近くで起きる不調

文字数 728文字

 少し遠い部署だけれど、何度か話した事のある人が精神に不調をきたしたようで長期間の休みに入った。
 少し前から目の光が消えているように見えて、トイレですれ違った時に「体調大丈夫ですか?」なんて声掛けようか迷っていた。でも、そんなに仲良く無いのに突然そんな事言われたら怖いかなとか、この前は別の人にそう目測を立てたけど見誤ってたし自分の感覚に自信ないなとか、一歩を踏み出しきれずにいた。自分の近くで不幸な人間を出したく無いと努力しているつもりだったけど、勇気を持てず握り締められなかった手の隙間をさらさらと抜けて、また何かが零れ落ちた。
 わかっている。自分はあの人にとって、唯の「その他」の一人でしかなく、声を掛けたところで何も結果は変わらなかった。それでも…。それでも、と心に澱を残したのは、「誰かが自分を見てくれている」という事が、心に少しでも温かさをもたらす事を私は知っているからなのかもしれない。
 周りにいる他人をみんな幸せにするなんて大層なことは出来ない。私にそれほどのキャパシティはない。だけれどせめて、崖から落ち掛けているならば、手を差し伸べたいと思っている。ブラックホールのような一度囚われれば逃れられない、そんな不幸に飲まれる前に少しだけでも引き上げられたら。そう願っている。

 命の枯れる冬が足音を鳴らしてやってくる。せみやトンボと違い、人はその中でも生き永らえなくてはならず、試練の時が刻一刻と近付く。冷たさは心の熱を奪い、依る温かさを求めて、私たちはまどうのだろう。

 リアルで思考しなくてはならない問題が山積していて、創作に頭を回す余裕がない。また余裕ができたら書きます。もし、見てくれている人がいるならば、少し待ってもらえたら幸いです。
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登場人物紹介

チン・コロッテ

 よくチンチン(電車)に似ていると言われる五十代の男。職業は一級セクハラ士で、決め台詞は「坂道下る君の心の恋人、どうもチン・コロッテです」。アイドルに詳しくないが、アイドルという文字を見るとムラムラする。

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