第22話 扉
文字数 1,473文字
おれは
硬い音が響く。おれはそのまま
床を転がりながら身体を起こして次の1体に向かい走り出す。
それを屈んで
仰向けに転がり、鎧の中へと長剣を刺し入れる。
魔導珠が輝きを失い、弾け飛んだ。
2体の魔物は次第に動きを止め、鎧を繋いでいた黒い胞子の様なものが
おれは
辺りを覆っていた霧が晴れても、新たな気配は1階へ降りて来なかった。
「番人はこれだけ?」
別の
おそらく5階層はありそうな城だ。
目指す先は、一番上の真っ黒なもやに包まれた場所。だが、道中にたくさんの魔物が徘徊していてもおかしくはない。
それとも、
「精霊が、見てくるってさ」
ウォトリスが石柱の陰から顔を出して言う。
火の精霊が放つ淡い紅光は、崩落している天井の穴に吸い込まれて行った。
しばらく待っていると、こちらにやってきたウォトリスが
「どの階にも魔物の姿はあるけど、動かなくなってるみたいだ」
「魔導珠が体内にある限り、魔物は生き続けるんじゃないのか」
リリシアも周りを警戒しながら集合する。
「あなたはそうあって欲しいと思うのかもしれないけど」
彼女はおれの顔を真っ直ぐに
「
少し悲しげな表情に変わる。
おれは崩落していない階段を探す。
「それなら、あとは上るだけだ」
ところどころ崩れたり、抜けている階段を、慎重に
異形の魔物が壁にはり付いたり床に寝そべったまま、身動きひとつしないでただそこに存在している。
それでもおれ達はできるだけ物音を立てないように歩く。階層を上がるにつれ、おれの胸の鼓動が早くなっていく。頭の中に、過去の像が入り込んで来ようとするのを制しながら、おれは静かに呼吸して歩みを進める。
階段の先に黒いもやのかかった扉が見えた。黒いもやが
リリシアが足を止めて
「ルキ、私は使命としてここにいる。そしてあなたが何者なのか知っているわ」
おれの両腕がピクリと
「おれは
おれはリリシアの顔を見ながら続ける。
「この先にあるのはおれの過去でもあり、この大陸の未来でもある」
「私はあなたの味方よ、少なくともここでは」
リリシアがにやりと
ウォトリスも頷きながら、前に進む。彼は振り向き、おれの目を見て、真顔で言った。
「僕は火の魔術を存分に使えて本望だったよ、この先に何があっても後悔はしない」
それは感謝を示しているのか、別れの予感を示しているのか分からないが、何らかの決意を持つ言葉だった。
おれはリリシアとウォトリスへ