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文字数 294文字

 そういう期間と言い訳して、書くことから逃れている。所詮趣味のはずなのに。

 高村光太郎の智恵子・抄を読んだ。若き頃の、物を観察することを得意と感じさせる、造形家としての詩から、晩年には形而上学的でもありながら物質的で概念的な詩へと遷移していく。彼の純粋な妻への崇拝は、妻の変容を痛々しく描写し、読む者に悲痛な思いを共有させる。

 しかし多分智恵子の崩壊は、彼のその崇拝に依ったのだろう。彼が純粋な神に近しく認識するほど、彼女はそれに応えるために完璧にならざるを得なかった。それが長い間の中で彼女を蝕んだ。しかし、高村光太郎自身は、これだけを読むと、それに気付いてはいない。それがまた悲しい。
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登場人物紹介

チン・コロッテ

 よくチンチン(電車)に似ていると言われる五十代の男。職業は一級セクハラ士で、決め台詞は「坂道下る君の心の恋人、どうもチン・コロッテです」。アイドルに詳しくないが、アイドルという文字を見るとムラムラする。

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