最初に言ったろ。価値がわかる奴にはわかるんだから、スリに遭うぞって。なのにお前は聞かなかった。
ったく、超高級品なんだからもっと大事に扱ってほしいもんだ!
(ごつん)
いった~~イ;;
なんでぶつノ~~!?;;
だって箱にしまっておくのは嫌だったノ。アタシ達はいつ死んでもおかしくない世界に身を置いてんだから、大事にとっておいたらつける機会がないまま、アンタに見せる機会もないまま終わるかもしれないだろオ!?
常に後悔のないように生きていたいんだヨ!
(ヤグールが買ったのはメロンクリームソーダのみ…)
を楽しんだという。
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