干支巡り、星巡り、心変わり

文字数 698文字

 人の心とは分からぬもの。就職する頃はあれほど妻を幸せにすると決めていたのに、どうしてか家族が重いと思えています。よく私の好きなアーティストが色んな感情や期待なんかを「リュックに詰めて」とか「背負う」なんて表現したり、昔よくテレビで年金を支える若者の図としてフリップで老人二人を若者一人が苦しい顔で支える絵を紹介していましたが、確かに言葉としてだけではなく、家族を支えるって凄く重みがあり、重みを感じては「ああ、逃げ出したい」なんて思うときがあります。とは言いながらも、その実、暗い気持ちになるのは、家族と居ないときや家族が寝静まった後であって、家族と居るとそれほど暗さや辛さ感じていないです。不思議なもんです。
 それに、今書いている物語なんかも、あまりこの暗い気持ちの影響は受けていない様に思います。

 一体誰に何を認めてもらいたいのか、漫画家を目指すのを辞めた頃に分かった気でいたのですが、今はまた誰でもない不特定多数の人に知って欲しいというか、承認欲求が迷子になっています。早くこんな時期抜けたいのですが、まだまだ仕事は忙しく、妻も私が体力の限界である事を理解して休日に目一杯休ませてくれる事もなく、ただただ疲労感と虚無感が蓄積される日々。
 ここだけが唯一自分の心中を曝露できる所というのが何とも言えない人生の哀愁があります。多分普通の人なら友達やキャバクラとかで曝露するのでしょうが、私は友達の前では強がるし、キャバクラとかだと人見知りで面白い人に見せたがってしまうのでダメです。

 まだ朝は来ぬかと、カーテンを時折開けては、また閉じる日々。夜が持つ死への引力に、引かれ続けておりましょうか。
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登場人物紹介

チン・コロッテ

 よくチンチン(電車)に似ていると言われる五十代の男。職業は一級セクハラ士で、決め台詞は「坂道下る君の心の恋人、どうもチン・コロッテです」。アイドルに詳しくないが、アイドルという文字を見るとムラムラする。

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