悪党達の忘年会!

文字数 1,970文字

ヤグールの海賊船、

エル・フリーデア号にて。

3人の船長が集結して盛大な忘年会が催された。

いようバルたん、飲んでるか~?

オレにも注がせてくれよ。何が飲みたい?

ビールにワインに焼酎に、カクテルやテキーラもあるぞ?

選べないなら全部飲もうや! うははははは!

あばばば。もう十分だ。

もう帰る。

そんなこと言うなよ。

オレ達はいつ死んでもおかしくない世界に身を置いてんだ。

今年も無事に顔合わせができたことを祝おうぜ。

盛大になー!

バル・ムワーー!

このローストビーフはアタシが作っタ!

レシピ本を片手につきっきりで火入れした自信作だヨ!!

分かった、分かったから。

お前の声は鼓膜にキンキン響いてたまらんですぞ;

かしましいったらありゃしない……。

うーん、やっぱ半生肉はうめぇなーー!

酒が進むーう。

半生肉じゃなくてローストビーフ!
聞いてくれよバル・ムワ。

今年の決算はもう見たな?

相変わらずお前が優勝なんだが、なんとオレの利益は万姫(ワンヂェン)に抜かれてしまったのだ!

うはははは! まぁこいつは地頭がよくてなんでもそつなくこなすからなぁ。

おじさんはもう引退かなぁ。

何言ってんノ。全部アンタのおかげだヨ。

なにかと裏で手を回してくれるから、やりやすいってだけダ。

感謝してるヨ!

ヤグールよ、一番の小娘に成績を抜かれて笑っている場合ですか。

貴方も新しい事業をはじめた方がいい。

いくつかツテがあるから紹介してあげましょう。

いーや、オレは現状でいっぱいいっぱいだ。

数字が維持できればいいと思ってる。

万姫がオレの分まで頑張ってくれるってことで。

任せナ!

もっともっと成果をあげて、楽させてあげるヨ!

(ウィンク☆)

くーう、今の聞いたかぁ!? 泣かせてくれるねぇ! 

腕っぷしが強くて頭もよくて、おまけに仕事のできる女……。

そんな(ワン)ちゃんを育てたのはこのオレだ。鼻が高いぜ!

うははははははーーー!!!!

変に嫉妬してこないし、アンタはわりと理想の上司だヨ。

この優秀なアタシをもっともーーっと誉めてちょうだいナ! 

アタシは誉められて伸びるタイプヨー!

ヒャーーーハハハハハ!!!!

ああもう、コイツらといると胸やけがするのです……。

(耳キーン)

―― 船長だけの二次会。

会場は、ヤグールの部屋。

相変わらず、アンタの部屋はきったないネ~~~;

大掃除の一つでもしたらどうなのヨ。

こんな調子じゃそのうちゴキがでるヨ。

(足元に絡むゴミを蹴っ飛ばす)

な、なんと美しくない部屋……;

よくもこんな空間で息をしていられますなぁ。

いやぁ~どれもこれも思い出深くて捨てられないんだ♪
捨てなくていいから片付けなってノ。

なんか金目の物落ちてないかナ~? 

おっ、カードみっケ! チッ、クレカじゃねぇのかよ……って、ンン?(凝視)

……誰よこのイケメン。ちょっとタイプ~♪

おお~、それは数十年前になくしたオレの資格証だ~♪
ブーーーーーッ!!!///////

(吹き出し)

前言撤回!!!!(投)

あぁあ投げるな~、

オレのイケメン時代がまたどっかいくじゃねぇか~;

実物ともども有効期限が切れてんだから、さっさと捨てちまいナ!
失礼な女だなぁ~……。

おいバルたん、風輝(ファンフゥ)ちゃんの画像晒したってくれ。

やれやれ……。

(タブレットを開く)

ギィャアーーーーー~~~!!!!(発狂)

つーかなんで画像持ってんのヨ。

しかも一般公開されてないオフショット。

怖ッ!!

別にお前の画像だけではありません。

世界中の皇族、王族、貴族関係の情報はそれなりにおさえています。

わたしの顧客になりうる可能性がありますからねぇ。

あ~あ~あ~このオリエンタル美女はど~こいっちまったのかねぇ~~?

まさか目の前にいる蛇女じゃあねぇよな~~? 

うはははははは!

やだやダ!! そんな画像消しテ!

今すぐ消しテ!! さぁ早ク!!

(バル・ムワに掴みかかる)

あっ、こら! 一応これは機密情報なのだ。

やめろ、離さんか!

(衝撃でタブレットの画面が切り替わる)

……お? 

これはー……。

(タブレットの画面を凝視)

誰よこの可愛い子……。

取引相手ってわけでもなさそうだし、なんでこんな写真持ってんノ?

さてはバル・ムワ、そういう趣味……?

ちがわい!;

こ、これは……故郷のスラムで撮った、15歳の頃のわたしだ……。

うそおおおオオオ!?!?

(画像と本人を何度も見比べる)

お、思わぬ掘り出しものを見つけたもんだ。
この高貴なわたしに薄汚い時代があったのがそんなに意外か?

(いそいそとタブレットを仕舞いながら)

いーや驚いてるのはそっちじゃねぇ。

なんつーか、うん。何だろうな。

とにかく残念でならない気分。

どーしてこうなっちゃったの的な。

アンタよく結婚できないって嘆いてるけどサ……。

解決策はすぐそこにあるヨ。

アタシ協力するからさぁ……痩せよウ?

な、なんなのだお前達!;

ええい、不愉快だ!

帰るッ!!

(逃)

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登場人物紹介

【 ユケイ 】

CRYSTAK CROSSの主人公。

ひょんな事から7つのクリスタルに封じられた記憶を取り戻すべく、翠と一緒に頑張る10歳児。

口癖は「ほーん」「~なんだよ」「~だよん」。

お化けが怖くて夜一人でトイレにいけない。

同年代や年下の前では頼もしいが、年上相手には甘えん坊になってしまう。

必殺技に変な名前をつけがち。

現実世界:エディ・ウィローシュ(10歳)

【 翠《すい》】

水のクリスタル所持者

ユケイ君が可愛すぎて毎日がハッピー☆

他のクリスタル所持者達を裏切りユケイの味方をしているが、色々とヒミツだらけ。

その姿はクリスタルの能力によってできた水の分身体であり、本体の所在は不明。

本の世界のルールについて、なにかと詳しいようだが……?

【 シバ 】

ユケイを利用して成り上がった、海賊船の船長。

銃の腕は超一流。

現実世界:シルヴァ・アディントン(16歳)

【 リズ】

無口で謎の多い竜族の女の子。

ユケイに執着しており、どこまでも追いかけてくる。

現実世界:リズリット・ローリー(10歳)

【イナフ】

竜族の研究所に囚われていた竜族の青年。

ユケイと共に研究所からの脱出を試みる。

身のこなしが素早く、足技が得意。

現実世界:イアン・ハイアット(16歳)

【エミエル】

光のクリスタル所持者

竜界の覇者であり、竜族達を束ねる王。

少女の姿をしているが2000年以上生きており、その正体は巨大な竜である。

魔王ジギとは仲良しこよし同盟を結んでいる。

好きな食べ物は苺。水が苦手で風呂嫌い。

【 ジギ 】

闇のクリスタル所持者

魔界の支配者であり、魔族達を従えている王。

闇の魔法を操る魔法使い。気付いたらエミエルのお世話を焼いている。

見た目の雰囲気に反して、可愛い小物やお菓子作りや裁縫が好き。

キュンは1日3度まで。4度目は死(?)に至る。

万姫《ワンヂェン》

三大海賊団『ネヴァサ』の船長がひとり。

千人斬りの異名を持つ。

元は風の国の第一皇女。全ては敬愛するボスの為に。

現実世界:王・深緑(ワン・シェンリュ)(17歳)

ヤグール

三大海賊団『ネヴァサ』の船長がひとり。

魔獣使いの異名を持つ。

万姫を気にかけている。

現実世界:ヤーコフ・スミス(44歳)

バル・ムワ

三大海賊団『ネヴァサ』の船長がひとり。

強欲の王の異名を持つ。

スー

竜族三姉妹の長女。

万姫のお世をしている竜族。

透視や近い未来を予言する能力をもっている。

現実世界:王・思颖(ワン・スーイン)(42歳)

【イルヴァ】

竜族の王国を守護する白薔薇騎士団の団長。

エミエルに絶対の忠誠を誓っている。

三度の飯よりイナフのことが好き。

超泣き虫。

現実世界:オリヴァー・イェリデン(15歳)

【 ラダリェオ 】

類まれな戦闘の才を持っているが、

残酷なことが嫌いな変わり者のロゴドランデス族。

セスとイナフにはめっぽう弱い。

わりとツンデレ。

現実世界:ランドルフ・ハイアット(38歳)

【 エバ 

人間界に生まれ竜界で育った、

砂漠に住まう力自慢の竜族。

マイブームはラダリェオと戦うこと。

現実世界:エマ・アシュバートン(36歳)

【 レヴァン 

砂漠出身の、力自慢の竜族。

白薔薇騎士団の副隊長。

元反王国派だったが、今はエミエルに忠誠を誓っている。

好戦的で猪突猛進。

なにかとイルヴァにつっかかる。

現実世界:レオン・タイラー(15歳)

【 エルク 

竜族の歌姫・アルテミシアの弟。

歌声に特殊能力を持ち、聞いた者の状態を操る。

豪華客船にて、窮地のところをユケイに救われ、固い友情が結ばれた。

リズとも仲良し。

現実世界:エリック・アンダーソン(10歳)

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