中華料理屋で隣席の会話

文字数 579文字

本来、聞くべきでは無いのは分かっているのですが、どうしても一人でいるときは聞いてしまいます。隣席の会話。

その日は、中華料理屋にいました。
まだどこかぎこちなさの漂う、付き合っているのかいないのか、はっきりと分からない程度の距離感のカップルが隣席にいました。

彼は言います。
「オレ、東北料理が好きなんだよね。味に深みがあってさ」

私が嫌いなタイプの男です。ここは東北地方(中国のね)の中華屋ではないのです。何故だか分かりませんが、語り口から出てくるナルシストオーラと自分のことを客観的にみるということを人生で一回もしたことがなさそうな自信満々の話の内容が好かんのです。

対して、いくつか相槌を打ちながら、麺類を食べた彼女も言います。

「日清の味がする」

私が嫌いなタイプの女です。遠慮というか、傷つく人がいることを考えない女。せめてそういう話は店外でしてくれ!遠慮を知れ!こっちは作られたものだと思って食ってんじゃ!(と言いつつも、内心「確かに」などと思っていた。一時期美味くてよく食べてた冷食に似ていた。)


次に来たのは、女子二人組。こちらは良かった。恋愛成就の願掛けに行った友達に対して、「そんななら、しめ縄持って帰るしかなかったね」と笑って茶化し、対して「いや、新幹線乗るかな?」とノっかる恋人の欲しい彼女。中華と全く関係なく盛り上がる話の方が面白いと感じる私でした。
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登場人物紹介

チン・コロッテ

 よくチンチン(電車)に似ていると言われる五十代の男。職業は一級セクハラ士で、決め台詞は「坂道下る君の心の恋人、どうもチン・コロッテです」。アイドルに詳しくないが、アイドルという文字を見るとムラムラする。

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