1.失楽園(パラダイス☆ロスト)
文字数 2,960文字
人間界からはるか上空に位置する場所で、
沢山の天使たちが平和に暮らしています。
そんなある日の事、4人の天使たちは
天使の長である“神”に呼び出されました。
"本当の天使"になるためには厳しい試験を乗り越えなければなりません。
神は地上を指差して言います。
それは「新約聖書」と書かれた分厚い教本で、
人間界のキリスト教の信者が布教をするため
書いたものです。
それにはキリストが誕生し、処刑され、聖人となるまでの
生涯が書かれています。
見た目こそ教会などで一般的に渡されるような
至って簡素な代物でしたが
神による強力な加護がかけられているため
絶対に破損したり無くしたりする事はありません。
天使たちが座っていた机が吹き飛んだかと思うと
雲の床に穴が開き、らせん状の渦が現れました。
この雷雲こそが天使たちが人間界に降りる為の唯一の手段なのです。
4人はその様子をまじまじと見つめながら、
それぞれ人間界に降りる決意を固めます。
雷雲は次々と天使たちを吸い込んで
地上へ発射していきます。
人間界から見ればそれはそれは
とても綺麗な流れ星に見えたでしょう。
天使たちはそれぞれの思いを抱きながら
後に聖地となるキリストの出生地”エルサレム”へと
舞い降りていきました。
「……神はいつでも君たちを見ているぞ」