第六章 ライブのあと

文字数 1,013文字

あー、疲れた!

ライブって本当にあんなもんでええんやろか。お客さんガッカリしてへんやろか。

お疲れさま。成功かどうかはお客さんの顔を見ればわかるんじゃないかしら。
ほら、噂をすればお客さんが出てきたわよ。
あ、いたいた! 本当にいす香だ!
え!? うそミッチー!?
あら、知り合いかしら?
同じクラスのミッチー!

なんかニコイチ? 心友? つーかズッ友? うーん、表現古いか。まあええわ!

とにかくそんな仲なんですわ!

って! ミッチーもしかして聞いてたん!?
うん! 妹が叶クリスさんの大ファンで、クリスさんがデビューしたライブハウスってことでここもチェックしてたんだけど……。

まさかいす香がここからデビューするなんてビックリだよー!

う……知り合いに見られてたとなると急に恥ずかしいな……。

で、その……どうやった?

……ダンスの腰が甘い!
うっわひどっ! そこは褒めるところやん!?
そりゃあ急な話で大した準備もできへんかったけど、ウチかて全力出してがんばったんやから……!
全力出してがんばったなら、良かったんじゃない?
へ!?
はじめてだもの。うまくいかないところだってあると思うし、期待外れだったってお客さんもいるよ。
プロっていうのはそんな甘いものじゃないってことは、バイトをがんばってるいす香が一番知ってるはず。
でも、毎回全力でがんばってれば、毎回成長するはずだから、そのうちお客さんにがっかりされないレベルになるもん!
次回以降も応援するね! がんばって、いす香!
おう! ミッチー、ありがとな!
って、次回以降!? ちょい待ち、ウチはまだアイドルデビューするって決めたわけや……。
でも、私含めてお客さんが待ってるゾ?
うぐ、そう言われると弱いわぁ。ミッチー、勘弁してやー。
うふふ、良かったわね。それじゃ、私はそろそろ行くわ。
他の子たちの様子も見てこないと。
あっ、ちょっと――!
――行ってもうた。
初回のライブだけ手配してあとは自力とか、いくらなんでも丸投げすぎやん!
まあまあ、私も手伝えることがあったら手伝うよ。
何でも言って!
うーん、とりあえずこっから先はライブハウス自体自腹やし、赤字でジリ貧だけは避けたいわ。
デビューの今回は物珍しで来たお客さんもいるやろけど、次回以降も今回くらい客呼べるかは未知数や。
となると、うん! グッズ収入が必要やな!
ミッチーはグッズ作り頼んだわ!
……真っ先に気にするところがそこなんだ。いす香らしいね。
な、なんやその半笑いは!
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登場人物紹介

|由田≪よしだ≫いす|香≪か≫ 私立|在義選≪ありぎえり≫高校一年生。
|音笛瑠野≪いんふえるの≫商店街のCDショップでバイトする、アイドルが大好きな少女。
ある日クリスに誘われて、伝説のライブ「プリティーヘブン」を目指すことに。
ドジで自分に自信が無かったけれど、アイドル活動をするようになって少しずつ変わっていく。

|叶≪かのう≫クリス 三十三歳
かつて世界を震撼させたトップアイドル。
今は活動を休止して、新たな世代のアイドルを指導することに力を入れている。
新たな伝説を作るライブ「プリティーヘブン」の主催者。
謎多き人物。

|江藤≪えとう≫|萌花≪もか≫ 私立|在義選≪ありぎえり≫高校一年生。
天才的なピアノの腕を持つ江藤|珠里≪じゅり≫の妹でありながら、自分も作曲の才能を持つ。
引っ込み思案ながら心優しい性格で、娘CUTEsのまとめ役でもある。

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