6.悪魔誘惑(デモニック☆チャーム)

文字数 3,421文字

2017/12/23 16:07
「ヒーッヒッヒッヒ!練れば練るほど美味しい悪魔のシチューじゃぞぉ!」
2017/12/23 16:13
「う、美味い……すきっ腹に染みる……」
2017/12/23 16:14
「これほどの馳走、今まで食べた事が無い……」
2017/12/23 16:16
「見ず知らずの人間に食事を与えるなんて……貴方は天使です!
2017/12/23 16:43
「天使はあんた達じゃろーが!」


「全く、邪神様に言われて来てみれば天使たちがこんなポンコツだっただなんて……」

2017/12/23 16:44
(何でだろう、この悪魔とは友達になれる気がする)
2017/12/23 16:53
「私の名前はヴァース!!!聖人を誘惑し堕落させるためにやってきた悪魔なのじゃ!天使さえも堕とすそのテクニック!しかと味わうが良い!!!」
2017/12/23 16:56
「テクニック……う~んそこはかとなくエロい響き」
2017/12/23 17:00
「お前もう慈愛の天使じゃなくて性愛の天使に改名しろよ」
2017/12/23 17:03
「私たちは40日間の修行を耐え抜いた。そう簡単に悪魔に誘惑などされるものか」
2017/12/23 17:05
「果たしてそう言っていられるかな……?ほれ!
2017/12/23 17:06
「そ、それは!」
2017/12/23 17:08
「こ、コタツです!この悪魔、コタツを用意してきましたよ!」
2017/12/23 17:09
「食べたから眠くなってきたじゃろう?このクッソ寒い時期に入るコタツは最高じゃろう?さあ、悪魔のコタツに誘われるが良い……クククク………」
2017/12/23 17:10


(ゴソゴソ)


「かぁー!暖かい!ぬくぬくだよ!もう出られないよ!」
2017/12/23 17:13
「しかもお茶とミカンまで用意してある……これは……犯罪的だ……!この悪魔……!用意周到……!人の欲望をとことん知り尽くしている……!」
2017/12/23 17:14
「ここって紀元前の荒野だったよね?」
2017/12/23 17:17
「何という事だ、早くも天使が二人も堕落してしまった。神よ、これが悪魔による力なのでしょうか、恐ろしい……!」
2017/12/23 17:17
「いや、あの二人は元々自堕落だから素じゃないかな」
2017/12/23 17:19
「(モグモグ)何をしている二人共!ゴホゴホッ早くキリスト様をお守りするのだ!(モグモグ)」
2017/12/23 17:22
「分かったから食い終わってから話そうな?」
2017/12/23 17:24
「どんな誘惑や責め苦を受けても、私は聖人を目指すことを辞めたりはしない。悪魔よ、おとなしく去りたまえ」
2017/12/23 17:25
「そうだそうだー!」
2017/12/23 17:29
阪神の助っ人外国人みたいな名前しやがってー!」
2017/12/23 17:29
「とりあえずコタツから出ろ」
2017/12/23 17:30
「ふん、本当に貴方が聖人……神の子だというのならこの辺りの石をパンにでも変えてみたらどうじゃ?そんな事出来ぬじゃろう?空腹なんじゃからおとなしく我が誘惑に従うのじゃ」
2017/12/23 17:30
「そんなの簡単さ、やってみようか?」
2017/12/23 17:36
「マジで!?」
2017/12/23 17:37
「言い出しっぺが一番動揺してんじゃねーよ」
2017/12/23 17:38


 キリストは地面にある手ごろな石を取ると


 それを握りこみ念じます。


 数秒間の沈黙が流れたのち、


 キリストは石を地面に放り投げました。


 

2017/12/23 17:39





2017/12/23 17:45
「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」
2017/12/23 17:41





2017/12/23 17:45
「…………?」
2017/12/23 17:45




2017/12/23 17:45
「………はい?」
2017/12/23 17:43




2017/12/23 20:01
「(ヒソヒソ)ねえアマエル、どういう意味?」
2017/12/23 17:44
「きっとイエス様はシチューはパンよりご飯派だって言いたかったんですよ!」
2017/12/23 17:45
「何だその超解釈」
2017/12/23 17:47
「神の口がどうとか言っているし神に直接聞けばいいんじゃないか?」
2017/12/23 17:47
「それもそうだね……。おーい!神ー!でてこーい!神ー!!!」
2017/12/23 17:48
2017/12/23 17:50
「……神をそんな気安く迷子の子供を探すような感じで呼ぶな……」
2017/12/23 17:51
「え?何て?声小さくてよく聞こえない」
2017/12/23 17:52
「何だか随分体調が悪そうですね」
2017/12/23 17:52
「丁度忘年会が終わった翌日なんだよ……、昨日は結構ボトル開けたから……二日酔いでさ……大声出されるとしんどいから止めてもらえるかな……」
2017/12/23 17:53
「だーかーらー!聞こえないっですってばーーーー!!!」
2017/12/23 17:55
「うっ……!!!」



「頼むから止めてください………」

2017/12/23 17:56
「あかん、このままじゃ神の口から言葉に出来ない汚物が出てしまう」
2017/12/23 17:58
「先ほどのキリスト殿が言った事はどんな意味なのだ?」
2017/12/23 18:02
「それは作者の気持ちを自分で考えて述べてください」
2017/12/23 18:02
「現代文のテストかよ!!!」
2017/12/23 18:04
「だから大声を出すのは止めろっつってんだろrrrrrrr」
2017/12/23 18:22
「わああああああ神の口が決壊したああああ!!!!」
2017/12/23 18:24
「うわっ汚ぇ!マジでふざけんなよ神!」
2017/12/23 20:03
(あれが邪神様の言っていた"神"……。一切神々しさは感じないが、一応すり寄っておくか)
2017/12/23 18:25
「お初に御目にかかります、神。私は悪魔のヴァースと申します。以後お見知りおきを。お近づきの印にウ○ンの力をどうぞ」
2017/12/23 18:28
「おおありがとう!何て気が利く優しい子なんだ。あいつらよりよっぽど天使だよ」
2017/12/23 18:29
「だから悪魔だっつってんじゃろ?!」
2017/12/23 18:31
「うむ、すっきりしたから俺は帰る。じゃあな!」
2017/12/23 18:31
「結局来て嘔吐しただけだよあの神」
2017/12/23 18:33




2017/12/23 20:05
「ふっ……私は質問に答えたぞ悪魔。これ以上何を望むというのだね」
2017/12/23 18:35
「そ、そんな訳の分からない事を言って誤魔化しても無駄じゃぞ!」
2017/12/23 20:06
「ほならね、私の答えに対して上手い事言い返したらどうだい?返答が無いって事は私が正しいという事だろう。はい論破」
2017/12/23 20:07
「ぐっ、この屁理屈野郎!なら、これでどうじゃ!」
2017/12/23 18:37


 ヴァースは背中から羽を生やし


 キリストを担ぐと空高く連れ去りました。


 はるか遠くの地平線まで見えます。


 高所恐怖症でなくともすくんでしまうような高度です。



2017/12/23 18:37
「ここから落としたらいくら神の子でもひとたまりもないであろう!ほらほらさっさと負けを認めい!」
2017/12/23 18:39
「………」
2017/12/23 18:44
「あわわ……どうしましょう」
2017/12/23 18:42
「ずるいぞー飛ぶなんてー!私達はまだ飛べるほど生えてないのにー!卑怯者ー!」
2017/12/23 18:42
「ククク……地上の天使たちに支えてもらうか?この高度じゃ無理じゃろうな。それとも先程の神に助けを求めるか?」
2017/12/23 18:44
「僕は神頼みした事なんて一度も無いよ。主を試したりなんて決してしない」
2017/12/23 18:49
「私の、悪魔の力があれば、何でも手に入れられるのじゃぞ。地上に見える繁栄した国々を見よ。そこにある富や名声が欲しくは無いのか?」
2017/12/23 18:52
「退け、悪魔。私はただ私の信じる主を拝み、仕えるだけだ」
2017/12/23 18:54
「……本当に残念じゃ。そなたほどの力があれば世の中を支配することなど簡単だと言うのに」
2017/12/23 18:56
「あのー悪魔さーん、ちょっといいですかー?」
2017/12/23 19:03
「なんじゃ駄天使!今は話の途中じゃろうが!」
2017/12/23 19:04
「いや、大変言いづらいのですが」
2017/12/23 19:05
「パンツ丸見えですよ♪」
2017/12/23 19:06
「なっ!?」


(サッ)

2017/12/23 19:06
「え?」
2017/12/23 19:07
「しまった!」
2017/12/23 19:07


 ヴァースの手から離れたキリストは


 地上へと落ちていきます。


 いくら神の子といえど地面にぶつかれば


 流石に死んでしまうでしょう。


2017/12/23 19:08
「どうにかして4人で支えるんだ!」
2017/12/23 19:10
「でもどうやって?!生身じゃ衝撃を受け止めきれないよ!」
2017/12/23 19:12
(……ピカーン!)


「そうだ!コタツ!コタツの布団!」

2017/12/23 19:14


 

 4人はコタツの布団を引っぺがし


 キリストが落ちてくる地点まで猛ダッシュして


 布団の端を持って広げました。


 キリストがそこに落ちてきます。


 4人は衝撃で尻もちを付きましたが


 何とか怪我をせず無事で済んだようです。




 

2017/12/23 19:15
「な、なんじゃとー!!!」
2017/12/23 19:21
「ふふふ策士策に溺れるって奴ですね、クマさんパンツの悪魔さん♪
2017/12/23 19:20
「うぐっ!……この屈辱はそのうち返す!覚えていろ駄天使共!!!」
2017/12/23 19:23


 悪魔は涙を浮かべながら去っていきました。


 4人は悪魔を退けたことに対し、喜びを分かち合います。



2017/12/23 19:25
「はっはっは悪魔も大したこと無いね!」
2017/12/23 19:27
「この試練を乗り越えられたのも君たちのお陰だ……本当にありがとう」
2017/12/23 19:28
「いえいえ、これからもよろしくお願いします!そしていずれは私と籍を入れてくださいね!」
2017/12/23 19:30
「お前まだそんな事を……」
2017/12/23 19:31
「シチュー美味かったぞー!また作りに来てくれー!」
2017/12/23 19:31
「何だろう、この全体的にゆるい感じ」
2017/12/23 19:33
「まあまあ、せっかく修行も終わって悪魔も退けたんだしさ、少しくらいリラックスしてもいいじゃん?今日はみんなでシチューパーティとしゃれこもうじゃない」
2017/12/23 19:33
「そうだね……イエス様もこれ以上は身体に毒ですよ。一緒にシチュー食べましょう?」
2017/12/23 19:35
「じゃあ少しだけ貰おうかな」
2017/12/23 19:36
(げふっ)


「うん、本当に美味しかったぞ」

2017/12/23 19:37
「ん?」
2017/12/23 19:38


 シチュー鍋を覗き込むと


 鍋の中身は空でした。


 殺意の波動に目覚めたエスエルは


 キタエルを睨み付けます。



2017/12/23 19:38
「おい……まだ結構量あったよな……?どうしたんだ……?」
2017/12/23 19:40
「ん?美味しかったぞ?ついつい食べ過ぎてしまった」
2017/12/23 19:41
「…………」
2017/12/23 19:42
「…………」
2017/12/23 19:43
「……もしかして皆、怒ってる?」
2017/12/23 19:43
「……食べ物の恨みは」
2017/12/23 19:45
「恐ろしいんですよ………!」
2017/12/23 19:46
「キャーーーー!す、すまぬのだーーーー!!!」
2017/12/23 19:47




2017/12/23 19:49
「神よ、天使たちがまた争っておられる。まだ試練は続いているのでしょうか?」
2017/12/23 19:48
「放っておきなさい、いつもの事だから」
2017/12/23 19:50


 修行を終え、悪魔を退けた一行。


 しかし目の前の食べ物ひとつで大喧嘩する半人前の天使たちに


 果たして修行の効果はあったのでしょうか。


 神とキリストは空腹で天使達がダウンするまで


 その光景をあきれながら見つめ続けていましたとさ。



2017/12/23 19:50
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登場人物紹介

【アマエル】Amael


多分慈愛の天使。

【エスエル】Esel


自称Sの今時な天使。

【キタエル】Kitael


常に精進することに励む実直な天使。脳筋

【ハラヒエル】Harahiel


突然の腹痛に悩まされる天使。

【神】God


4人の天使に試練を与える神の一人。

【ヴァース】Verse


天使たちを邪魔する悪魔。

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