……まあでも! これから挽回のチャンスがあるかもしれないから、まあ、大丈夫だよきっと!
挽回かぁ……。
なぁミッチー。それなんやけど、やっぱ作曲担当って江藤先輩やなくてもええん違うかなって。
いや、考えてみたら江藤先輩にこだわる必要もないかなーって。
作曲できる人なんて、レアはレアやけど他にもおるしー。
(あんまり柏さんと江藤さんに迷惑かけとうないしなぁ……)
うーん、まあ。これは結局いす香の問題だから。
いす香がそう言うならいいんじゃないかな?
――ミッチー、おおきに。
ごめんなー、江藤先輩のことも応援してもらってたんに、急にやめるとか言い出して。
いす香が優柔不断なところあるのは、よく知ってるからね。
今更気にしないよー。
一緒に地獄の底までランデブーしてやんよ!
なんやねん地獄の底って! 失敗前提かいな! ひどっ!
しかし、作曲できる人かぁ。どこで探せばええんやろ……。
作曲かぁ。――ねえ、いす香。思ったんだけどさ。
最近はパソコンでも音楽作れるソフトがあるけど、基本的には作曲って、楽器を使うものだよね?
ああ、そうか、楽器店! 確かにそういうところ見て回れば誰かしら居そうやな!
楽器店なら商店街にあったはず……!
今日はちょうどバイトもオフやし、行ってみよーっと。
良かった。役に立てたみたいで。
じゃあ、私はこれで帰るね。今日は塾の日だから。
おう、ミッチーもいろいろ大変やなぁ。がんばりやー!
うーん、楽器店ってどんな感じなんやろと思っとったけど、結構賑わってるみたいやなー。
レジ横にちょっとウチのCDショップのチラシでも置かせてもらえないやろか?
――って、今回は店の営業やのーて、作曲できる人探しに来たんやったわ!
つっても、だれが作曲できるかなんて、どうやって見極めればええんやろ?
その時、いす香の耳にキーボードの曲と美しい歌声が聞こえた。
――不思議なチカラ感じてるよ
鏡写しみたいな二人
サイコーのコンビネーション――
うわ、誰やろ。めっちゃ歌うまっ!?
聞いたことない曲やけど――インディーズかなぁ。
いす香はキーボード売り場を覗きこんだ。
そこで滑らかな手つきでキーボードを弾きながら、軽やかに歌い上げていたのは。